「時間回廊の殺人」　★★★～よく考えたSFミステリー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

よく考えたSFミステリー ★★★

【　出演　】キム・ユンジン
オク・テギョン
チョ・ジェユン

【あらすじ】

　1992年11月11日。ウィルン洞34番地にひっそりと佇む家で、夫と息子を殺害した容疑で妻ミヒが逮捕される。ミヒは無実を訴えるが懲役30年が求刑される。しかし、息子の遺体は依然として行方不明だった。

　それから25年後、仮釈放されたミヒは、息子を探すた再び家へと戻る。

　一方、受刑者のケアをしているチェ神父は、家に疑惑を抱き25年前の事件を調べるが、その家にまつわる過去を突き止め、家から出るようミヒに警告するが、ミヒは頑として出ていこうとしない。

　そして、同じ11月11日。25年前の驚愕の事実を知ることになる―

【コメント】

　さて、運よく休日出勤の振替休日をいただき、思わぬ三連休となった週末。しかしながら、またもや大型の台風直撃ということで、土日は引き籠りとなりそうだということで、退屈とならぬよういきつけのTSUTAYAでDVDを物色し手にしたのが本作。

　公開当時、ちょっと面白そうだなーと思っていた本作ですが、公開館数も少なく結局スルーしてしまいました。なので、これを機会に観ておこうと手に取った次第です。

　あ、僕ちょっと勘違いしてました。僕は本作を現在と過去が交錯する純粋な推理系ミステリー物だと思っていたんですが、本作はホラー要素をふんだんに盛り込んだタイムトラベル系のSFミステリーですね、これ。いや、でもストーリーはよく考えられてるし、まずまず面白かったです。

　本作のキーワードとなるのが、一家殺人事件が起きた一軒家。この一軒家というのが、ポルターガイスト現象やら日本語しゃべる幽霊が出てきたりと、いわゆる『悪魔の棲む家』系のいわくつきハウス。この時点で、「あ、これホラー映画だったのか」と勘づいたわけですが、単に悪霊と戦ってハッピーエンドといったありきたりホラーとならないのが本作の面白いところ。なぜにこんな幽霊が歩き回っているのか、無実の罪で服役してしまった主人公の、事件当時の真相というのが、タイムトラベルという形で明らかになるという、よく練られたストーリーとなっていますね。もっとも、ひねり過ぎていろんな要素を詰め込み過ぎた感はありますが、最後はあ～そういうことねとうまく伏線を回収していたと思います。

　若き神父役として、韓国アイドルグループ2PMのオク・テギョンも長身のベビーフェイスイケメンで悪くなかったですね。まあ、主役ではないので思ったほど登場しませんが。とはいえ、韓国映画独特のウェットな雰囲気と家族の愛情の激しさがいかにもという感じ。ちょっと変わり種の韓国映画だったと思います。