“不適切動画”で国内苦戦続くも、海外展開はしっかり・大戸屋HD(2705)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2705】大戸屋ホールディングス(東証JQS)  NT

現在値 2,198円/100株 PER54.8 PBR3.69 3月配当株主優待 

定食専門店『大戸屋ごはん処』を直営・FCで首都圏中心に展開。
配当金は3月末の一括25円配当のため、配当利回りは1.14%となります。

大戸屋ホールディングスは株主優待を導入しており、3月末に100株以上を保有する株主に

対して2,500円分の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.28%となります。

(※3年以上の長期保有株主については、食事券の進呈額が表記より500円増額されます)

業績は以下の通りとなります。
■2016年3月期 売上高 260億円、経常利益 5.9億円 EPS 42.4円 
■2017年3月期 売上高 256億円、経常利益 7.1億円 EPS 49.6円 

■2018年3月期 売上高 262億円、経常利益 6.6億円 EPS 28.3円

■2019年3月期 売上高 257億円、経常利益 4.6億円 EPS 7.6円 

■2020年3月期 売上高 275億円、経常利益 5.0億円 EPS 40.0円 ce

□2019年6月1Q 売上高 60.9億円、経常利益▲1.1億円 EPS▲14.5円(8/8)
□2019年9月2Q 売上高 130億円、経常利益 0.5億円 EPS 1.3円 ce

2019年3月期の売上高は前期比2.0%減の257億円、経常利益は同30.1%減の4.6億円で

の落着となり期初予算を大きく下回りました。既存店は台風や降雪などの天候の影響が

あったほか、2月の店員による「不適切動画事件」による悪影響により、3月単月既存店

売上高が前年同月比92.5%(全店休業日1日有り)に沈んだ結果、通年の既存店売上高

は同98.7%に留まりました。また、原価面では人件費や原材料費・水光熱費等の経費上

昇は想定線で収まったものの、動画事件による店員教育再徹底のための全店休業日

を設定したことによるFC加盟店への売上補償金の支払いが営業外で発生しました。


進行期である2020年3月期の予算については売上高6.9%増の275億円、経常利益は同

7.9%増の5.0億円を計画しています。今期の国内純増店舗数は13店(出店は15店)を予定

しているほか、「もうひとつの食卓大戸屋」という新スローガンを掲げ、昨年から実施して

きた立地に応じた提供メニューの変更(駅前商業立地・ビジネス立地・ロードサイド立地)

にくわえ、そもそものグランドメニューの刷新とサイドメニューの充実による高単価化を

促進します。またメニューの刷新にあわせ、これまで調理工数が多く、提供までに時間

が掛かっていましたが、食材統一化や工程改善により提供時間が1.5~2.0分短くなる

見込みであり、生産性向上のほか、顧客回転率の多少の良化が見込まれます。なお、

会社側は予算の前提となる既存店売上高を103.0%水準に置いていますが、足許5ヵ月

累計は95.7%で推移しているため、早くも予算未達が濃厚な情勢となっています。


今期は3年中計の中間年度となっており、最終年度である翌2021年3月期に売上高303

億円(CAGR5%)、経常利益10.1億円(CAGR15%)を目標としていますが、マイルストンの

業績目標によれば、本来今期は売上高291億円、経常利益8.9億円を予算にしなくては

ならない筈なので、事実上初年度から躓いてしまっている格好となります。当該中計に

よれば実績期にまでに既存店のテコ入れを完了し、今期以降は出店再加速による500

店体制の実現(※3月末時点は492店)を実現する予定でしたが、出店の方はともかく、

件の不適切動画事件の影響を色濃く受けてしまっているため、今期も顧客信頼度回復

といった既存店のテコ入れ対策期間に充てられる見込みであり、中計目標に対しては

大きくビハインドする公算が高そうです。

 

ただ、国内が苦戦する一方、ニューヨークで4店舗を運営する米国事業はついに黒字化

を果たしており、新たにニュージャージー州にも現法を設立して米国での業容拡大を図

る方針です。これまでFC展開を中心としてきたアジアも、今期からはベトナムで直営で

の展開を実施することとしているため、今後の成長シナリオについては専ら海外に求め

ていく形となりそうです。またFC中心で展開しているタイ・台湾についても、既に各50店

舗級までに成長しているため、次第に海外のFCのライセンス収入が主に利益面での

強力な下支え要素として機能していくことが期待されます。

*参考記事① 2018-08-16  2,209円 OP

三かみ堂」「かこみ食堂」など派生業態にご執心・大戸屋ホールディングス(2705)。

*参考記事② 2017-07-14 2,033円 OP

長期優待導入は創業家の相続対策か?大戸屋ホールディングス(2705)。

 

 

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