野火 (評価:★★★★) | そんなことより恋をしろ

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『映画を観るよりもお前は恋をしろ恋を』
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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2015』の掲載にあたって」



“匂い”を感じ取れ!

★★★★

野火




(2014年/日本/87分)

【 製作・脚本・撮影・監督 】
塚本晋也

【 原作 】
大岡昇平


【 出演 】
塚本晋也
リリー・フランキー
中村達也
森優作
中村優子
山本浩司
神高貴宏
入江庸仁
辻岡正人
山内まも留




【あらすじ】

 日本の敗戦濃厚な2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。
 結核を患い、舞台も野戦病院も追い出された田村一等兵は、行き場を失いフィリピンの原野を一人彷徨う。
 途中で別部隊と行動を共にするが、兵士たちは空腹と暑さの中で次第に狂気と化していく―


【コメント】

 終戦から70年の今、国内では集団的自衛権の有無を巡って大荒れに荒れていますね。やれ戦争法案だ徴兵制の復活だと反対派の声がメディアや街角のデモであたかも多数派を占めているように見えますが、賛成派ですら戦争は嫌に決まっているわけで、そもそもの論点が違っているように感じます。これは、戦中生まれの僕の親父ですら同じ意見で、「憲法第9条なんて他国には何の関係もないこと。自分の国を自分が守らないでどうする」と言ってます。軍拡し尖閣諸島にちょっかいをかけ続けている中国、核を保持し何度となく日本にミサイルを飛ばしている北朝鮮、未だ戦後補償を求め竹島を不法占拠し続ける反日国家韓国。こんな国に囲まれ70年も解決していない現状で、いったい何を話し合うことがあろうか、いったいいつまでアメリカの武力に頼っているのか。今回の集団的自衛権は、日本がやっと敗戦という汚名から立ち直ろうとする第一歩ではないかと感じます。
 まあそんな持論はさておき本作『野火』ですが、奇才・塚本晋也の力作ということで、以前からかなりの衝撃作ということで評判は聞いていたので、世相的にも非常にタイムリーなので劇場に足を運んでみた次第です。

野火


野火


野火


 ・・・油断してました。トラウマです!
 ストーリーは至極単純なんですが、本作で言わんとしているテーマはさておき、まず最初に飛び込んでくるのは視覚的なエグさ・グロさ・嫌悪感。グロ映像なんてホラー百戦錬磨の俺にとっては余裕だぜ!と言っていた自分がいかにおこちゃまだったのか思い知りました。所詮ホラーのグロなんて漫画的なもので、本作のグロはとにかくリアルに徹したもの。塚本監督の狙いである“戦場の臨場感の体験”を見事に表現していると思いますね。実際、本編の後半は観るに堪えないほどの容赦ないエグい描写の連続で、久々に映画観てリバースしそうになってしまった。映像から伝わる“匂い”を感じ取ることで、さらにリアルな戦場を体感できるんじゃないかと思います。仮に4DXで本作ができたらリバース客続出するでしょうが。

 しかしながら、ただグロいエグいと中学生みたいに評価するべき作品でもないわけで、狂気に満ちた人間の行動の真理や、戦場と謳いながらも「彼らはいったい何と戦っていたのか?」という問い、唯一生き残った田村一等兵が抱えるPTSD(ラストで食事するときに起こす行動)など、映像でのリアル体験を通して改めて戦場とはこういうものだということを考えさせられるストーリーだと思います。
 とはいえ、エグい描写の連続は少々やりすぎだとも思いましたけどね。いたずらにグロ描写を盛り込むより、もっと灼熱の密林における飢餓感や兵士同士の疑心暗鬼感といった心理的なものをもっと盛り込むべきだったんじゃないかとも感じます。

野火


野火


野火


 いやしかし、低予算ながらもこれだけのクオリティを作り上げた塚本監督の手腕は凄いと思います。かなりの思い入れがあるのが映像からも伝わってきます。
 そして何より、リリー・フランキーの怪演が相変わず凄い。それほどの演技力があるわけじゃないのに、その圧倒的な存在感は見事の一言。ほんと凄いです、この人。

 そんなわけで、僕は本作を「お勧めです!」として人に勧めることは憚れますが、評価はどうであれ、戦場のリアル体験として一度は観ておいて決して損じゃない映画だと思います。戦後70年、戦争を知らない人たちがバーチャルでも体験するにはうってつけの作品じゃないかと思いますね。


【2015年度 Myランキング】(8/2時点)

 本作は、本年度のベスト10中5位(暫定)にランクイン。
 今年の夏はペットボトル必須!


(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:マッドマックス 怒りのデス・ロード ★★★★☆
  2位:チャッピー ★★★★
  3位:フォックスキャッチャー ★★★★
  4位:映画 ビリギャル ★★★★
  5位:野火 ★★★★
  6位:アゲイン 28年目の甲子園 ★★★★
  7位:セッション ★★★★
  8位:プリデスティネーション ★★★★
  9位:リアル鬼ごっこ ★★★☆
 10位:ザ・トライブ ★★★☆
  次点:Zアイランド ★★★☆
     イニシエーション・ラブ ★★★☆ 
     ピッチ・パーフェクト ★★★☆



(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:極道大戦争 ★
  2位:ストレイヤーズ・クロニクル ★☆
  3位:進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ★★


<その他ランク外一覧>
96時間 レクイエムシン・シティ 復讐の女神神様はバリにいるバンクーバーの朝日激戦 ハート・オブ・ファイトビッグ・アイズジョーカー・ゲームREC/レック4 ワールドエンドANNIE アニーミュータント・タートルズデッドハングマッハ!無限大アメリカン・スナイパーソロモンの偽証 前篇・事件AFFLICTED アフリクテッドシェフ 三ツ星フードトラック始めました余命90分の男ハネムーンイミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密エイプリルフールズジュピターソロモンの偽証 後篇・裁判バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)ワイルド・スピード SKY MISSION寄生獣 完結編龍三と七人の子分たちシンデレラマッド・ナースラン・オールナイトメイズ・ランナー新宿スワン予告犯インド・オブ・ザ・デッドトゥモローランドラブ&ピースマエストロ!アナベル 死霊館の人形アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロンターミネーター:新起動<ジェニシス>バケモノの子スペシャルID 特殊身分HEROゴッド・ギャンブラー レジェンド






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