ボンド、焦る

 1965年 監督/ テレンス・ヤング

007シリーズ第4作。第1作『ドクター・ノオ』と第2作『ロシアより愛をこめて』を手がけた、テレンス・ヤング監督のシリーズ最終作。前作『ゴールドフィンガー』の世界的ヒットを受けて作られた本作は、全世界で熱狂的に迎えられました。
観客を捌き切れない劇場が24時間体制で上映し続けるも、それでも劇場を囲む長蛇の列は絶え間なく続いたという伝説を持つ作品です。

本作で初めてカメラが海に潜り、大掛かりな海中アクションを披露しています。テレンス・ヤング監督は、水中でのアクションは"テンポが落ちるから"と乗り気ではなかったそうです。確かにその意見は否めませんが、それを差し引いても見どころ満載です!

また前作『ゴールドフィンガー』で大きく変わったボンドのキャラクターは、テレンス・ヤング監督により自身が生み出したキャラクターに寄せられています。しかし、あまりに大きな支持を得た『ゴールドフィンガー』のボンドを望むファン、製作陣に押されてか、間を取ったようなボンドになった感も否めません。しかし!それによりドミノに言い寄るシークエンス(【この映画の好きなとこ】ボンド・ミーツ・ドミノ参照)が実現したと思えば、これは大成功ですよ!


【この映画の好きなとこ】

◾︎ドミノ(クローディーヌ・オージェ)
かわいい!上品!清楚!セクシー!もうリアルバービー人形じゃないですか!!個人的にはシリーズ全24作中のボンドガールナンバーワン!!
ウェットスーツ姿のこの宣伝用写真大好きなんですよ

◾︎オープニングタイトル
モーリス・ビンダー作のあまりに美しいグラフィックと、トム・ジョーンズのコテコテセクシーな歌声がいざなう陶酔至福の3分間!


◾︎ヴァルカン機隠蔽
原爆搭載のヴァルカン機を奪い、海中に隠すスペクターの工作チーム。その過程を綿密に描き見せてくれるんですけど、こういうのワクワクするなあ。
海藻ネットで機体を覆い隠せー
ハンマーでトントントン

◾︎ボンド・ミーツ・ドミノ
限られた期日内に情報収集をしなければならない為、あの手この手でドミノに迫るボンド(任務無しでも食いつくと思うけどね)。好意はあるものの、簡単にはオチないドミノと、焦らされるも必死に食い下がるボンドが、恋に落ちた少年少女みたいでおもしろい!
ドミノを手放すまいと必死なラルゴとの攻防戦も実に面白く、コレ前半の大きな見せ場です!
ねえねえ、どこから来たの?食事しない?
スープどうぞ
…。
どこに泊まるの?明日も会えない?
…。

◾︎ボンド脱出
鮫がいるプールに落ちたボンドを閉じ込めてご満悦なラルゴ…しかしボンドは既に脱出済みなんですけど!だからこのカット笑っちゃう!
マヌケな空気流れます。これ狙ったのかな?

◾︎恐怖のドライブ
ラルゴ邸を脱出後、ヒッチハイクで捕まえたのがよりによってラルゴ配下フィオナの車。ボンドの問いかけには答えず、「シートベルトを締めなさい」と一言放ち猛スピードで走らせる。不気味さ際立ちフィオナが魔女に見えますよ。
ボンド、ビビる

◾︎水中スクーター
スペクターが使用する水中銃搭載兵器。美術監修ケン・アダムのデザインがカッコいい!色使いもいいなあ。

◾︎暴走するディスコヴォランテ
高速艇ディスコヴォランテに乗り込んだボンドがラルゴと対決するクライマックス。外観映像は60年代バリバリの合成だけど、コントロールを失った高速艇が岩場をかすめ暴走する迫力映像はかなり見応えあります!!
豪速球的迫力!!

前作『ゴールドフィンガー』の興行収入を大きく上回る大ヒットにより、世界中に本格的なボンドブームをもたらした記念碑的作品です!
これだけの超大作を一年で製作したんですからスゴイですよね(これに懲りてか、次回作『007は二度死ぬ』から、製作に二年をかけるようになりましたね)。
美しい海中撮影と、ロマンチックバカンス、壮大な海中戦でまさに夏休み向けな作品!夏が来るとつい観たくなるのはボクだけではないはず

007シリーズこちらも
ノー・タイム・トゥ・ダイ