俺たちのパニック映画

1974年 監督/ ジャック・スマイト

幼少期だった1970年代、映画はスペクタクルの極みでした。1970年に公開されたユニバーサル・ピクチャーズの『大空港』がパニック映画というジャンルを確立させると、20世紀フォックスは『ポセイドン・アドベンチャー』を製作。さらにワーナー・ブラザースと共同製作した『タワーリング・インフェルノ』で世界的なパニック映画ブームを巻き起こしていたのです。

『大空港』でブームを牽引したユニバーサル・ピクチャーズは存続をかけシリーズ化を決定。豪華スターが大挙するグランドホテル形式のドラマは観客の嗜好にハマり、1979年の第4作『エアポート'80』まで製作される程の人気を博しました。


そんなエアポートシリーズとボクの出合いは、テレビ放映で観たシリーズ第3作『エアポート'77』でした。手に汗握る海洋脱出劇を楽しんだボクは、シリーズ他作品にも興味が湧きましたが、当時はテレビ放映を祈ることしか出来ない時代。結局それ以降のシリーズ作品を鑑賞する事は叶わずにエアポートシリーズを忘れかけていましたが、この度シリーズ4作品を一気見しました!

どれもこれも独自の路線、独自の展開でたいへん楽しませてもらいましたが、一番ボクの好みに合ったのはシリーズ第2作の『エアポート'75』でした。いや、シリーズで一番というより、これはボクにとってパニック映画の最高傑作かもしれません!


ジャンボジェット機が民間機と空中衝突し、機長を始めとする操縦士3名が死傷。客室乗務員が管制塔の指令を受けつつ着陸を目指す怒涛のパニック劇!


「なんで私が!?」

「でもやるんだよ!!」


『大空港』になかったアクション要素を投入しエンタメ性アップ!ラブストーリー作品としての見事な回収!そしてなによりカレン・ブラック演じるヒロインの魅力!!


大好きな映画がまたひとつ増えた!




【この映画の好きなとこ】

◾️ナンシー (カレン・ブラック)
死傷した機長らに代わりジャンボジェット機を操縦する重積を担う。泣きべそかきながら責務にあたる魅力的なキャラクターをカレン・ブラックが好演。

『スピード』のサンドラ・ブロックに影響を与えた?


◾️ジョー (ジョージ・ケネデイ)
パニック映画の雄。ケネディのタフネスとカリスマ性は幼少の頃思い描いた理想のアメリカ人だった。航空会社の副社長としての職責を果たすべく現場を駆け回る。

もうこの人がいてくれるだけでね!



◾️テーマ曲
開始早々に心を掴まれたスコア。有名作曲家の楽曲だろうと確信するも、ジョン・カカバスという聞き慣れない名前。世界には無名の天才がいくらでもいるんだなあ。

※YouTubeからお借りしました



◾️ファーストシーン
空港内を移動する客室乗務員のナンシーを延々と追うカットは、クエンティン・タランティーノ監督作品『ジャッキー・ブラウン』に影響を与えた?

登場人物の背中を追う撮影手法は、ジョージ・ケネデイの登場シーンでも踏襲された。スマイト監督は背中フェチ?

それとも尾行好きなのか?



◾️ナンシー最初の試練
破損した操縦室に乗り込み、管制塔からの指示を頼りに泣きべそかきながら対処するナンシーの姿がリアルな魅力に溢れている。

怒涛の厄日が始まる…

フロントガラスも全部割れてるからね



◾️パイロットの空中移送 ※ネタバレ
パイロットがジェットヘリからジャンボ機に乗り移るサスペンス劇。乗り移りに失敗する衝撃と絶望。後が無い二人目の挑戦に手に汗握る展開が続く。

やっぱ実写の魅力ですよ

観てる側も相当力入るわ

CGよりも合成でしょ!



◾️帰還 ※ネタバレ
ジャンボジェット機の操縦という大役を果たし、客室に帰還したナンシーに惜しみない拍手が送られる。

乱れた髪にケガ、よれたシャツもカコイイ!

拍手喝采!この場にいたかったぜ!



◾️滑走路 ※ネタバレ
着陸体制に入り期待感に包まれる客室内で、対応するクルーを信じていた乗客の少女ジャニスが母親に言う「だから絶対大丈夫って言ったでしょ」が沁みる。

本作では神の使いなのかリンダ・ブレア



◾️告白
操縦桿を握るアランは、着陸失敗の可能性も考えてか、乗務時ナンシーに伝えられなかった想いを口にする。喜びと緊張が入り混じるカオスなボルテージでシーンは最高潮に!

「ナンシー…」「はい」

*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*



◾️結末 ※ネタバレ
着陸を成功させたアランを見つめるナンシーの顔にようやく戻った笑顔。特別な想いでアランを見つめる極上カット!このシーンで名画決定!スマイト監督すばらし!

これはもうポスターにしたい




パニック映画における境遇は、人類存続の意義を問われたもののように思われます。試されるのは叡智、勇気、愛情。環境破壊と利己主義に走る人類に生き残る価値はあるのか?それは神が与えた試練であり試験であるようにすら思われます。

パニック映画はこれまで様々な進化を経て映画ファンに愛され続けているジャンルです。『ポセイドン・アドベンチャー』は『タイタニック』に、『タワーリング・インフェルノ』は『ダイ・ハード』に、『ジョーズ』は『ジュラシック・パーク』に。そして機長に代わり素人が大型旅客機を操縦する『エアポート'75』は『エグゼクティブ・デシジョン』『スネーク・フライト』にも継承されているのかもしれませんね。
これ以降もより進化した作品で楽しませてもらいたいものですね!