ボンドとジョーズ、深まる

 1979年 監督/ ルイス・ギルバート

007シリーズ第11作。前作『私を愛したスパイ』を大成功させたルイス・ギルバート監督の連投により、さらに大掛かりで、過度なユーモアが盛り込まれた作品となりました!

オープニングからクライマックスまで、前作で人気を博した殺し屋ジョーズとボンドのバトルを、まさに"どつき漫才"の如く延々と繰り返すふたりが実に楽しそう。ホント仲良しだなあ。ジョーズもMI6に入ればいいのに。

完全に振り切った本作は、次回作『ユア・アイズ・オンリー』を徹底的にシリアスハード路線へ変更させたほど。同監督が手がけたシリーズ第5作『007は二度死ぬ』の香りがプンプンしますね。お好きな方は是非セットで楽しんでもらいたいです!

ルイス・ギルバートのユーモアセンスを気に入っていた、ボンド役のロジャー・ムーアとの相性もバッチリですよね。この作品、ロジャー・ボンドの最高傑作として推しますよ!
トレードマークの愛銃、ワルサーPPKを一度も使わずに、Q特製ダーツガンとレーザーガンばっか使ったところも敢えて好きです!一種独特の世界観を創り出してますよね確信犯なのかルイスよ!?


【この映画の好きなとこ】

◾︎アバンタイトル
フリーフォール実写です!前作『私を愛したスパイ』のアバンタイトルが神だったので、本作はここまでの更なる無茶をしてくれました。
アクション映画史に残る大スタント

◾︎Qリスペクト
怪人チャンに仕組まれた拷問で、ボンドが死の恐怖に怯える稀有なシチュエーション。気を失いかけたボンドの脳裏をよぎったのはQの顔!Qへ向けた最大の賛辞じゃないですかね。
Qのセリフが聞こえてきそうです。「いいか007、わたしが居なかったら君はとっくに死んでいるよ」

◾︎殺し屋チャン
シリーズ中、最もボンドを侮辱した敵じゃないですかね。だってボンドを殺しに行くのに剣道着姿!しかも竹刀で襲うんですよ!で、かけ声が「エーイ!ヤーッ!トーッ!」ですよ!
007もナメられたもんです
チャンを演じたのは日本人俳優というか、合気道師範のトシロー・スガ

◾︎ボートチェイス
追跡ミサイルなんかを搭載した、初代Qボートでのチェイス。殺し屋ジョーズがマシンガンを撃ちながら高速艇でボンドを追いかけまわすなんて、最高のビジュアルじゃないですか!?
怪人度アップ

◾︎大蛇パイソン
『ドクター・ノオ』の毒蜘蛛タランチュラ、『ロシアより愛をこめて』のドブネズミなど、初期作品に登場していたおぞましい生物兵器が本作で復活!登場シーンでパニクるボンドの姿も鮮烈。
こういうの出て来るとなんかシマるよなー

◾︎宇宙戦争
SF苦手なボクですが、このシーンは好きです。クライマックスなのに、なぜか厳かな雰囲気の音楽!これが妙に印象的でいいんですよねー。
宇宙ステーションの造形も素晴らしいです

◾︎ドラックス (マイケル・ロンズデール)
本作の悪ボス。無機質で神経質、ドクター・ノオを彷彿させる無表情、抑揚のないロボットのような話し方が好き。なんかシリーズいちの危険人物って感じがします。
危険人物度はシリーズいちかも

◾︎エンディング
ルイス・ギルバート監督作品のエンディングは、いつもボンドのイチャつきが壮大にバレて終わりですよね。『007は二度死ぬ』『私を愛したスパイ』も、最後に笑わせ、実に爽快に終わらせてくれるところがマジ好きです!
Qのしょうもないセクハラジョークも

007シリーズのお祭り三部作(あとは『007は二度死ぬ』『ダイ・アナザー・デイ』)として、人に元気を与えてくれる、実に社会貢献度の高い作品です!シリアス路線がウケている現在、こういうのはしばらく難しいのかなあ。またいつか作ってくださいね!

007シリーズこちらも
ノー・タイム・トゥ・ダイ