昔の東大生の進路トーク(理系)
大手民間就職でも東大行くのは無駄ではないよ、という話をしましたが、ついでに私が東大生だった時代(何十年も前)の話を少ししたいと思います。
東大に入学して友達ができると、自然と将来の進路の話になります。私は理三ではない理系でしたので、まずは3年生になる時の進路振分け(略称「進振り」)が重要です。進振りで希望の学部学科、特に人気学科に行くためには、教養学部時代の成績を上げなければなりません。私の頃は、理一なら航空、理二は医学部医学科が一番高かったと思います。今はどうなんでしょうね。やはり情報関係が高かったりするのでしょうか。
なので、理一・理二生の入学したての頃の進路トークは、専ら専門をどうするか、その専門の進振り難度、点数を上げるためにどの科目を取るべきか、などという話がメインとなります。もちろんその後研究者になりたいのか、それとも民間就職か、あるいは公務員(技官)か、なんていう話もしますが、教養時代はやはり専門をどうするかの話をよくしていたと思います。ちなみに理系なら大学院進学はほぼデフォルトです。たまに文系就職といって、当時はまだ珍しかった外資金融とか戦コンにいくやつもいました。
これが理三だと違っていて、まあ医学部医学科にいくことはほぼ確定なわけで、進振りはまず関係ありません。なので、教養時代はかなり自由に遊んでいるやつが多かったと思います。実家の病院を継ぐとか、研究者になりたいとか、将来の話ももちろんしていましたが。ただ理三生の間では、実家の病院を継ぐと言っていた奴に対して冗談で「折角理三まできたのに実家継ぐのかよ!理三の必要全然ないじゃん!」みたいなことを言われてましたね。
昔の東大生の進路トーク(文系)
私はサークルに加入していたので、文系の友達も結構いました。もちろん文系の友達とも進路の話になるわけですが、特に文一生が特徴的だったのを覚えています。
まず文一は理三同様進振りは関係ありません。ほぼ全員が法学部にそのまま進めます。従って、法学部卒業後どうするか、という話がメインになります。
そして当時、彼らの進路は大きく4つありました。「国一(こくいち)」「外一(そといち)」「司法」「民間」です。「俺は国一かな」とか「俺は司法」とかそういうふうに話していました。
「国一」とは国家公務員一種(現在の国家公務員総合職)試験で、要は官僚を目指すということです。
「外一」はいわゆる外交官試験で、現在は国家公務員総合職試験に統合されています。外交官試験はあまりにも倍率が高いので有名でした。50倍以上だと当時聞きました。
「司法」は司法試験受験組で、法曹を目指すということです。当時は今のようにロースクールもなかった時代で、これもかなり狭き門だったと思います。
「民間」というのは民間就職ですね。
私がちょっとびっくりしたのが、「国一」や「司法」と言っている文一生の割合がかなり高かったことです。
「外一」は「国一」に含むとして、体感で「国一」「司法」「民間」の割合が1/3ずつという感じでした。「え、そんなに民間就職少ないんだ、さすが東大文一だな」なんて思った記憶があります。
そして文一生の間では「民間」と言っている文一生をちょっと下に見ているような印象を抱きました。もちろん馬鹿にするというのではないのですが、「試験勉強必要ないから楽でいいよね」みたいな感じです。「民間」と言っている本人も「俺は楽に大手に就職したいから東大目指したんだよ。高い志なんてないよ」みたいに自虐ネタにしてましたね。でもそういう奴が結局大手で出世しているんだからわからないものです。笑
次に文二生ですが、国一志望もたまにいましたが、概ね民間就職を考えている者が多かったように思います。今では勉強しないといけないそうですが、昔は「猫文二」といって「猫よりも勉強しない文二生」と言われているくらいでした。なぜかと言えば、まず当時は進振り関係なくほぼ全員経済学部に行けたので、前期教養時代は勉強する動機があまりありません。さらに、文一のように国家公務員試験や司法試験を目指すのがスタンダードではないので、そういった資格試験勉強もしません。会計士試験を受験する者も中にはいましたが、東大では会計士試験はそこまでメジャーな存在ではなかったと思います。
もちろん大学の成績はよくないわけですが、それでも東大生というだけで民間就職マーケットでは希少なので、私が知っている文二→経済学部生は、皆名だたる企業に就職していきました。当時は銀行・保険・商社などが人気全盛期でしたので、そのような企業ですね。
文三生については、あまり友人にいなかったので詳しくないですが、やはり進振りが重要なので結構勉強していたような気がします。研究者志望も文系にしては文一・二に比べて多かったと思います。あとは出版社や新聞社への就職希望者が多かったです。
今はどうなのでしょう?
以上は昔話ですが、現代の東大生の進路トークはどうなっているんでしょうね。おそらくかなり異なる様相を呈していることでしょう。
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