「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
セクシーシーンを増やしただけの“やっつけ映画”
★★
(2015年/日本/114分)
【 脚本・監督 】
園子温
【 原作 】
若杉公徳
【 出演 】
染谷将太
池田エライザ
真野恵里菜
マキタスポーツ
深水元基
柾木玲弥
柄本時生
神楽坂恵
安田顕
高橋メアリージュン
冨手麻妙
サヘル・ローズ
今野杏南
星名美津紀
篠崎愛
清水あいり
星名利華
板野友美
【あらすじ】
愛知県の東三河に住んでいる、同級生の浅見沙英に運命の出会いを感じる高校2年・鴨川嘉郎。
嘉郎は、ある日突然、人の心の声が聞こえる“テレパシー”の能力に目覚め、世界を守るヒーローを目指す。
時を同じくして、テレパシーに目覚めた幼馴染のヤンキー女子高生・平野美由紀や、テレキネシスに目覚めエロい事ばかりに使っている喫茶店のマスター・輝さんなど、東三河に数々のエスパーが目覚め始めるが、そこには能力を悪に使うエスパーも誕生していた。
悪のエスパーによる類滅亡の序章“世界エロ化計画”を知った嘉郎たちは、仲間たちと力を合わせ、迫り来る危機に立ち向かうのだが―
【コメント】
性春ほとばしる東三河のエスパーたちよ、待ってました!!!
2013年、テレビ東京の深夜ドラマながらギャラクシー賞テレビ部門を受賞しカルト的な人気を誇った、ご存じ園子温監督によるSF
なにを隠そう僕はTVドラマの大ファンでして、映画化されることを常日頃から願っておりましたが、案の定の映画化ということで非常に楽しみにしていた作品であります。
コメディはやっぱり大勢の観客と共に!ということで、「TOHOシネマズ新宿」に足を運んだところ、いるわいるわ「みんエス」ファンの若者たちが!大盛況、満員御礼です。
そんなファンたちとともに、映画ではどんな性春を見せてくれるのかワクワクしながら挑んだ次第です。
セクシーシーンを増やしただけ、粗さが目立つ園子温監督の“やっつけ仕事”
うーーーん、なんか期待しすぎたのか、どうも納得できない出来だったなー
とにかく昨今の園子温的のフォーマットどおり、全編通してハジけにハジけまくっていて、TVドラマ以上にパ●チラの大サービス、セクシー女体の大奮発、いつもより多めに回しております状態。
登場キャラたちもなにか吹っ切れたのか、あんなことやこんなことを恥も外見もかなぐり捨てた体当たり演技を見せており、よくぞここまでやり切ったと褒めてあげたいバカハイテンションぶり。
ただそれが逆効果だったなのか、随分と編集が粗いな~と感じずにはいられませんでした。同じハイテンション映画『地獄でなぜ悪い』なんかは、しっちゃかっちゃかでありながらもラストでドカンと1発のデカい花火を打ち上げたような収束感があったのですが、監督の作家魂がうずいちゃったのか、うやむやとして尻すぼみになって終わってしまった感じ。荒唐無稽なだけでセクシーシーンだけ大目に盛り込んだ、ただそれだけの映画でした。
立て続けに4本もの映画を監督した多忙さが裏目に出たのか、映像からも“やっつけ仕事”の感が否めませんでした。正直、ファンだった僕としては残念な出来です。
なぜリブートした!?
そもそも本作のストーリー、TVドラマをリブートした形でスタートするんですが、なぜこの方向性で進んでしまったのか甚だ疑問です。
TVドラマの映画化なんて、ドラマのファンたちが観に行くのがほとんどであって、ディテールは分かり切っているもの。それを組んで、むしろ応援してくれたファンへのプレゼント的な作り方をするのが王道だし、本作もそれでスタートしちゃって全然問題なかったと思うんです。それがなぜ、TVドラマ第1話の撮り直しを再度ファンたちが観なくてはならなかったのか。
監督の考えもあったのかも知れませんが、僕にその真意を捕えることはできませんでした。
役者たちはがんばった!特にエライザはよくやった!
とはいえ、お馴染みの染谷将太やマキタスポーツ、深水元基らの性少年ぶりテンションの高さは相変わらずだし、真野恵里菜のパ●チラサービスも相変わらず。高橋メアリージュンの半ケツボンテージ姿や冨手麻妙のブルンブルンな谷間、今野杏南や篠崎愛のグラビアアイドル達などなど、女優陣もその体とパンツを出し惜しみなく映像に放り出して男子観客たちを魅了させます。その見せ方だけはさすが園子温といったところ。
特に、TVドラマの夏帆に代わって平野美由紀役を演じた池田エライザの体当たりぶりは賞賛に値します。すべてをさらけ出す覚悟でもって本作に挑んだ気合が感じられますね。
夏帆が降板してしまったのはドラマファンとしては非常に残念だったのですが、2代目平野美由紀としての池田エライザはファンでも納得の奮闘ぶりだったと思います。
原作のシリアス展開を参考にしても良かったのでは?
先に公開された『リアル鬼ごっこ』でも分かるとおり、園子温監督は、原作があろうとなかろうと自分の映像作家魂をぶつけてストーリーを組み立てる監督なのであまり期待はしていなかったのですが、今回は原作をベースにしてもよかったんじゃないかなーと思います。
僕は秘かに原作をベースとした映画化に期待していたんです。というのも、原作におけるエスパー同士の戦いはなかなかに凄惨かつドラマチックでグロいシーンも多く、グロ映像にも定評がある園子温ならばあるいは原作のシリアスなエスパー戦争をうまく消化してくれるのでは、と思ってたんです。
まあ結局はTVドラマの延長線になってしまいましたが、園監督が再び本作に挑むのであれば是非とも手がけてほしいストーリーですね。
しかし、やっぱり東三河のエスパーたちにはまた会いたい!
そんなわけで、僕的には正直あまり納得できない映画化だったのですが、やっぱり東三河で生まれたエスパーたちにはまたどこかで再び会いたい!
嘉郎をはじめとする性春を謳歌しているエスパーたちの活躍、このまま楽しかったありがとうさようならは実に惜しい愛すべきキャラたちだと思います。
平成の「毎度お騒がせします」(オッサンは絶対に知ってるドラマ)だと勝手に思っている「みんエス」、みんなが年を取らないうちにもう一度復活してほしいですね。
【2015年度 Myランキング】(9/6時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
大雨洪水警報。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:マッドマックス 怒りのデス・ロード ★★★★☆
2位:チャッピー ★★★★
3位:フォックスキャッチャー ★★★★
4位:映画 ビリギャル ★★★★
5位:野火 ★★★★
6位:アゲイン 28年目の甲子園 ★★★★
7位:セッション ★★★★
8位:プリデスティネーション ★★★★
9位:ナイトクローラー ★★★☆
10位:ムカデ人間3 ★★★☆
次点:テッド2 ★★★☆
リアル鬼ごっこ ★★★☆
ザ・トライブ ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:極道大戦争 ★
2位:ストレイヤーズ・クロニクル ★☆
3位:進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ★★
<その他ランク外一覧>
96時間 レクイエムシン・シティ 復讐の女神神様はバリにいるバンクーバーの朝日激戦 ハート・オブ・ファイトビッグ・アイズジョーカー・ゲームREC/レック4 ワールドエンドANNIE アニーミュータント・タートルズデッドハングマッハ!無限大アメリカン・スナイパーソロモンの偽証 前篇・事件AFFLICTED アフリクテッドシェフ 三ツ星フードトラック始めました余命90分の男ハネムーンイミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密エイプリルフールズジュピターソロモンの偽証 後篇・裁判バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)ワイルド・スピード SKY MISSION寄生獣 完結編龍三と七人の子分たちシンデレラマッド・ナースラン・オールナイトZアイランドイニシエーション・ラブメイズ・ランナー新宿スワン予告犯ピッチ・パーフェクトインド・オブ・ザ・デッドトゥモローランドラブ&ピースマエストロ!アナベル 死霊館の人形アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロンターミネーター:新起動<ジェニシス>バケモノの子スペシャルID 特殊身分HEROゴッド・ギャンブラー レジェンドジュラシック・ワールドミッション:インポッシブル ローグ・ネイション幕が上がる死霊高校ワイルドカードやるっきゃ騎士〈ナイト〉くちびるに歌を映画 みんな!エスパーだよ!
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