【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
＜あらすじ＞
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活（？）が始まっていた。
＊＊＊
菊「第一殿、めっちゃ見えるーーー♪」
３日目には海上渡御のために、時代行列のような装束姿の方々が並ぶ。
光溢れる本殿では、ご神饌を運ぶ時間の始まりです。
菊「（この席、最高……めっちゃいい）」
えびす大神（以下・え）「席からは撮影するのも気が引けるやろ？
カメラマン席でよかったやん（笑）」
菊「えびす大神さま……！ お祭り、３日目も参列できて良かったです！
カメラマン席（笑）ありがとうございます♪」
え「海上渡御は来年になったけど、まあそれはそれ」
ご神饌を運ぶ風景を見ていると、こんな言葉が渡された。
"えびす" は恵み。
恵みの形は様々だけど
それぞれにとっての恵みを与えたい。
菊「…………」
恵みかあ……。たくさんの恵みを頂いているなあ。
じんわりとその優しさに包まれながら、
神の想いに感謝していた。
そしてふと思った。
菊「ご神饌って……神様へのお食事ですけど……
改めて考えたら、召上るものって人と同じなんですね」
お餅や野菜や立派な鯛。
決して特別なものではなく、私たちの口に入るのと同じもの。
え「そう。同じ。それがいい。
僕らは "人寄り" の存在やからな」
……"人寄り"
え「そう。そう思ってもらってる方がいいよ。
神も人も自然の一部。
遠くにいる何かじゃない。僕らは隣にいる存在」
ご神事を見守るえびす大神は、とても穏やか。
大きな予定だった記念の海上渡御ができなくなったのに、残念そうでもない。
８名の童女が本殿で舞う。
本来は和田岬で舞うこの神楽舞。
ここで舞う方が「舞台」感が強くて緊張するのかもしれないなあ……
え「子どもは清める力がすごいねん。
神楽、練習してくれてな。
拙くとも、その舞から広がる清めの力はすごい」
え「ほんま、たくさんの西宮の大人も子どもも、
この祭りのために力を使ってくれてる。
めっちゃ嬉しいよ（笑）」
童女たちの神楽が終わると同時に、ポツポツと雨が降り出した。
菊「………雨降ってきました」
始まる頃は光も射していたのに、雨が降り始めたと思ったら、
本殿の屋根がいっきに濡れて、金色の飾りを映し出した。
綺麗だなー。
本殿の屋根。
さらに雨は勢いを増して降り続け、輝く屋根からは滝のように雨水が落ちている。
あっちにもこっちにも滝ができてる。
…………ものすごい浄化。
童女の神楽奉納を待つように降り始めた雨は、
すっかりこの神殿を洗い清め……
同時にその恵みの雨は滝となり、参列者とそれを包む空気を一気に浄化した。
菊「……………」
えびす大神さま……… すごいな。
子狐１「でもママ、傘持ってきてないよね」
子狐２「自転車で来たよね💧」
菊「……………そうでした。。」
えびす大神さま、
帰る時間は
雨止ませて下さいませんか……？✨（切実）
なんと、ご神事が終わり、参列者がお弁当を受け取りに受付に移動する頃には、
ザアザア降りの雨が止んだのでした。
菊「えびす大神さま、愛しています……♡」←本当に声に出して言っています。笑。
船で配られる予定だったお弁当とお茶を受け取り、
一旦それを自転車に置いて、私は再び拝殿に。
菊「雨止むどころか、本殿の上に青空も出てきてるし！」
雨に濡れた神殿の広間に、旗の鮮やかな色が映りこむ。
そこは既に、雨上がりの光に照らされていた。
え「今、生きているという事は、最適、最適を重ねた結果やねんな」
菊「？」
え「今日のさ、海上渡御ができなかった事。
そこだけ考えたら残念やろ？ 準備もしててんし」
菊「あ、はい」
えびす大神は微笑んだ。
え「今、生きているという事は、最適、最適を重ねた結果。
でも、その時は分からへん」
え「辛いとか、思ったように進まなかったとか……
逆にめっちゃ進むときもあるし」
菊「はい……」
え「だから "今" 。
"今" で考えて。
"今" そこにさ、ちゃんと生きている自分がいるとしたら。
それは知らん間に最適、最適を重ねた結果であるはずやねん。
意味わかる？」
はい ……確かに。
え「予定通りに進まなかった事で生まれる縁や経験もあるはず。
全ては最適」
菊「………全ては最適」
え「って思うと、救われるものもあるから（笑）」
一礼して拝殿を後にしたら、いつもは閉まっている神輿殿の扉が開いていて、
そこにお神輿が見えた。
近づいても……いいよね（ドキドキ）
とか思いつつ、そーっと覗きに行く私。
菊「えびす大神さまを運ぶお神輿は……」
そのお神輿は、奥に置いてあった。
きれいだなー……。
えびす大神さまのお神輿。
菊「来年、今日が最適だった事に気づくのかも♪」
どんどん広がる青空が、大雨だったご神事の後の西宮神社を包む。
私はきっと、童女神楽の後に降った滝のような雨の神事を
ずっと忘れないだろうなと思った。
＊2019年春の連載『ヒルコノミコト』はコチラです。
今月より毎月8日に
清高稲荷社境内・参道のボランティア掃除を実施することになりました♪
次回は10月８日。もちろん菊田も参加します♡
お時間、ご予定の合います方は是非ご参加頂ければ幸いです。
集合場所:清高稲荷社境内
開始時間:13:00〜14:00の一時間程度
ご参加お待ちしておりますねー＊
『御影カード』配布しています♪
★清高稲荷大明神blogはコチラです♪→【高野山】〜清高稲荷大明神〜
