合格体験記
さて、いまは2024年組の皆様で、合格体験記をお書きになっている方もいるかと思います。もう提出されるような時期でしょうか。
また、現在受験を来年、再来年に控えた皆様も、配布を結構楽しみにまってらっしゃるのではないでしょうか。
合格体験記はいいですよね。受験生や保護者の努力の足跡が割と赤裸々に綴られていて、読み物として大変興味深いです。
ただ、この合格体験記については注意点があります。それについて簡単に書きたいと思います。
書く側の罠
匿名ならまああまり気にする必要もないのでしょうが、多くの合格体験記は実名で綴られています。
そうすると、中学入学後に新たに友達や知り合いになった生徒・保護者も、「同級生の話として」その合格体験記を目にする機会があるということです。
実際、息子の時も入学後にどこからか同級生やその保護者の合格体験記がまわってきて読んだと言っていました。サピ卒業生はサピの合格体験記をもらえませんが、弟や妹が現役サピ生ということはままありますし、そのあたりから回ってくるようです。
もちろん多くは問題ないでしょう。ただ、合格後のテンションで、書かなくてもいいようなこと、リアルの友人や知り合いに知られたくないことまで書いてしまう場合があります。受験生本人が書く場合もそうですが、特に保護者が合格体験記を書かれる際には気を付けたいです。
例えば、受験した全ての中学の合否情報(どこに合格した、どこが不合格だった)などは、実はお子さんは入学後周囲に知られたくないかも知れません。
またよく見るのは、補欠合格だったという情報です。補欠合格はドラマチックですし、経験されたら合格体験記に書きたくなるものですよね。特に保護者は。もちろん補欠合格だからといって何ら恥じることはないですし、一般合格と差があるものではありません。しかし、お子さんに取っては周囲に知られたくない情報である可能性もあります。
従って、合格体験記を書かれる際には、そのあたりを配慮する必要があると思います。合格したテンションのまま書いて出してしまうのは危険です。出す前に、受験生が書いたものは保護者が確認し、保護者が書いたものは受験生が確認してから出した方がよいと思います。
読む側の罠
次に読む側の注意点です。
これは以前も書いたことがあるのですが、合格体験記は成功者バイアスの塊です。
もちろん、中には第一志望不合格だった理由の分析だとか、受験勉強があまりうまくいかなかったことの反省だとかが書かれているものもあります。それらはとても参考になるものです。
しかし、合格体験記を書こうとする時点で、どこかしら希望の中学に合格し、多少なりとも中学受験をポジティブに捉えている受験生や保護者であるということです。つまり、結果的にうまく行った家庭の話ばかりなのです。
例えば、筑駒・開成に合格した受験生やその保護者の合格体験記が全ての人にとって役に立つかと言えばそんなことはありません。むしろ害をもたらす可能性だってあります。
故野村監督の言葉に以下のようなものがあります。
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」
負け(不合格)の時こそ、何らかのはっきりとした理由があるものですし、負けた時の理由こそ将来にとって勉強になるものです。
本当であれば、不合格体験記というものがあれば、その方がよっぽど後輩にとっては役に立つと思います。しかし、当然そんなものは存在しないわけです。
従って、読む側としては、ああそういう家庭もあったんだな、この子は合格してよかったな、という程度の読み物として捉えるべきで、お子さんと同じ志望校に合格した受験生や保護者の合格体験記を鵜呑みにして実践するようなことのないようにするべきです。受験生一人ひとりで状況は異なるわけですので、志望校が同じであるからといって、自分のお子さんに全てあてはまるわけでもありません。
まあこれはこのブログをはじめ、多くのネット情報にも言えることではありますね。
折角なので改めて注意喚起ですが、このブログで記載している勉強法や息子の学習履歴なども、あくまで息子の時はそれでいい結果が得られた、というだけですので、もしお子さんに実践させてみて合わないのであれば、我が家の勉強法は合わないということです。もちろん、情報収集は必要ですが、情報を得たうえで、お子さんに合わせた取捨選択は各家庭で行わざるを得ないわけですね。
まとめ
そんなわけで、合格体験記の書き手の罠、読み手の罠について書きました。
といいつつ私も合格体験記を読むこと自体は結構好きなので、今年版が出たら妹に言ってみせてもらおうと思っています。笑
実は今日書いた話は、以下のように昔記事にしています。
長いですが、よろしければご覧ください。
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