007シリーズに限った事ではありませんが、傑作と謳われるヒーロー映画には必ず魅力的な悪役がいます。悪役が強靭であればあるほど主人公の活躍が際立ち、作品は傑作へと昇華する事が多いように思われます。

例えば『ロシアより愛をこめて』のクレッブ大佐、グラント、『ゴールドフィンガー』のゴールドフィンガー、オッドジョブ、『私を愛したスパイ』のジョーズなどが好例です。


007シリーズでは、常に時代の象徴といえる人気俳優や大物俳優がキャスティングされる事も大きな楽しみのひとつ。これまでにもロバート・ショウハロルド坂田ドナルド・プレザンステリー・サヴァラスヤフェット・コットークリストファー・リークリストファー・ウォーケングレース・ジョーンズソフィー・マルソーなど、実に枚挙にいとまがありません!

近年のダニエル・クレイグ主演作品にあたっては、時代の寵児と言える大物俳優が次々にキャスティングされています。ハビエル・バルデムクリストフ・ヴァルツ、そしてラミ・マレック。いずれもアカデミー賞主演・助演男優ばかりを起用するフットワークの良さには驚かされます。


常に作品成功の鍵ともなる悪役ですが、その魅力を駆け足で振り返りつつ、記憶に残る悪役たちをランキング形式で紹介したいと思います!これまでシリーズに登場したメイン・サブキャラを含めボクの完全なる偏見で厳選した20人のヴィランをご覧ください!


※オールネタバレでいきます!



【好きな悪役 TOP20】

◾︎20位  ル・シッフル
登場作品 / カジノ・ロワイヤル
俳優 / マッツ・ミケルセン
株の負けをポーカーで取り返そうとする地下組織の会計責任者。悪人ながら尻に火のついたギリギリ感がシリーズ特筆もの。ポーカーの負けも拷問で奪い返そうとする悪人の鑑。
ボンドへの拷問は彼の本気度がわかるね

◾︎19位  マックス・ゾリン
登場作品 / 美しき獲物たち
俳優 / クリストファー・ウォーケン
ステロイドベビーとして生を受け、高いIQを誇る異常者。IT市場の独占計画も、野望というよりはゲーム感覚で楽しむ。ウォーケンが演じる事で危険度が増した。
大好きな俳優なんですが、このガラの悪さスゴい!

◾︎18位  カルロス
登場作品 / カジノ・ロワイヤル
俳優 / クラウディオ・サンタマリア
ジャンボ旅客機を狙う爆弾魔。空港敷地内でボンドに追われながらも、ひた任務を遂行する姿は『ターミネーター2』のT-1000を彷彿させる。無表情な鉄仮面も魅力。
警官(警備員?)に変装するあたりもT-1000だね

◾︎17位  パトリス
登場作品 / スカイフォール
俳優 / オーラ・ラパス
バイクや格闘能力、狙撃の腕前もボンドに引けを取らないフランスの傭兵。アバンタイトルではその戦闘能力を全面解放し、ボンドを窮地に追い込んだ。
バイクチェイスで爆盛り上がり!

◾︎16位  ドナルド・グラント
登場作品 / ロシアより愛をこめて
俳優 / ロバート・ショウ
傭兵タイプ殺し屋の最高峰。腕時計に仕込んだワイヤーで標的を絞殺する。残酷な手段を好む殺人マシーンだが、金に弱い俗物的な面でキャラクターに深みを与えた。
ボンドのこめかみに銃を当て物色するシーン最高に好き

◾︎15位  オーリック・ゴールドフィンガー
登場作品 / ゴールドフィンガー
俳優 / ゲルト・フレーベ
何よりも金(きん)を愛するビジネスマンであり、犯罪界のレベルを底上げしようと目論む情熱家。その風貌と愛すべきキャラクターで、シリーズの悪役像を塗り替えた。
おとぼけキャラが演説シーンではカリスマ的かっこよさ

◾︎14位  ドミニク・グリーン
登場作品 / 慰めの報酬
俳優 / マチュー・アマルリック
シリーズで最も現実的な悪役。表向きはNPO団体CEOで慈善事業家だが、実は地下組織の幹部。脅しが上手いインテリヤクザのようなニュータイプ。
わーわー叫びながら振り回す斧で自爆は最高だった

◾︎13位  オッドジョブ
登場作品 / ゴールドフィンガー
俳優 / ハロルド坂田
無口で屈強な大男という怪物的キャラクターの元祖であり、かつユーモアセンスに溢れたシリーズ悪役のシンボリックな存在。カッターを仕込んだシルクハットを武器にする。
ゴールドフィンガーと完璧なコンビネーション

◾︎12位  ザオ
登場作品 / ダイ・アナザー・デイ
俳優 / リック・ユーン
顔じゅうに埋め込まれたダイヤモンドと白い顔に青い瞳。久しぶりの怪物的キャラクターに胸騒ぎ。遺伝子操作による変身途中というインパクトが絶大。
この作品はみんなやり過ぎで最高だった

◾︎11位  グスタフ・グレーブス
登場作品 / ダイ・アナザー・デイ
俳優 / トビー•スティーブンス
遺伝子操作で北朝鮮人からイギリス人へ転身しボンドを欺いた。一度ボンドに"殺された"恨みがある分、強い私怨を持つ。ラストのモビルスーツ戦で爆上がり!
ガンダムマン!勝てるかボンド!?

◾︎10位  ヒューゴ・ドラックス
登場作品 / ムーンレイカー
俳優 / マイケル・ロンズデール
地上の全人類を抹殺し、宇宙に桃源郷を創ろうと目論む誇大妄想狂。ロボットを思わせる冷静沈着ぶりと、神経質な完璧主義ぶりが際立つも、用心棒の人選ではミスが続く。
ノアの箱舟計画の父。本物の野心家。カコイイ!

◾︎9位  ミスター・ホワイト
登場作品/カジノ・ロワイヤル,慰めの報酬,スペクター
俳優 / イェスパー・クリステンセン
少ない出番ながら漂わせる闇世界の大物感。登場する毎に素性が深掘りされ、地下組織幹部の非情な顔と、娘を愛する父親の顔を見せてくれた。その末路も含め忘れ難い。
何よりそのルックスね!見た目は大事!

◾︎8位  エレクトラ・キング
登場作品 / ワールド・イズ・ノット・イナフ
俳優 / ソフィー・マルソー
ボンドガールでありながら実は黒幕。ボンドとMを陥れ、追われる事すら楽しむストックホルム症候群の女。ボンドの古傷を抉るよう心身共に弄んだ稀代の悪女。
ボンドガールとしてだけでなく悪役としても再評価を!

◾︎7位  カマル・カーン
登場作品 / オクトパシー
俳優 / ルイ・ジュールダン
セコくてどこか間抜けなキャラクターをイケメンダンディのジュールダンが演じる事で味わいが出た。ボンドを始末したと思い込み、子供のようにはしゃぐ演技が絶品。

このヘンテコな味付けはジュールダンの思惑かな

◾︎6位  ミランダ・フロスト
登場作品 / ダイ・アナザー・デイ
俳優 / ロザムンド・パイク
MI6の北朝鮮潜入捜査員でありながら実は売国奴。そのキャラクターと美貌でメインの悪役を喰った。本性を晒してからの対ボンド戦と対ジンクス戦は最高の見せ場。
コロコロと変わる顔…たまらない!騙されたい!

◾︎5位  ドクター・ノオ
登場作品 / ドクター・ノオ
俳優 / ジョゼフ・ワイズマン
シリーズ悪役の印象を決定づけたのがこの人。抑揚のない話し方とスマートな物腰が印象的。偉大な犯罪者の頭脳を持つインテリ系だが、武闘派の一面も見せる。
すべてはこの人から!不気味ゴージャス系の元祖

◾︎4位  エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド
登場作品/ 女王陛下の007 
俳優/ テリー・サヴァラス
先頭を切ってボンドを追いかける行動力抜群のスペクター首領。演じるサヴァラスの魅力もあって、威圧感とダンディ度はブロフェルド史においてNO.1。
観るほどに好きになる魅力があるんだな

◾︎3位 フランツ・サンチェス
登場作品/ 消されたライセンス
俳優/ ロバート・デヴィ
シリーズには裏ボンドと呼べるダンディな悪役が多いが、サンチェスがその最高峰だと思う。ファミリーの信頼関係を重んじるカリスマ性が光るも、人の良さが命取りになった。
シリーズいちと言える凶暴性とダンディズム

◾︎2位  エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド
登場作品 / ダイヤモンドは永遠に
俳優 / チャールズ・グレイ
その胡散臭さ、いやらしい笑顔、冷めた目で部下やボンドを睨む姿は、どのタイプにも属さない独特の魅力。女装での脱出や、部下を置き去りに一人逃亡を図る性格も100点!
そのルックスも無条件に好きです!

◾︎1位  ミスター・ウィント&ミスター・キッド
登場作品 / ダイヤモンドは永遠に
俳優 / ブルース・グローヴァー&パター・スミス
ゲイの殺し屋カップルで、不気味・かわいい・ユーモラスな魅力満載!シュールで小洒落た会話と、"あわよくば"ボンドを殺そうと、奇抜・非効率な手段でボンドに絡む。
↑ミスター・ウィント ↓ミスター・キッド
ラストのボンド戦は伝説!

いずれの悪役も、怪物的キャラクターでボンドを圧倒しましたが、ダニエル・クレイグが主演する近年の作品では、現実社会に蔓延るリアルな悪人が描かれるようになりました。

しかし、最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の前作『スペクター』では、ショーン・コネリーが出演していた時代の秘密組織スペクターの復活と共に、組織の首領であるブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)まで復活させ、往年テイストへの回帰を図りました。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』にも連続登場するブロフェルドは、塀の中から如何なるインパクトを作品に与えてくれるのだろうか。

そして、メイン悪役のサフィン(ラミ・マレック)は、シリーズに如何なる進化をもたらし、我々観客をどう驚かせてくれるのか期待がかかるところです。

クレイグが有終の美を飾る最後の主演作品、ただでは済まない何かがあるはず!そんな『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、いよいよ明日10/1公開!!

もちろんボクも初日行ってきます!!


※2019年5月3日の投稿記事をリライトしました


007シリーズこちらも
ノー・タイム・トゥ・ダイ