「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
所詮は亜流だが真夏の肝試しにでも
★★★
(2015年/アメリカ/81分/The Gallows)
【 監督 】
クリス・ロフィング
トラビス・クラフ
【 出演 】
リース・ミシュラー
ファイファー・ブラウン
ライアン・シューズ
キャシディ・ギフォード
【あらすじ】
1993年、アメリカのとある高校の演劇“絞首台”で、主演を演じたチャーリーに起こった不慮の死。
それから20年、その高校ではチャーリー追悼のために再び“絞首台”の演劇を行う準備を進めていた。演技のおぼつかないまま上演の前日を迎えた主役のリースは、上演を中止させようと仲間たちとビデオカメラを手に深夜の学校に忍び込み、舞台セットを壊し始める。
しかし、恐ろしい怪奇現象が彼らを襲い、校内に閉じ込められた彼らは次々と首吊りの餌食となっていく―
【コメント】
夏の風物詩といえばやっぱり怖い話。怖い話を観るならやっぱりホラー映画。
ということで、今年の東京の夏は雨ばっかりでホラー映画で涼む必要もないほどクールなわけですが、タイミングよく面白そうなホラー映画が何本か公開されたとあって、雨降ってるけどとりあえず夏の風物詩を堪能しようとチョイスしたのが本作。
特段の決め手はありません。比較的近い場所の映画館「MOVIX昭島」で上映されていたので、雨の中遠出もめんどいしと手軽に足を運んだ次第です。
所詮は亜流、だけどPOV系ホラーの王道を踏襲
もはやホラー映画の撮影手法の定番として確立したPOVですが、このPOV手法が大好物である僕にとって本作はなかなかに楽しめました。
『ブレアウィッチ・プロジェクト』や「パラノーマル・アクティビティ」シリーズの大ヒット以来、これまで山のようにPOV系ホラー映画が量産されてますが、やっぱりPOVの手法は限界があるのか、いくら舞台や設定を変えても似たような作りになってしまう。ご多分に漏れず本作もそれからは逃れられなかったようで、先代のPOV計系ホラーを継承した亜流感は否めません。
だけどまあ、よく言えばそんなPOVの王道的展開は踏襲してるし、それなりにドキドキドッキリな気分は味わえます。
コンパクトにまとめられたストーリーと意外なクライマックス
1時間20分ちょいという非常に短い上映時間ではありますが、POVながらストーリーがうまくコンパクトにまとめられているし、みんなでワイワイと肝試し代わりに鑑賞するには最適だと思います。
POVにしちゃ随分と出来すぎた展開だとは思いますが、クライマックスに待ち構えている意外な展開に繋がるものなので、そこは良しとしましょう。チャーリー事件に端を発する因縁を踏まえた場面は面白かったですね。
でも、あそこでいきなり舞台演劇をしちゃうのはどうかと思います。
赤を基調とした映像はインパクトあり、だけどネタがイマイチ
ポスターなどでも使っていますが、劇中非常ベルを押して室内が赤いライトで照らされる場面は、怖さをさらに引き立てていますね。そこで泣き崩れるセクシー姉ちゃんキャシディと、その背後に忍び寄る絞首執行人。本編の中でもハイライトだと思います。
しかしながらインパクトある場面はそれくらいで、若者たちを次々と絞首していく肝心の執行人のインパクトがイマイチ。ぶっちゃけさほど怖さを感じない。結局何者なのか分からないまま終わっちゃうしね。続編に乞うご期待!ということなのだろうか。
いきなりのデカ音で怖がらせる手法はなんとかならんものか
ハリウッド製ホラーの多くに仕込まれている「いきなりデカい音を出して観客をビックリさせる」手法。正直、あれはどうにかならんものか。
あれは“ビックリさせている”のであって“怖がらせている”わけではない。映画スキルのある人ならば、だいたいそれが来そうな空気を察知できるだろうが、慣れている僕でもあの空気は好きになれない。あんなものまともな人間ならばビックリするに決まっているわけよ。ホラーならばもっと映像や雰囲気で怖がらせてほしいものです。
本作でも随所にそんな仕掛けが仕込まれているので、それなりに覚悟を決めて鑑賞することをお勧めします。
今後のPOV系の課題「危機的状況でなぜ撮影できるのか?」
今後もこのPOV系はどんどん製作されていくだろうし、ホラーに限らないさまざまなジャンルに挑む人たちが現れると思う。
しかし、POV最大の課題はやっぱり「そんな危機的な状況で、なんでビデオカメラを回し続けられるの?」という不自然さをいかに解消していくか?これに尽きると思う。
本作にしても、ド素人なのに出来すぎなくらいに映像がきれいに収録されているし、偶然映ったにしてはしっかり映りすぎている。
まあ所詮はモキュメンタリーだし、リアリティを持たせるにしても「そこは許して」という部分でしょうけどね。
そんなわけで、POVバッチ来いな製作陣が作った映画なので完成度はまずまずだし、飛び抜けているわけではないにしろ僕はそれなりに怖がらせてもらいました。
夏の終わり、お化け屋敷に入る気分で仲間たちと観に行ってはいかがでしょうか。
【2015年度 Myランキング】(8/23時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
というか、まだ8月なのに随分涼しくなったな。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:マッドマックス 怒りのデス・ロード ★★★★☆
2位:チャッピー ★★★★
3位:フォックスキャッチャー ★★★★
4位:映画 ビリギャル ★★★★
5位:野火 ★★★★
6位:アゲイン 28年目の甲子園 ★★★★
7位:セッション ★★★★
8位:プリデスティネーション ★★★★
9位:ナイトクローラー ★★★☆
10位:リアル鬼ごっこ ★★★☆
次点:ザ・トライブ ★★★☆
Zアイランド ★★★☆
イニシエーション・ラブ ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:極道大戦争 ★
2位:ストレイヤーズ・クロニクル ★☆
3位:進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ★★
<その他ランク外一覧>
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