「ナイトクローラー」 ★★★☆-“写メりまくり”な現代を皮肉った風刺スリラー | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2015』の掲載にあたって」



“写メりまくり”な現代を皮肉った風刺スリラー

★★★☆

ナイトクローラー




(2014年/アメリカ/118分/Nightcrawler)

【 脚本・監督 】
ダン・ギルロイ

【 出演 】
ジェイク・ギレンホール
レネ・ルッソ
リズ・アーメッド
ビル・パクストン




【あらすじ】

 コソ泥で生計を立てているルーは、とある事故現場で、凄惨な映像を撮ってはテレビ局に売り込む“ナイトクローラー”という稼業を知り、早速ビデオカメラを入手してテレビ局に売り込む。
 視聴率競争に勝つため、ルーの撮影した過激な映像を高く買い続けるテレビ局だったが、要求がエスカレートするにつれ、ルーはより過激なものを求め一線を超えていく―


【コメント】

 お盆も過ぎ、夜もめっきり涼しくなった今日この頃、もはや週末の日課と化したレイトショー鑑賞で今晩は何を観ようかと探っていたところ、これはちょっと面白そうだなと目を付けたのが本作。
 なんでも2015年第87回米アカデミー脚本賞にノミネートされたくらいの一品で、それのみならず英国アカデミー賞の主演男優賞、助演男優賞、全米脚本家組合賞の脚本賞などなど数々の賞にノミネートされたくらいの優秀作品。
 期待が高まる中、歩いて通える劇場「立川シネマ・ワン」まで足を運んだ次第。


ナイトクローラー



▼ なんでもかんでも写メりまくる現代への皮肉

 携帯電話にカメラ機能が搭載されて以降、その手軽さ故、誰も彼も、どこもかしこも写メをパシャパシャパシャパシャと撮りまくっている現代人ですが、風景や友達などとの記念撮影ならまだしも、赤の他人を勝手に撮影したり、事件・事故現場を野次馬根性丸出しで写メったりと、はたから見るとそれってどうなの?という光景を目にしたことがあると思います。しかも撮影した画像をSNSにアップしてユーザーの注目を惹こうとしたりね。
 この構図ってまさに本作の趣旨にドンピシャで、主人公であるルーがまさに写メを撮りまくってSNSにアップしてる人、そしてテレビ局の女ディレクターがもっと見せろもっと見せろとせがむ閲覧者と捉えることはできないでしょうか。

ナイトクローラー



▼ 倫理やモラルなんて簡単に崩壊する

 SNSにおける、写メ画像をアップして注目を集めようとするネタ提供者と、それを面白がってもっとよこせもっと見せろと囃し立てる閲覧者の関係。
 劇中でもあるように、ルーは刺激的な映像を捕えるために事故現場を改ざんしてまで撮影したり、犯人を捉えた映像をわざと隠ぺいし、さらなる刺激的な映像を収めようとする。
 ちょっと前に日本でも土下座を強制してSNSに画像をアップする事件があったし、アルバイトが冷蔵庫に入ってこれまたSNSに画像をアップして問題になったりしてましたが、結局のところネタを提供して注目を浴びたいがためだけにやっているにすぎないわけです。倫理やモラルなんてその場のノリ程度で簡単に壊れてしまうものなんですね。


ナイトクローラー



▼ ジェイク・ギレンホールの不気味な怪演が秀逸

 本作の見どころは上に書いた風刺もさることながら、主人公ルーを演じたジェイク・ギレンホールの不気味さ漂う怪演にあると思います。
 ギョロリとした目をぎらつかせ、一体何を考えているのか分からない負のミステリアスな雰囲気が漂う演技は、本作の陰鬱な空気をさらに重くしている。
 ちなみに、本作からは想像つかないと思いますが、昨年鑑賞した『プリズナーズ』『複製された男』におけるジェイクはメチャクチャイケメンです。

ナイトクローラー



▼ ラストの「ブラック社長の誕生」にも注目

 本作は、ラストでルーが部下に叱咤激励するセリフも面白いです。「お前らは俺の言うとおりに動け!」「俺の指示以外の行動は認めない!」的なセリフ。
 劇中での助手との会話でも垣間見れますが、ブラック企業が社会問題となっている今、ルーの部下への指導がまるっきりブラック企業の社長のようで面白いです。
 ワ●ミの社長や、た●の●梨ビューティ●リニックなんかもこんなセリフを平気で部下に言ってたんでしょうが、海外でもこんな企業が多いんでしょうな。


ナイトクローラー



▼ なぜ今まで公開されなかった?映画ファンなら観ておくべき佳作

 本作の宣伝として“アカデミー賞脚本賞ノミネート”を前面に推していますが、2015年の米アカデミー賞が閉幕して随分と経ってのタイミング的にもズレズレな日本公開。
 本土アメリカでは昨年秋に公開済みだったわけで、これほどの良作をなぜ今まで日本で公開されなかったのか甚だ疑問ですな。
 まあ確かに万人受けする一般性はあまりない作品ではありますが、映画ファンならば必ず何かを考えさせられる佳作だと僕は思います。真摯な映画ファンにはぜひとも観ていただきたい作品です。

ナイトクローラー



 以上。
 そんなわけで風刺の効いた社会派なスリラーですが、小難しさもなく、それでいて確かに現代社会の怖さを垣間見れる良作でした。そして、ジェイクの怪演もぜひ堪能してください。


【2015年度 Myランキング】(8/22時点)

 本作は、本年度のベスト10中9位(暫定)にランクイン。
 夜はだいぶ過ごしやすくなりましたな。


(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:マッドマックス 怒りのデス・ロード ★★★★☆
  2位:チャッピー ★★★★
  3位:フォックスキャッチャー ★★★★
  4位:映画 ビリギャル ★★★★
  5位:野火 ★★★★
  6位:アゲイン 28年目の甲子園 ★★★★
  7位:セッション ★★★★
  8位:プリデスティネーション ★★★★
  9位:ナイトクローラー ★★★☆
 10位:リアル鬼ごっこ ★★★☆
  次点:ザ・トライブ ★★★☆
     Zアイランド ★★★☆ 
     イニシエーション・ラブ ★★★☆



(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:極道大戦争 ★
  2位:ストレイヤーズ・クロニクル ★☆
  3位:進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ★★


<その他ランク外一覧>
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