渋幕①社会大問1
X(旧ツイッター)で、今年の渋幕①の社会大問1が物議を醸しているようです。
曰く、小6向けとしては問題が難しすぎる、そのため中学受験の負担を増加させる、というものです。
該当の投稿では、社会大問1の問1から問6までが抜粋されています。
小問1:刑事裁判の流れの問題で、裁判官からの黙秘権の告知に関する問題。
小問2:財務省を答えさせる問題
小問3:高裁・地裁・家裁・簡裁の設置場所に関する問題
小問4:裁判の公開に関する問題
小問5:裁判官が休日や深夜にも宿直している理由を問う問題(記述)
小問6:地裁の刑事裁判の法廷の見取り図(裁判官・弁護士・検察官等の配置)に関する問題
詳細は適宜ネットでダウンロードしてご確認頂ければと思います。以下見ていきましょう。
細かい知識で解く問題なのか?
この問題ですが、確かに一般的な小学生が解くには難しいかもしれません。しかし、これらの問題に、枝葉末節のマニアックな知識をどんどん覚えましょう、という学校の意図はないと思います。
順番に見ていきましょう。
小問1
リード文の空欄にあてはまるものをから答える問題です。
起訴状の朗読に次に「続いて裁判長が被告人に[ ]と伝えたうえで、起訴状の内容に間違いがないか尋ねました。」とあり、この[ ]に該当するものを選択肢から答えます。
選択肢は以下です(要点のみ)。
1黙秘権の告知
2公開裁判だから被告人は正直に答えよ
3嘘をつくと偽証罪になる
4弁護人選任権の告知
刑事裁判においては被告人の権利保護が重要だ、という根本的な考え方さえ把握していれば、2と3は除外できます。そして、刑事裁判では弁護人が選任されていなければそもそも裁判を開始できないことを押さえていれば4は消せますし、結局1とわかります。消去法でなくとも、刑事被疑者・被告人にとって黙秘権が重要であることを認識していれば、1を選べるでしょう。
小問2
「国の予算や税金、為替や関税などに関する仕事をしています」とあるので、財務省であることは明らかです。これは知識問題ですが、知識レベルは高くないと評価できると思います。
小問3
正誤問題です。
X高等裁判所は札幌・東京・名古屋・大阪・福岡のみに設置されています。
Y地裁・家裁・簡裁は全ての都道府県に設置されています。
Xが誤りであること、Yが正しいことは知識問題ですが、これも標準的な知識問題といえるレベルでしょう。
小問4
正誤問題です。
X日本人は誰でも裁判を傍聴できますが、外国人には認められていません。
Y法廷では撮影や録音、描画やメモをとることは一切認められていません。
これは知識問題というより常識問題です。XYとも誤りであることは、ニュースに触れていれば常識として理解していると思います。
小問5
裁判官が夜間・休日も宿直している理由を問う問題です。
これはちょっと難問と言ってもいいかも知れません。
裁判官の職務に令状の発行があり、また24時間体制でその発行に対応する必要がある、ということを知らないと解答できません。
ただ、これも新聞を読んだりニュースをよく見ていれば常識として知っておくことができるレベルだと思います。
小問6
4枚の法廷の配置図があり、そのうち下級裁判所のものを全て選ぶというものです。よく見ると違いは以下の通りです。
1 裁判官1人
2 裁判官3人
3 裁判官・裁判員9人
4 裁判官15人
まず4が最高裁判所であることは明らかです。裁判官が15人いる裁判所は最高裁しかないですからね。
ここからは応用レベルとなりますが、裁判員裁判については普通に小学校でも取り扱う内容ですので、3は選べます。
次に裁判官の人数が1人、3人のいずれもありうるというところはちょっと難しかったかも知れません。ニュースなどで見る法廷の様子は大きな事件が多いため、裁判官が3人いる場合が多く、1を除外してしまった受験生もいるでしょうね。
ただ、「下級裁判所」には簡易裁判所も含まれます。簡易裁判所での裁判では裁判官は1人になるのではないか?と考えられれば、1も選べます。
問われているのは知識ではない
渋幕の社会を批判している方が勘違いをされているな、と思うのは、渋幕の社会では、受験勉強として得た細かい知識の有無を問おうとしているわけではない、ということです。
すみません、渋幕とは全然関係ない私が渋幕の考えを全て理解しているかのように言うのは間違ってますが、私の見方としては、ということです。
渋幕が問おうとしているのは、広く社会というものに興味・関心を持っているか否かだと思います。普段ニュースなどに接しているか、ニュースなどを聞いた上で、さらに興味を深めているかを試しているのです。そのような社会への関心の高い受験生を取りたい、という思いでしょう。
正直言って、受験勉強としてガリガリ習得した知識の範囲は、思いのほか限定的です。また忘れるのも早いです。自分で興味を持って本や文献を読み、得られた知識の方がはるかに広がりますし、記憶に定着します。
渋幕の社会の問題は、そのような社会に対する関心の高い受験生を取りたい、という渋幕からのメッセージであり、逆に言えば今年問われた難しめの知識(令状裁判官の宿直・下級裁判所の裁判官の人数)は、おそらく今後渋幕では二度と問われないでしょう。一度出題した事項で問題をまたつくってしまうと、それは単なる知識問題にすぎなくなってしまうからです。
渋幕の社会に対応するためには、世の中に対する高い関心を持てるようにする、ということに尽きると思うのです。
それも受験生の負担だ、と言えばそうかも知れませんが、むやみにマニアックな知識をガリガリ暗記する必要はないということです。毎日新聞をよく読み、ニュースを見ましょう、そして家庭でそのニュースについて議論しましょう、ということですね。
本気で考える渋幕対策
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本気で考える渋幕対策|2022中学受験終了 -A stitch in time saves nine- (ameblo.jp)
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