長期優待導入は創業家の相続対策か?大戸屋ホールディングス(2705)。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_6266.JPG

【2705】大戸屋ホールディングス(東証JQS) ---

現在値 2,033円/100株 PER48.7 PBR3.13 3月配当株主優待 

定食専門店『大戸屋ごはん処』を直営・FCで首都圏中心に展開。
配当金は3月末の一括25円配当のため、配当利回りは1.23%となります。

大戸屋ホールディングスは株主優待を導入しており、3月末に100株以上
を保有する株主に2,500円分の食事券を進呈しておりますので、配当優待
利回りは約2.45%となります。

業績は以下の通りとなります。
■2014年3月期 売上高 232億円、経常利益 7.9億円 EPS 27.9円
■2015年3月期 売上高 246億円、経常利益 6.2億円 EPS 38.0円 
■2016年3月期 売上高 260億円、経常利益 5.9億円 EPS 42.4円 
■2017年3月期 売上高 256億円、経常利益 7.1億円 EPS 49.6円 

■2018年3月期 売上高 270億円、経常利益 9.0億円 EPS 41.6円 ce
□2017年9月中 売上高 134億円、経常利益 2.9億円 EPS 1.3円 ce

2017年3月期の売上高は前期比1.5%減の256億円、経常利益は同20.1%増
の7.1億円となりました。客単価こそ100.2%となったものの、入客数は97.6%

と伸び悩み、トータルの既存店売上は97.8%となりました。最近まで高単価

路線を鮮明にしてきましたが、入客の伸び悩みや特に若年層の顧客離れ

に対応すべく、昨年7月に一部のメニュー改定を実施しました。なお期末の

総店舗数は、内外合計で436→441店と5店の増加と微増に留まりました。


進行期である2018年3月期の売上高は5.4%増の270億円、経常利益は同

26.5%増の9.0億円を計画しています。今期も純増店舗数は6店ほどに留ま

る公算であり、基本的には既存店のテコ入れに注力する方針です。具体

的にはオーダー端末、レジ自動精算、デジタルサイネージの導入等により

店舗採算性の強化とリブランドを図ります。既に1Q (4・5・6月)の月次売上

が開示されており、既存店売上高3ヶ月累計は99.2%となっています。

また、昨年11月には創業来初となる中計を開示しており、3年後(3.5年後)

の2020年3月期の売上高296億円(CAGR5%)、経常利益億円(CAGR25%)と

かなり過大感のある数字を置いていますが、これは係争のアピール対策

の側面が強く、業績信頼度が著しく低い当社の場合、到底額面通りに受け

取ることは難しいです。達成可能性の目があるとすれば、国内外でFC店を

出しまくって加盟料などのライセンスで抜きまくる方法もありますが、既存

店のブランドを再構築している状況では、あまり現実的ではありません。

さて当社といえば、お家騒動銘柄としての位置付けが強まるばかりであり、

結局6月の株主総会では、役員選任・弔慰金・功労金・SOの各議案につき

会社側と創業家で争われることとなり、このうち特別決議となるSOだけは
賛成率63%で否決となってしまいました。なお、役員選任の賛成率も64%、

弔慰金・功労金の賛成率も62%超とかなり低い水準での可決となっており、

今回の総会も遺恨を残す結果となりました。ちなみにこの弔慰金・功労金

の合計2.1億円に関しては三森一族は受け取るかどうかわからないので、

受け取らない場合は今期見込みの特損は発生しない可能性もあります。

(そのような場合、更なる泥沼化が予想されるので良いシナリオではない)

 

ちなみに13.1%の株を握る、未亡人の三森三枝子氏は相続税支払(分納?)

が待ち受けているため、仮に前述の2.1億円を受け取っても、株券が売却
される可能性があります。このため会社側は、株主構成比99.2%を数える

個人株主の保有継続・買い支えを意図して(?)、長期優遇制度を導入し

ていたりもするため、この辺の相続対策に関しては注目と言えそうです。

*参考記事① 2016-07-21 1,911円 ---
主導権争いは一旦会社側に軍配、大戸屋ホールディングス(2705)。

*参考記事② 2015-08-11 1,903円 ---
筆頭株主の創業者が急逝、大戸屋ホールディングス(2705)。

 

 

会社四季報 2017年 3集夏号 [雑誌]

新品価格
¥2,060から
(2017/6/11 06:43時点)

 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村