ロブレスは9歳でデビューした後、16歳でマドリード音楽院を卒業。1954年にはジャン=ピエール・ランパルとモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」にて共演した。この曲はロブレスにとっても重要な曲にあたり、以降相当な回数演奏会でも取り上げることとなる。当盤にはその録音が収録されていないものの、ある意味曲目をみても難しい印象を受ける作品はないため親しみを持って演奏を楽しむことができる入門的なアルバムになっているとも言えるだろうか。
・ヘンデル:ハープ協奏曲
録音:1980年2月6〜8日
響きが大分増強されているため、ハープが伸びやかでいて非常に美しく聴こえるようになっている。弦楽器の音色に関してもコンパクト寄りになっており、引き締まり過ぎていないため聴きやすいサウンドとなっているのも特徴的であると言えるだろう。ヘンデルのハープ協奏曲は今回初めて聴いたが、短い時間ながらたっぷりとした聴きごたえのある演奏が展開されているのは間違いない。
・ボワエルデュ:ハープ協奏曲
録音:1980年2月6〜8日
ヘンデルのハープ協奏曲と比べるとより一層厳格なるスタイルからなるダイナミクス変化などが施されたとも言って良いだろう。まさに一つの交響曲を聴いているかのような世界観とも考えられるかもしれない。DSDマスタリングが施されたことによるダイナミック・レンジの幅広さが功を奏する形となって、歯切れ良いサウンドが聴きやすさと心地良さを同時に味わうことができるというのもこの曲を楽しむに当たり重要なポイントとなっている。
・ディッタースドルフ:ハープ協奏曲
録音:1980年2月6〜8日
ハープと弦楽器が一体感を見事に作り出した瞬間を聴くことができる演奏となっており、テンポの緩急や細かいダイナミクス変化など協奏曲とはいえ編成が小さいことが功を奏する形となっている瞬間は幾度となく垣間見ることができるようになっている。
・エーベルル:第1楽章主題、変奏とロンド・パストラーレ
録音:1966年6月15日〜16日
ハープの可能性を引き出すことができる非常に素晴らしい演奏とも言えるもので、先ほどの協奏曲と比べると少し前の録音となるため音質に古さがまだ残るかもしれない。ただ、最新DSDマスタリングが施されたSACDハイブリッド盤となっているため伸びやかな音と豊かな響きが功を奏する形となっているのは間違いない。大分聴き入ってしまう演奏だった。
・ヘンデル:ハープのための変奏曲
録音:1966年6月15日〜16日
意外にもここまで聴いてきた作品とは違い、暗めの叙情的な雰囲気すら感じさせるようなハープの音色と響きが独特な世界観となっている。ダイナミック・レンジの幅広さが増しているとはいえ、その美しさを確かに感じることのできる演奏となっている。時代に的な録音状態もあるため、明瞭とまではいかないかもしれないが趣きは強く味わえる演奏だ。
・ベートーヴェン:スイスの歌による6つの変奏曲
録音:1966年6月15日〜16日
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