[7/22に抽選の有無の検討に補足説明を加えました。]
筑駒学区拡大のインパクト
昨日お伝えしたように、筑駒の通学区域が拡大されます。来年度入試から適用です。
筑駒HPです↓
2024(令和6)年度より、通学区域を変更します | 筑波大学附属駒場中・高等学校【公式】 (tsukuba.ac.jp)
昨日の記事です↓
【特報】筑駒学区拡大!! | 2022中学受験終了 -A stitch in time saves nine- (ameblo.jp)
拡大されたところを赤字にしたものが以下です。
東京都 | 23区、昭島市、稲城市、清瀬市、国立市、小金井市、国分寺市、小平市、狛江市、立川市、多摩市、調布市、西東京市、八王子市、東久留米市、東村山市、日野市、府中市、町田市、三鷹市、武蔵野市 |
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埼玉県 | 上尾市、朝霞市、川口市、さいたま市(浦和区、大宮区、北区、桜区、中央区、西区、南区)、志木市、草加市、所沢市、戸田市、新座市、富士見市、ふじみ野市、三郷市、八潮市、和光市、蕨市 |
千葉県 | 市川市、 浦安市、 習志野市、船橋市、松戸市 |
神奈川県 | 厚木市、海老名市、川崎市、 相模原市(南区、 中央区、 緑区の相原・大島・大山町・上九沢・下九沢・田名・西橋本・二本松・橋本・橋本台・東橋本・元橋本町)、 座間市、 大和市、 横浜市(青葉区、旭区、泉区、神奈川区、港南区、港北区、瀬谷区、都筑区、鶴見区、戸塚区、中区、西区、保土ヶ谷区、緑区、南区) |
東京都は変化なしですが、埼玉・千葉・神奈川はかなり広がりました。
ちなみに気にされてらっしゃる方が多いと思いますので先に書きますと、1次の抽選が復活するような受験生の増加は考えにくいです。ご安心下さい。
拡大された地域の人口
さて、入試へのインパクトを考えるために、拡大された地域の人口をみていきましょう。
(埼玉県)
上尾市:23.0万人
さいたま市(新規通学区のみ):93.2万人
志木市:7.6万人
草加市:25.1万人
所沢市:34.4万人
富士見市:11.3万人
ふじみ野市:11.4万人
三郷市:14.2万人
八潮市:9.3万人
合計:229.6万人
(千葉県)
習志野市:17.5万人
船橋市:64.8万人
松戸市:49.7万人
合計:132.1万人
(神奈川県)
横浜市(新規通学区のみ):84.8万人
厚木市:22.4万人
海老名市:14.0万人
座間市:13.2万人
合計:134.4万人
総合計:496.1万人
以前計算したところ、現在の学区の総人口は1980.6万人なのですが、そこに約500万人近く加わることになります。なかなかの増加ですね。
倍率試算
では今年の受験倍率へのインパクトを考えてみましょう。乱暴ですが、増加した地域の人口分比例して受験者が増加するものと仮定します。
現在の学区の全人口:1980.6万人
2023年春受験者:521人
2023年春実質倍率:4.1倍(合格129人)
拡大地域を加えた場合の全人口:2476.7万人(+496.1万人)
2024年受験者想定:651人(+130人)
2024年想定実質倍率:5.1倍(+1.0倍)
2024年合格者(129人と想定)に占める拡大地域の人数:26人
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[1次抽選有無に関する補足]
なお、1次抽選の有無は出願者数が定員の8倍以上(=960名)の時に実施されるので、上記の受験者ベースでなく、出願者ベースで考える必要があります。同様に比例して増加すると考えると以下のようになります。
2023年出願者:627名
2024年想定出願者:785名(+158名)
抽選実施の960名までにはまだかなり余裕があります。
まあ学区拡大に加えて出願者が増加する要因が別にあれば分かりませんが、まず抽選が実施されるレベルの出願数にはならないでしょう。
それ以外に出願者が増加する要因はあまり思いつきませんが、調査書撤廃とかですかね。オンラインのみで出願が完了するようになれば、結構出願者数増加の影響はあるでしょうね。まあ筑駒が調査書を撤廃するなどというのは100%ないと言っていいレベルの話ですが。笑
ちなみに8倍という1次実施基準に変更があるかというと、多分ないです。この960名というのは校舎のキャパシティを基礎に決めている数字です。校舎に入りきらない人数を受験させられないですからね。なので、筑駒が建て替えなどで教室が使えなくなるとかの事情がない限り変更は考えにくいです。もちろん来年度の募集要項を確認する必要はありますが、1次の倍率基準を変更するならこのタイミングで同時に発表するでしょう。
もともとの筑駒志望の皆さんは、色んな噂などに惑わされることなく、筑駒合格に向けて頑張って下さいね。
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さて、このように1次抽選が発生するほどのインパクトにはなりませんが、実質倍率が+1.0となると、競争には結構影響があると思います。難易度にも影響する可能性大です。
これまで既存学区内の受験生で129番まで合格できていたのが、既存学区の受験生内で103番までに入る必要があるということです。ボーダー近辺ですとこの違いは結構大きいかもしれません。
もちろん、拡大された学区は筑駒から比較的遠い地域となりますので、従前の学区と同様の割合で受験者数が増加する訳ではないと思います(昨日も書きましたが、片道2時間程度の地域も含まれているので)。また、そもそもこのタイミングの発表なので、新たに学区に加わっても筑駒受験を見送る受験生も多いでしょうから、実際の来年の受験におけるインパクトはここまでにはならないと思います。受験者数で100人増えるかどうかというところですかね。競争が激化する結果、回避する動きもあるでしょうから、増加分は100人切るくらいかもしれません。
ただ当然ですが確実に競争はより厳しくなりますね。
他校への影響
また、他の学校への影響も考えられます。
①これまで筑駒学区外で開成等に進学していた受験生の動向
拡大される学区から新たに筑駒を受験できることになると、これらの地域の最難関校の入学校選択への影響が出てきます。
埼玉の拡大された地区からは、いままでは筑駒受験ができないため、最上位層は開成進学者が多いと思います。
また千葉の拡大された学区についても開成進学者は多いでしょうし、渋幕進学者もいるでしょう。
神奈川の拡大された学区では、聖光進学者や栄光進学者も多いものと思います。
もちろん難易度だけで志望校を選ぶわけではありませんので、これらの学校と筑駒とのダブル合格となった時に常に筑駒を選ぶわけではありませんが、それなりの割合が筑駒を選択することになるでしょう。
ただ今回筑駒が定員を増加させるわけではないので、影響は大きくありません。
上記の試算を前提にすれば、筑駒の合格者約130人のうち、これまで筑駒という選択肢がなかった受験者のうち26人が新たに選択できるようになっただけです。仮にこの拡大学区の合格者26人全員が筑駒に進学するとしても、その分26人が筑駒入学の選択肢を失って他の学校を選択することになるわけですから、結局開成・渋幕・聖光・栄光への進学者数への影響はさほど大きくないでしょう。
つまり、これらの学校で、筑駒を選択する受験生を勘案して合格者数を大幅に増加させるような影響はないですし、難度に影響を与えるほどのインパクトはないと思われます。
②2月3日入試の動向
今まで学区外だった受験生が筑駒受験に向かう結果、他の2月3日校の受験者への影響もあるでしょう。2月3日入試で筑駒の次の偏差値帯をみると、海城②(S62)、早稲田②(S61)、筑附(S62)、浅野(S58)があります。ただ、筑附にも学区があるので、影響は限定的です(もともと筑附を受験できない地域が筑駒拡大学区に含まれているということです)。従って、それなりにインパクトがあるのは海城②・早稲田②・浅野でしょうか。
息子の時の合判SO④の資料を引っ張り出してみると、海城②・早稲田②・浅野は筑駒50%圏内である偏差値66(当時)以上の受験生も多く志望校としていました。もちろん全員ではないですが、筑駒学区外で筑駒を受験できない受験生も一定数含まれていると思われます。
従って、偏差値上位層が筑駒受験に向かう結果、これらの学校は多少難度が低下する可能性はあります。もっとも上記のとおり拡大学区による筑駒受験生の増加は多くとも130人程度と考えられるので、これら3校でならせばそこまで大きなインパクトにはならないでしょう。1校あたりせいぜい40-50人程度です。ボーダーの偏差値が動くほどの影響はないでしょうし、万一動いたとして-1程度です。それよりも他の要因の影響の方が大きいと思います。
塾への影響
また、これらの地域の進学塾にも影響があります。特にサピックスは最優秀層や特定校の志望者を一つに集める方式ではなく、各校舎毎に指導しますので、これまで地域柄筑駒志望者がいなかった校舎も、場合により筑駒志望者向けの指導が必要になってくることになります。
上大岡校、東戸塚校、南浦和校、大宮校、所沢校、松戸校、西船校あたりの先生方は、緊急対策会議をしているかも知れませんね。笑
ただ、息子の時の経験からすると、サピで筑駒受験する子はSS開成コース受講生がメインとなります。そして、SS開成はその名の通り開成対策がメインで、筑駒に特化した対策はもともとそれほどガッツリやりません。
理由はいろいろ考えられますが、やはり開成合格をしっかり固めるのが先決という考え方なのでしょう。また、筑駒志望者は開成志望者の半分以下ですので、大規模校舎でSS開成が複数クラスない限り、SS開成全員に筑駒対策を施すのはやややりすぎ感があるのです。SS開成が1クラスしかない場合は、筑駒志望者には対策プリントを配布してやらせたり、SS後などに少し残って補講したりするのが中心です。
サピのこれらの校舎の対応としては、まずは今回の学区変更で、自分の校舎で筑駒志望となる生徒がどのくらいいるのかを確認して、必要に応じ追加プリントで対策する、ということになるのかなと思います。
次回は拡大学区にお住まいの6年生男子家庭向けに「今から始める筑駒対策」をお届けしたいと思います。
今から筑駒志望に転じて間に合うのか?と不安な方もいらっしゃると思いますが、全然大丈夫です。ご安心下さい。
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中学受験総括⑥-6年開始から夏休み前まで(1週間スケジュール)
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