第1918回「29歳の誕生日、マゼール&ウィーンフィルのマーラー交響曲全集をSACDで聴く」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



 みなさんこんにちは😃本日7月15日は、私の誕生日です。今年で29歳になります。当ブログを始めてから早いものでもう5年となりますが、来年30歳となります。あまり実感がありませんがコロナも終息してきているので、再び音楽活動を再開せんと考えていて、トランペット演奏の幅を広めようと考えている今日この頃となります。またオーケストラで演奏したいですが、吹奏楽でも少しずつ演奏できる機会を増やせればと考えています。

 さて、誕生日に取り上げる名盤と言ったらやはりマーラーの交響曲でいきたいところ。ここ最近マーラーの交響曲は大分ご無沙汰してしまっているので、今回は先日7日に本来取り上げる予定だったロリン・マゼール&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるマーラー交響曲全集を取り上げていきます。昨年11月に初となるSACDハイブリッド盤となって最新のリマスターが施されたことが大きな話題となりました。今回満を持して取り上げたいと思います。


「ロリン・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

マーラー作曲:
交響曲第1番 ニ長調「巨人」

交響曲第2番 ハ短調「復活」

交響曲第3番 ニ短調

交響曲第4番 ト長調

交響曲第5番 嬰ハ短調

交響曲第6番 イ短調「悲劇的」

交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」

交響曲第8番 変ホ長調「一千人の交響曲」

交響曲第9番 ニ長調

交響曲第10番よりアダージョ


「アグネス・バルツァ(メゾ・ソプラノ)、ロリン・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

亡き子をしのぶ歌



 マゼールは3回もマーラーの交響曲全集を完成させている。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、フィルハーモニア管弦楽団の順であり、今回は1回目にあたる交響曲全集だ。今回初のSACDハイブリッド化となっており、BOXの値段は高かったが誰もが待ち望んでいた代物であることには変わりない。私自身聴くのは通常CD盤の全集以来なので、約4年ぶりくらいになるだろうか。


・マーラー:交響曲第1番「巨人」

録音:1985年10月3日&4日

 やや重心の低いテンポからなる落ち着きと優美さを兼ね備えた分厚いスケール感を味わえる演奏であると言えるだろう。新しいリマスターが施されたことにより、ダイナミック・レンジの幅広さが増しているため、ウィーン・フィルが奏でる音色には奥深さと太めな芯を確かに聴くことができるようになってる。交響曲全集の一番最初からこれほどに素晴らしい演奏を聴くことができるとはとても思わなかった。


・交響曲第2番「復活」

録音:1983年1月5日〜10日

 キャプランやワルターの「復活」も非常に優秀な録音だが、このマゼール&ウィーン・フィルによる演奏も理想的に思える「復活」と言えるだろう。SACDハイブリッド盤となったことによる最新リマスターの効果が余すことなく発揮されており、伸びやかな弦楽器の音色や金管楽器の咆哮など細部にわたり楽器の特徴を思う存分味わえるようになっている。特に第2楽章、第4楽章、第5楽章後半は美しさが極まっている。合唱が加わってからもその透き通るような響きを奏でる世界観は非常に素晴らしく、圧倒的に分厚いスケール感をたっぷりと味わえるのは感動的である。


・交響曲第3番

録音:1985年4月24日、26日、29日&30日

 非常に聴きごたえのある分厚いサウンドを味わうことができる演奏となっており、濃厚な金管楽器と弦楽器の音色を余すことなく味わえるというのは非常に素晴らしい。神秘的かつ空間的にも美しさで充実した演奏となっているため、ずっと聴いていられる。第3楽章で演奏されるポストホルンの音色も豊かで奥深さが感じられる。ダイナミック・レンジの幅広さが増しているということもあってバランスも良くなって演奏時間が長い交響曲であることを忘れてしまうくらいに音楽に没入できる演奏だ。


・交響曲第4番
録音:1983年11月3日〜6日
 重心が低く、重みをしっかりと感じながら演奏を聴くことができるようになっているため普段聴く軽快さからなるテンポの緩急や混沌さなどから離れた交響曲としての長大なるスケール感を味わえるようになっていると言えるだろう。ダイナミック・レンジの幅広さが功を奏する形となり、細部まで細かく聴き込むことができる演奏となっているため高いアンサンブルを特に第2楽章や第3楽章では聴くことができるようになっている。もちろん深みのある低弦の演奏も素晴らしいので、最初から最後まで気を抜くことは許されないだろう。

・交響曲第5番
録音:1982年9月30日〜10月4日
 ここまで自由に演奏された交響曲第5番がこれまであっただろうか?と聴いている時に思わず考えてしまうかのようなアプローチが大変多く盛り込まれている。特にテンポの緩急が激しく変化している。特に「緩→急」の際に豪快かつ躍動感を含みながら演奏が進められる。弦楽器の透き通るように伸びやかな音色と響きであったり、金管楽器の活発なサウンドなど全体的に聴いていて凄まじいダイナミクス変化ともなっている。第4楽章アダージェット以外の楽章は特に個性的に描かれて、アダージェットではたっぷりとしていて伸びやかな演奏が展開されているのでぜひ細かく聴き入ってほしい。

・交響曲第6番「悲劇的」
録音:1982年9月30日〜10月4日
 混沌さを通り越した美しさが今回の演奏にはあるとも言える。金管楽器の咆哮も木管楽器の歌い方も、弦楽器の伸びやかな音色も全てが一貫性を強く感じやすい演奏となっている。たっぷりと幅広く演奏されるスケール感は、隙間すら感じさせないものとも言える仕上がりとなっており、聴き手を魅了し続ける。特に第3楽章のアンダンテ楽章は美しく感じることができた。そして、第4楽章でのハンマーは振り下ろされる瞬間に大きな溜めがあり、放たれた瞬間の衝撃は深みある打撃となっている。低弦の音色に合わせた見事なサウンドを体感できる演奏だ。

・交響曲第7番「夜の歌」
録音:1984年10月1〜4日
 交響曲第5番と同じ構成ということもあって、非常に自由度の高いアプローチが施された演奏と言える。楽章によってはテンポの緩急が激しく演奏されることもあれば、ゆったりとたっぷり演奏されるスケールも味わえる。これは非常に素晴らしい名盤と言えるでしょう。細かく演奏されたダイナミクス変化もそうだが、細かな揺らぎも聴きごたえを生み出しているのでヒーリング的な効果もあると言えるだろう。

・交響曲第8番「一千人の交響曲」
録音:1989年6月19日〜24日
 ウィーン・フィルが奏でる透明度の高さと最新リマスターによるダイナミック・レンジの幅広さが功を奏する形となった「一千人の交響曲」。テンポとしてはやはりやや遅めのアプローチがとられているため、第2部では壮大なるスケール感を終始味わうことができるようになっている。名手揃いの歌手に加えて、合唱による濃厚な歌声はオーケストラのサウンドとも重なり合うことによって圧倒的な臨場感と奥行きを作り上げている。パワーでゴリ押すことなく、透き通るような音の良さを余すことなく味わえるので、誰が聴いても感動することができる名盤である。

・交響曲第9番
録音:1984年4月13日、14日、16日
 ウィーン・フィルによる演奏ということもあって、透き通るように美しい音色と響きによる伸びやかな演奏が功を奏する形となっている印象が非常に強い今回の演奏。第4楽章は特に息を呑むほどに美しいスケール感となっており、弦楽器のたっぷりと演奏されていることによる土台の仕上がりが抜群に良いと言える。今回の交響曲全集でほとんど共通していることだが、テンポの軸が遅めかつやや重めであるということがマッチした感覚であることは間違いない。

・交響曲第10番よりアダージョ
録音:1984年10月3日
 これまで個人的な考えとして、交響曲第10番は未完成の作品となっているため補筆版が理想とも考えていた。それ故に全補筆版の録音を収集してきたわけだが、当盤を聴いてやはり第1楽章であるアダージョのみだけでもマーラーの世界観をたっぷりと体感できる凄みある演奏だったと言える。ダイナミック・レンジの幅広さが増しているからこそ分厚いスケール感が増しているというのもそうだが、その濃厚な弦楽器群やトランペットをはじめとする金管楽器の咆哮は他の録音を遥かに凌駕している。ややテンポが遅いことによる足取りの重さが功を奏する形となっているのも非常素晴らしいと言わざるおえない。

・亡き子をしのぶ歌
録音:1985年4月25日
 交響曲が録音された同時期に録音されていることもあって、その濃厚さと重厚的な音色からなるウィーン・フィルのサウンドは別格とも言える。まさに歌曲の枠を超えたとも考えても良いアプローチとなっており、ずっしりとした重みを体感できる奥行きと深みを確かに味わえるオーケストラの演奏と、伸びやかながら芯があり、太めな歌声が聴き手を魅了する。

 以前聴いた時からすると、マゼール&ウィーン・フィルによるマーラー交響曲全集は非常に大きく進化した名盤となったと言っても良い。それだけ最新リマスターの効果は非常に大きかったと言えるだろう。値段は高かったものの後悔はしていないし、むしろ再認識に繋がる演奏が多かったとも言える。これからもこの全集に関しては聴き続けていきたい代物である。

 今回時期的にいろいろと重なってしまったため、ギリギリまで全集を聴いてからの投稿となってしまった。2024年に入って仕事環境も大きく変化し、ますます忙しくなる中ではあるがブログも年内には2000回を迎えることができそうだ。もうその時に取り上げる曲は決まっているのでこれからもクラシック音楽における名盤を一つでも多く取り上げていきたいと同時に、同世代にクラシック音楽に興味を持ってもらえるようなブログであり続けたいと思う。

https://tower.jp/item/5868864/マーラー:交響曲全集<完全生産限定盤-来日記念盤>