復活。

2015年 監督/ サム・メンデス

007シリーズ第24作。この作品では2つの大きな復活劇があります。ひとつはタイトルが示す通り、ボンド、そしてMI6の宿敵である世界最大の犯罪組織"スペクター"の復活。そしてもうひとつは、シリーズ往年の娯楽テイストの復活。シリアス路線をひた走ったダニエル・クレイグ主演シリーズが自身の主演最終作へ向けてきった舵は、我々観客をどこへいざなってくれるのか。

この作品のタイトル『スペクター』が発表された時は鳥肌が立ちました!これは往年のシリーズファンが待ちに待った瞬間。完全に諦めていたMI6対スペクター戦が復活するのですから!
スペクターは、シリーズ第1作『ドクター・ノオ』から『ダイヤモンドは永遠に』までの計6作品に007の宿敵として登場。しかし、それ以降権利問題によりスペクターはスクリーンから姿を消し、因縁の対決はうやむやにされたままだったのです。声を大にして言います。生きているうちに007 vs スペクターの決戦をまた見る事が出来てホントに良かった!これはもう冥土の土産ですよ!!

スペクター復活に合わせてか往年の娯楽テイストも復活!これは正しい化学反応と言えましょう。秘密兵器を搭載したアストンマーティンも復活!まさかクレイグ=ボンドがイジェクターシートで宙に舞う日が来るとはなあ。



【この映画の好きなとこ】

◾︎アバンタイトル
空中で繰り広げられる壮絶バトルもいいけど、狙撃態勢に入るまでのライブ感溢れる超絶長回しが最高!ここまで撮影技巧に拘ったシーンはシリーズとしても珍しい。
屋上ランウェイにスーツ姿で登場!地元観客も熱狂!

◾︎タイトルシークエンス
クレイグ主演シリーズの過去作品主要人物であるヴェスパー、M、シルヴァ、ル・シッフルらがタイトルシークエンスに登場。なぜこの面々が?その答えは本編に!
ヴェスパーのこのカットも実に効果的

◾︎Qとのコンビネーション
前作『スカイフォール』から登場した新しいQ。前作でのクールなキャラクターから、本作ではボンドに散々振り回される役どころ。最高のコンビネーションが確立!
次回作での2人の絡みが楽しみ!猫増えてるかな?

◾︎ボンドとルチア
モニカ・ベルッチの気品、存在感が発揮された名シーン。ボンドとの会話もこれぞオトナの007と呼べるクオリティ。ベルッチを起用した理由の答えがこのシーンにあります!

BGMの宗教音楽、"ニシ・ドミヌス第4曲 主は愛するものに眠りを与えたもう"も素晴らしい

◾︎スペクターの首領登場
シルエットで登場するオーベルハウザー。一瞬で空気を変える圧倒的威圧感が素晴らしい!これこそが往年の味!
本作の大きな見せ場のひとつ

◾︎列車内での死闘
スペクターの刺客ミスター・ヒンクスと繰り広げる列車内での激しい格闘。列車内の死闘はシリーズ伝統ですが、白のディナージャケットもまた伝統。『ゴールドフィンガー』ばりに赤のカーネーションまで完全再現。
ヒンクスも伝統を継承し無口な大男の殺し屋に

◾︎秘密基地
1960年代シリーズ定番の秘密基地まで復活!ボンドをロールスロイスで出迎え、シャンパンまで振る舞う敵陣!
これを大スクリーンで観た時の感動と言ったら

◾︎私だよ 
「君が私の領域に踏み込んだ時に仲間を消した。君が愛したヴェスパー、Mも永遠に消えた。私だよ。すべて私が仕組んだ。君に苦しみを与えて来たのは私だよ」オーベルハウザーからボンドへ衝撃の告白!
"そんなの後出しジャンケンだよ!"と思いながらも全身を蝕む鳥肌に負けました

◾︎ブロフェルドの愛猫
オーベルハウザーの拷問部屋で目覚めたボンドが見たのは、なんと往年のブロフェルドが愛した白のペルシャ猫!もうザワザワが止まりません!
もしやいるのかブロフェルド!?

◾︎瞬殺
瞬殺はクレイグ=ボンドのトレードマーク。本作では黒頭巾を被せられ両手を拘束、頭に銃を突きつけられるピンチに。しかし、ここでも鮮やかな瞬殺と力技を見せてくれます。
これはもはやイリュージョンだ!

◾︎M対C
Cに放つ「友人の選択が悪い」とか「"C"はCareless( = 不注意)の意味か?」など、主役級のセリフを放つMの存在感と活躍も大きな見どころ。
現場を知っているMならではのアクションも!

◾︎二度死ぬver.  
顔の右半分に傷を負ったオーベルハウザー。これって『007は二度死ぬ』のブロフェルド!?こんなサプライズまで仕掛けて来るとは!これはもう007祭りだ!
このあと髪全部燃えてスキンヘッドになっちゃうのかなと妄想し、激しく興奮したけどそこまででした

◾︎ジェームズ・ボンドのテーマ
前作『スカイフォール』で使用されたスコア"The Moors"の旋律にJBのテーマをフィーチャーした"Westminster Bridge"が最高!モンティ・ノーマン作曲"ジェームズ・ボンドのテーマ"、ジョン・バリー作曲"007"に続き、トーマス・ニューマン作曲"第3のジェームズ・ボンドのテーマ"と勝手に認定しよう。

『スカイフォール』の"The Moors"と聴き比べてみるのもいいよ!

ついに復活したスペクター!懐かしいシチュエーションの数々にワクワクした2時間半でした。これまでのシリアス路線から、突然のシフトチェンジに戸惑った方もいたと思います。しかしオールドファンから言わせると、荒唐無稽な娯楽劇にバランスよくシリアス劇を挟んで来たのが007シリーズ。老舗の味を堪能させてもらいましたよ。

次回作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』で、いよいよシリーズを勇退するクレイグ。どんな趣きの作品になっているのか楽しみでなりません。復活した王道路線で行くのか、それとも…。リブート製作された新シリーズの完結編ですから、ひょっとすると驚きのエンディングが待ち受けているのかもしれませんね。クレイグが公言していた"ある驚きのアイディア"とはなんなのか?一日も早い劇場公開を祈ります!!

※2019年3月20日の投稿記事をリライトしました


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