ターミネーター：新起動＜ジェニシス＞　（評価：★★）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2015』の掲載にあたって」

もはやキャメロン以外に続編はムリ

★★

（2015年／アメリカ／126分／Terminator Genisys）

【　監督　】
アラン・テイラー

【　出演　】
アーノルド・シュワルツェネッガー
エミリア・クラーク
ジェイ・コートニー
ジェイソン・クラーク
イ・ビョンホン
J・K・シモンズ
ダイオ・オケニイ
マット・スミス
コートニー・B・バンス
オットー・サンチェス
ブライアント・プリンス

【あらすじ】

　1997年の“審判の日”以来、機械軍と人類抵抗軍との攻防が続いた地球。
　2029年、人類抵抗軍の指導者ジョン・コナーは、ついに機械軍の中枢にとどめを刺そうとしていたが、機械軍は直前、ジョンを出産する前の母サラ・コナーを抹殺するためにターミネーターを1984年に時間転送装置で送り込んでいた。サラ抹殺を阻止するため、ジョンはカイル・リースを1984年に送り込む。
　しかし、そこにはサラ・コナーの命を狙うT-1000型のターミネーターと、それに抵抗する戦士として成長していたサラ・コナー、そして彼女が“オジサン”と呼ぶT-800型のターミネーターがいた。
　サラとT-800は“審判の日”を阻止するため、人工知能“ジェニシス”の起動を何としても止めるため、カイルとともに行動するが、目の前に立ちはだかったのは、T-3000型ターミネーターと化した意外な人物だった―

【コメント】

　さて、2015年目玉のひとつである待望の作品がいよいよ公開！その名も『ターミネーター：新起動＜ジェニシス＞』というわけで、巨匠ジェームズ・キャメロンが生み出したSFアクションの金字塔「ターミネーター」シリーズ待望の新作、しかもシュワちゃん本格復帰の、しかも悪名高き？３と４を亡きものにすべくリブートをかけた6年ぶりの最新作ということで、こりゃ期待せずにはいられない大注目作品です！
　・・・と言いたいところですが、生みの親であるキャメロンが「ターミネーターは２で終わってんだろボケ」と言っているとおり、お金稼ぎのために無理やり作った３と４は到底１と２の完成度には遠く及ばないガッカリ作品だったわけで、いかにシュワちゃん復帰とはいえ本作に対しても僕としては「大丈夫か？」という不安の気持ちしか浮かんでいなかったわけです。
　とはいえ、そこはやっぱり伝説の「ターミネーター」シリーズ、映画ファンとしては観ないわけにはいかないわけで、宣伝文句でもキャメロンが大絶賛したことを前面に押し出しているので、わずかな期待を胸に劇場に足を運んだ次第であります。

　はい、やっぱりダメでした。リブートしても結局は３と４に肩を並べただけ、何年経っても何作作り直してもキャメロンを超えるものはできないと証明されたようです。
　３は女ターミネーターという安直なアイデア、４はロボットをたくさん登場させただけの単なるSFアクションでしたが、今回は１と２に固執するあまりストーリーを考え過ぎ、結果タイムスリップばっかりしてる、本来の趣旨を見失った続編であると言えます。
　もう、そうじゃないだろターミネーターって。そもそもこんな小難しい内容じゃなくて、未来から来た恐怖の殺人マシンとの殺るか殺られるかの追いかけっこというホラーチックで実にシンプルな話だったはず。その単純至極な内容の奥底に、人類が機械に依存しすぎている機械文明への警鐘という奥深～いテーマがあったからこそ１と２は傑作と評されているわけだ。今回１と２との整合性を取ろうとするあまり、タイムスリップありきの作品になってしまい、本来の執拗に襲いかかってくるターミネーターへの恐怖というのが微塵も感じられなかったし、斬新さを追いかけたあまり、あろうことか人類を救うジョン・コナーをT-3000というラスボスにしてしまうという暴挙に踏み入ってしまった。どうすんだよこの始末、２のファーロングちゃん怒っちゃうよ。
　加えて、今回のキャスティングもいただけない。主要人物であるジョン・コナー、サラ・コナー、そしてカイル・リースの役者陣のなんたる垢抜けなさよ。ちゃんとキャスティング考えたのか、これ。これじゃない感がハンパない。これなら４のジョン・コナー役だったクリスチャン・ベールのほうが何倍も良かったわ。イケメンだし。せっかくシュワちゃん満を持しての再登板だったのに、この役者陣はダメすぎる。