「セルジュ・チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団」
ワーグナー作曲:
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
ジークフリート牧歌
楽劇「神々のたそがれ」よりジークフリートの葬送行進曲
「タンホイザー」序曲
チェリビダッケによるワーグナーが収録されている。ミュンヘン・フィルとのブルックナーライヴは過去に何種類か聴いているが、ワーグナー演奏はそういえば聴いたことがないなと思い今回取り上げている。演奏される曲は「マイスタージンガー」、「ジークフリート牧歌」、「ジークフリートの葬送行進曲」、「タンホイザー」序曲の4曲だけとなっているが、想像している以上の満足感であることは間違いない。
・ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
録音:1993年2月3,4日(ライヴ)
過去に聴いたことがないくらいの重量感をオーケストラ全体から聴くことができ、聴いていくうちにこれまで聴いたことがないような音すら聴こえてくる。新しい発見に満ち溢れた演奏ということで、個人的には聴いていて非常に面白かった。ただ、分厚いスケールからなる濃厚さと太さが強烈である分、多少の疲れは残ってしまうかもしれないのだが、この壮大なるスケールと金管楽器の存在感には非常に驚かされるものがある。ダイナミック・レンジの幅広さと、前奏曲ではあるがフィナーレを思わせるようなアプローチにはまさに驚愕な演奏であると言えるだろう。
・ワーグナー:ジークフリート牧歌
録音:1993年2月3,4日(ライヴ)
元々は小編成の作品であるため、演奏する編成によっても聴こえ方が変わってくる曲となっているが、今回の演奏に関しては伸び伸びとした圧倒的なスケール感と細部までたっぷりと演奏された隙間のない音の密度というものが非常に強烈である。その分各楽器の音色や響きも明確に聴き取りやすいクリアな録音状態というのも、このライヴとしては満足度の高い演奏であると感じることができる。これまで何気なしに聴いていたこの曲だが、今回の演奏で明らかに新しい解釈へと明確に向かうことのできた素晴らしさが演奏にはあった。
・ワーグナー:楽劇「神々のたそがれ」よりジークフリートの葬送行進曲
録音:1993年2月3,4日(ライヴ)
まさにこの時期のチェリビダッケが演奏するにふさわしいと言っても過言ではない曲である「ジークフリートの葬送行進曲」。テンポにより重みが増しているからこそ弦楽器の生々しい音色やティンパニの強打、金管楽器のキレ味も深まったサウンドが功を奏す形となっているのがよくわかる。ライヴでの熱量も加わったことにより、ダイナミック・レンジの幅広さによって非常にテンションが高まっているのがよくわかる。
・ワーグナー:「タンホイザー」序曲
録音:1993年2月3,4日(ライヴ)
演奏では意外にもそれほどテンポが落ちていないように聴こえる「タンホイザー」序曲。弦楽器によるうねりや細かいテンポの緩急を含めたダイナミクス変化などインパクトの強さを感じる面が強い。オーケストラ全体におけるサウンドについても非常に緩やかで伸び伸びとしたアプローチからなる演奏が展開されているので、濃厚であることも含めて聴きやすいスケール感もあるため聴きやすい。トロンボーンの音色も存在感が明確で、他の楽器に引けを取らない厚みからなる音圧を確かに感じた。
本来ならばワーグナー管弦楽曲集であればもう何曲か収録されていても不思議ではないのだが、今回に関してはこれだけでも満足のいく演奏を聴くことができたのは間違いない。むしろ少ないことによって他の曲を演奏していたらどうなっていたのだろうという想像にも繋がって、個人的には面白かった。
















