「万引き家族」 ★★★★~虚構の幸せ、現実の不幸 | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

 
虚構の幸せ、現実の不幸
★★★★
(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
 
(2018年/日本/120分
 
【 脚本・編集・監督 】
是枝裕和
 
【 音楽 】

細野晴臣

 

【 出演 】
リリー・フランキー
安藤サクラ
松岡茉優 
城桧吏
佐々木みゆ
緒形直人
森口瑤子
山田裕貴
片山萌美
柄本明
池松壮亮
高良健吾
池脇千鶴
樹木希林
 

 

【あらすじ】

 
 とある都内の住宅街。
 日雇い労働者の父・治と息子の祥太は、人がごった返すスーパーで見事な連係プレーで万引きを繰り返していた。その帰り道、団地のベランダで凍えている幼い女の子のゆりを見つけ、家に連れて帰ってくる。
 ゆりの体が傷だらけであったことから、ゆりを家族の一員として迎え、妻の信代、年金暮らしの祖母の初枝、JK見学店でバイトをしている信代の妹・亜紀とともに、貧しいながらも幸せに暮らしはじめる。
 ニュースでは、ゆりが行方不明となったことが話題になっていたが、祥太はゆりを妹のように可愛がっていた。そんな中、とある事件をきっかけに家族の秘密が明らかになり、幸せが崩壊していく―
 
 

【コメント】

 

 さて、今回は見事カンヌ映画祭のパルムドールを受賞して話題となっている是枝裕和監督の本作を鑑賞。

 是枝監督といえば、『海街diary』や『そして父になる』で一気に名を轟かせた日本を代表する監督といっても過言ではない逸材で、昨年鑑賞した『三度目の殺人』も非常に面白かったですね。

 是枝監督が描くテーマ性はなかなかに難解な部分もありますが、これだけ話題になっているならば観なきゃ損ということで、さっそく「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

 さすが話題作、レイトショーでも混雑してましたな。

 

 

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

 

 

是枝監督の十八番“家族の絆”を描いた秀作

 

 いや~さすが是枝監督。“家族の絆”を描かせたらピカイチですな!非常に面白かった!万引きで生計を立てて生活をしている、決して褒められたものではない貧しい家庭ながら、そこいらの裕福な家庭よりも幸福感を感じさせる家族の絆。「幸せとは何か?」というものを考えさせられたパルムドールも納得の秀作です。

 ドラマは2時間とにかく淡々と展開していきながらも、本当に幸せが伝わってくる。万引きシーンやゆりちゃん行方不明のニュース、おばあちゃんの死体を床に埋める場面など、要所要所に普通でないシーンを差し込んで、家族崩壊のクライマックスでそれが生きてくる。全編に渡った幸せな家族の絆が虚構であるという現実を突きつけられるクライマックス、これがたまらない。安藤サクラの流す涙がそれを物語ってましたね。

 幸せだけど普通じゃない。普通じゃないけどこの上なく幸せを感じる家族の絆。その根底にある「幸せ」「家族の絆」という奥深いテーマ性。じっくり見せて深ーく考えさせられる、是枝監督だからこその秀作ドラマだったと思います。

 

 

家族の役者陣が秀逸すぎる

 

 とにもかくにも、本作を支えた6人の家族、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、子役の城桧吏、佐々木みゆ、そして大ベテラン樹木希林の演技は秀逸の一言に尽きますね。まさしく彼らだからこそ絆が垣間見える演技でした。

 リリー・フランキーは言わずもがな、ヌードを惜しげもなく披露した安藤サクラ、JK店でかなりきわどい演技を見せた松岡茉優も良かったし、なにより子役の二人がほんと良い。子役ならではの棒っぽさがなく、あの歳であれだけの不幸感を醸し出せているのは凄い。城桧吏君は若かりし頃の柳楽優弥を彷彿とさせますね。

 そして大ベテランの樹木希林の存在感もハンパない。ほんとフツーのおばあちゃん。どこにでもいるフツーのおばあちゃんをあれだけナチュラルに演じられるのはこの人だけ。それでいて、本作には欠かせないほどの存在感を出している姿に改めて凄みを感じましたね。

 

 

虚構の幸せ、現実の不幸

 

 そんなわけで、本作を通じて是枝監督が言いたかったこととはいったい何だったんだろうか。いちばん大事な部分ですね。相変わらず是枝監督の映画は、そこをうまーくボヤかして作っているので、毎度考えさせられます。

 すごーく簡単に言ってしまうと、「“幸せ”って一体なんだろう?」といったところでしょうか。とても裕福とは言えないボロボロの狭い一軒家に6人の家族が身を寄せ、万引きという犯罪行為を繰り返したり、他家からお金をせびったり、風俗まがいの怪しげな店で働いたりと、どう考えても真っ当な家族とは思えない。なのに、なぜこの6人の家族はこんなにも幸福感を得られるのか。

 方や、祥太もゆりも亜紀も、それぞれに何の生活にも困らなそうな裕福な本当の家庭があるのに、その家族は寒々としていて、とても幸福を感じるような家庭ではない。

 虚構の幸せと現実の不幸。少なくとも子供たちは、明日の飯にも困るような貧乏であろうとも、虚構で作り上げられた家族のほうに幸せを感じていたはず。みな、不幸にしかならない現実に戻りたくなかったと思います。

 幸せとは、物質や地位、権力、名声、そういったものとはまた違うところに存在する、そういうことを伝えたかったのかなーと感じる今日この頃です。

 

 

(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

 

 

【2018年度 Myランキング】(6/9時点)

 

 本作は、本年度のベスト10中4位(暫定)にランクイン。

 ゼイ肉落ちないなー

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:孤狼の血 ★★★★☆

  2位:アベンジャーズ インフィニティ・ウォー ★★★★☆

  3位:デッドプール2 ★★★★

  4位:万引き家族 ★★★★

  5位:シェイプ・オブ・ウォーター ★★★☆

  6位:いぬやしき ★★★☆

  7位:リメンバー・ミー ★★★☆

  8位:悪女 AKUJO ★★★☆

  9位:グレイテスト・ショーマン ★★★☆

 10位:レディ・プレイヤー1 ★★★☆

  次点:

     

     

     

     

  (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:ザ・リング リバース ★☆

  2位:マンハント ★★☆

  3位:パシフィック・リム アップライジング ★★☆

 

 

<その他ランク外一覧>

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