英語学習の優先度
メッセージで、中学受験と英語学習の両立についてのお悩みのご相談を頂きました。来年5年生になる方で、お子さんが英語学習については積極的でなく、やめようかどうしようかお迷いとのことです。
この問題に関連しますが、英語学習と中学受験について書きました↓
英語学習と中学受験についての考え方 | 2022中学受験終了 -A stitch in time saves nine- (ameblo.jp)
端的に言えば、低学年から5年生までリスニングとスピーキングに重点を置いた英語学習をし、6年生は中学受験勉強に集中するべき、という私の考えを述べています。
私がこんなことを書いたので、5年生時点で英語学習を中止することを迷われたのかなと思うとちょっと罪悪感があります。申し訳ありません。
という訳で、本日はちょっと上記の記事に補足したいと思います。
私がこの記事で述べたのは理想的なシナリオで、中学受験と英語学習の両立が難しい場合は、原則として中学受験勉強に集中するべきです。
英語はツール
まず一つ肝に銘じておきたいのは、英語はあくまでもツールにすぎないということです。
英語で何を語るかが一番重要なのです。
どんなにペラペラ英語を操れても、その中身に意味がなければ誰も耳を傾けてはくれません。もちろん、単に外国人の友人を作りたいだけならそれでもいいのかも知れませんが、英語を使って仕事をしたい、ということであれば、重要なのは英語力よりもその仕事を遂行するための知識や能力です。その知識や能力があってはじめて英語が仕事で役に立つのです。もちろん英語ペラペラかつ専門的知識もある、というのがベストですが、専門的知識がないけど英語だけしゃべれる、というのは全く意味がないのです。
逆の状況を考えればお分かりになると思います。日本語がペラペラだけど専門的知識に欠ける外国人担当者と、日本語はそこまで得意ではなさそうだけど、必要な専門的知識を持っている外国人担当者、どちらに仕事を頼みたいか、ということです。
このことは英語での実務経験がある方は実感を持ってお分かり頂けるのではないでしょうか。
さらに極端なことを言うと、英語ができずとも、ある分野の第一人者となれば、外国人も話を聞きにくるのです。英語ができないのであれば、コミュニケーションは通訳に任せればいいのです。まあ専門的な話ができる通訳は限られますので、自分でコミュニケーションができた方がいいのは間違いないとは思いますが。
中学受験勉強>英語学習
そして、将来仕事で必要になる専門的知識を習得するために重要なのは、論理的思考力・理解力・表現力です。私は、中学受験の勉強は、この論理的思考力・理解力・表現力を培うものであり、難関中学が入試問題を通して確認したいのはこれらの力だと考えています。
また、中学受験は6年生の冬にしか行われません。希望する中学に入学するための試験は、その時にしか行われないのです。他方で英語の学習はいつでもできます。別に中学に入学してからでも十分間に合います。希望する中学に合格するための勉強をないがしろにして、英語の学習をするというのは本末転倒です。
私が以前リスニングとスピーキングは小学生のうちにある程度やっておいた方がいい、と書いたのは、発音や聞き取りに関しては、幼いころに学習した方が格段に効果があるからです。とはいえ、中学に入学してからでも十分です。
リスニングやスピーキングの学習は、中学受験勉強に影響がない4年生くらいまでにやるのはお勧めですが、中学受験の勉強をおろそかにしてまでやるものでもありません。それで第一志望に落ちたら意味がありません。ましてや、お子さんが積極的でないのであれば、学習効果も限られますので、5年生で中断されることで全く問題ありません。
英語が難関中学の入試科目になる可能性
ここからは余談となりますが、もし英語が難関中学の入試科目に含まれるようになると、当然英語もやらなければ、となります。
しかし、私は、少なくとも近い将来においてその可能性は非常に低いと考えています。
なぜかと言えば、難関中学の入試問題を見て頂きたいと思います。難関中学が最も重視しているのは論理的思考力と表現力です。6年生を対象とする英語の入試問題では、そのような問題をつくることは難しいでしょう。もしそのような問題を出題すれば、帰国子女に極端に有利になってしまう可能性が高いですし、それは通常の難関校では望むところではないでしょう(帰国子女を取りたいところは帰国子女入試をやりますし)。東大入試の英語ですら、論理的思考力や表現力などそれほど必要ではなく、英語の単語・熟語・文法の知識があれば、あとは国語力とリスニング力があれば合格レベルに達することができます。勤勉でさえあれば、大学入試レベルの英語くらいは対応できるようになるのです。
つまり中学受験で英語を課すとすると、単なる英語の単語・熟語・文法の知識問題になってしまうでしょう。そうすると、本来難関中学の入試問題で試そうとしている論理的思考力や表現力を見ることができません(あるいはそのウエイトが低下します)。もちろん「勤勉さ」を英語の入試問題で見たいというのであればそれでもいいですが、それは現状の科目でも確認できるでしょう。それであれば、英語は課さず、現状の算数や国語で論理的思考力や表現力を測った方が、難関校の求める生徒の選抜ができると思うのです。
まああくまで私見に過ぎないので、例えば来年から開成で英語を入試科目にする、という発表があっても恨まないでください。笑
ただ、もし万一英語を入試科目にする場合は、影響が大きいので何年も前から発表すると思います。
難関校の実態
ちなみに、ご質問の方は、最難関校では皆英語ができるのではないか、中学に入学してからついていけないのではないか、という懸念がおありのようでしたので、私が知る範囲のことで申し訳ないですが、難関校の実態について書いておきたいと思います。
まず、帰国子女入試のない難関校でも、帰国子女の生徒はいます。しかし、その割合はかなり少ないです。
一つには、帰国子女の方が中学入試の一般入試の学習において環境的に不利ということは言えるでしょう。また、あくまで一般論ですが、帰国子女入試の方が一般入試よりは合格しやすい場合が多いので、帰国子女入試のある学校に流れるため、一般入試しかない難関校にはそれほど数が多くない、ということも言えるでしょう。
明確な数字を挙げることはできませんが、少なくとも難関校においても帰国子女が山ほどいる、という状況ではありません。
また、帰国子女でなくとも、小学生時代に英語学習が進んでいる子が多いのではないか、という点ですが、これも平均的なものはわかりませんし、家庭によって千差万別ではあると思います。我が家のようにある程度英語学習をさせていた家庭もあれば、全くやっていない、という家庭もあります。
これも明確なデータがあるわけではありませんが、例えば多くの子が中1入学時点で英語についてはかなりできる、ということは全くありません。そのことは中1の1学期の英語定期試験の平均点を見ればよくわかります。笑
まあ英検4級でもとっておけば、難関校でもアベレージはいくような気がしますね。メッセージを頂いた方のお子さんは、既に英検3級をお持ちということなので、もう全然問題ないと私は思います。
従って、中学受験に集中しようという家庭の皆さんは、そのまま中学受験に集中して頂くべきだと思います。英語は入学してからやれば大丈夫です。難関校に入学できるようなお子さんは、勉強さえすれば英語はできるようになります。
まとめ
というわけで、中学受験勉強だけでは余裕があり、なおかつお子様本人が楽しく英語学習ができる、ということであれば英語に時間を割くのもいいと思いますが、中学受験の勉強に集中させたいというご家庭は、5年生・6年生で英語学習にあえて手を出す必要はありません。
子供の使える時間と体力は有限です。優先順位を誤らないようにお気をつけ頂ければと思います。
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我が家の中学受験総括記事はこちらです↓
中学受験総括⑥-6年開始から夏休み前まで(1週間スケジュール)
中学受験総括⑫-6年9月から12月(必須の模試と他塾模試の必要性)
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↓以下は主に6年生向けのオススメ問題集に関する記事です。
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