「神田沙也加さん急逝」をメディアはどう伝えたか 2年前から変化した「自殺報道」
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/01231045/?all=1
2022年1月23日 10時45分 デイリー新潮
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1月21日、厚生労働省は2021年の自殺者数が2万830人(速報値)だったと発表した。
11年ぶりに増加した前年よりは251人減ったものの、コロナ禍が始まる前の2019年と比べると661人増えた。
自殺対策に取り組む「厚生労働大臣指定法人・一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター」によると、
2年前に立て続けに著名人が自殺した直後に自殺者数が急増していたことが判明してからは、
抑制的に自殺報道を行う報道機関が増えてきたという。
昨年末、神田沙也加さんが急逝したケースではどうだったのか。
***
三浦春馬さんと竹内結子さんの自殺報道があった直後、自殺者数が急増していたことが一目でわかる
2020年に続いた著名人の自殺
〈【相談窓口】「#いのちSOS」フリーダイヤル0120-061-338(月・木:0時~26時、それ以外:8時~24時)〉https://www.lifelink.or.jp/inochisos/
神田さん急逝を取り上げたほとんどのネットニュースの末尾には、このような案内文がついていた。
メディアの自殺報道に変化を感じた人は多いだろう。
報道を受けて自殺念慮に苛まれている人が衝動的な行動に至らないよう、各メディアが行い始めた取り組みである。
昨年末、急逝した神田沙也加さん
厚生労働大臣指定法人である「一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター」が、
2年前からメディアに呼びかけてきたことで定着するようになった。
代表理事の清水康之さんが語る。
「2020年は、7月に俳優の三浦春馬さん、9月にも俳優の竹内結子さんと、著名人の自殺が続いた1年になりました。
警察庁から提供を受けた自殺統計の日時データを分析したところ、自殺報道の直後から明らかに自殺者数が急増していました。
統計的な分析の中で、竹内さんの自殺報道後は、報道から10日間で、約200人の方が影響を受けて自殺で亡くなった可能性があります」
自殺方法がセンセーショナルに伝えられた三浦さんの報道
20年の「自殺者数日時推移」グラフを見ると一目瞭然である。両者の自殺が伝えられた日を境に、大きく折れ線グラフが上に振れている。
年代別に見ると、竹内さんのケースでは40代女性の自殺が増えた傾向が顕著に見受けられたという。
マスコミ報道によって連鎖的に自殺者が増加する「ウェルテル効果」が出ていたことが、統計上でも明らかになった。
同センターは、20年10月にこの分析結果を公表。
メディアに対して、2000年にWHO(世界保健機関)がまとめた「自殺報道ガイドライン(2017年改訂)」に沿った報道をするよう働きかけてきた。
具体的には、報道を過度に繰り返さない、自殺に用いた手段を明確に表現しない、自殺が発生した現場の詳細を伝えない、
センセーショナルな見出しを使わない、文末に支援策や相談先について正しい情報を提供することなどである。
「メディアに対する『自殺報道ガイドライン』遵守の呼びかけは、20年5月の木村花さんの報道時から本格的に取り組み始めたのですが、
当時はまだ浸透しきらず、自殺の手段を詳細に伝えてしまうケースがみられました。
しかし、自殺報道のたびに約300媒体に呼びかけ続けたこともあり、
9月の竹内さんのケース以降は明らかな変化が見られるようになっています。
そして、昨年末の神田さんのケースでは、例外的なものを除き、ほとんどのメディアが抑制的に報道するようになりました。
相談先の情報を文末等につけることはもちろん、メディア関係者に聞いたところでは、
憶測を含んだ報道を意識的に控え、センセーショナルな速報も減ったとのことです。
メディア側も、20年に著名人の自殺が相次ぎ、それらの報道が自殺者数の増加につながったと考えられる現実を踏まえて、
自殺報道のあり方を見直さなければと考えたのだと思います」
自殺念慮を持っている人たちに与える報道の影響
清水氏が別途代表を務めている
「NPO法人 自殺対策支援センターライフリンク」では自殺念慮を抱えた人を対象にした相談業務も行っているが、
著名人の自殺報道が出た直後は相談件数が必ず急増するという。
「自殺念慮を抱えている人は、自殺に至った状況や背景について詳細に書かれた報道に触れた時に抱く気持ちについて、
“持っていかれる”とよく表現します。
自分も死ねば楽になるのでは、こうやれば死ねるのかと、
自分が自殺で亡くなることついて具体的にイメージしてしまい、そのイメージが頭から離れなくなるのだと」
一方で、自殺報道自体を取りやめるよう訴えかけているわけではないとも語る。
「私はもともとNHKの報道ディレクターでしたので、報道する側の気持ちもわかります。
社会的な意義を考えたとき、自殺報道のリスクを考慮した上でも、自殺のことを報道すべきケースもあると思います。
例えば、森友問題の公文書改ざん事件が原因で自殺に追い込まれた近畿財務局職員の方のような場合は、
むしろその背景を掘り下げて報道しなければならないと思います。
一方、芸能人の方が個人的な人間関係などが原因で亡くなった場合はどうあるべきか。
自殺を誘発するリスクがあるからここまでにしようとか、詳細は控えようとか、
報道の自由があるわけなので、最後は各社が判断するのだと思います。
ただし、その判断は、自殺報道が『凶器』になりうる可能性があることを前提としたものでなければなりません」
一人でも思いとどまる人が増えることが大事
神田さんの報道では、ほとんどの記事に相談窓口の案内がついていたが、
「取ってつけただけのような違和感を覚えた」と指摘する声も多かった。
「確かに、反射的に案内をつけ加えているだけで、思考停止しているのではないかと思える報道もありました。
自殺報道ガイドラインの意図を踏まえた報道をもっとすべきと思います。
ただ、当然ですが案内はつけないよりもつけた方がいい。
その案内を見て相談窓口に連絡し、自殺を思いとどまる人が一人でも増えることは大事なことです。
多くの自殺は『追い込まれた末の死』であり、『積極的に選択された死』ではありません。
真面目に懸命に生きようとする中で、死に追いやられてしまう人もいます」
自殺報道が、身近な人を自殺で亡くした人に与える影響も計り知れないとも訴える。
「日本では自殺で亡くなる人が一日平均50~60人も増え続けているわけであり、
そうした『異常な日常』こそをメディアはもっと報道すべきだと思います。
社会全体で自殺問題について考え、社会全体で自殺対策に取り組む意識を高められるのも、また自殺報道だからです」
デイリー新潮編集部