「勝手にふるえてろ」　★★★～ヲタク系女子恋愛あるある

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

ヲタク系女子恋愛あるある ★★★

綿矢りさ

勝手にふるえてろ (文春文庫)

594円

Amazon

【　出演　】松岡茉優
渡辺大知
石橋杏奈
北村匠海
趣里
前野朋哉
池田鉄洋
古舘寛治
片桐はいり

【あらすじ】

　24年間彼氏のいたことがないオタク女子のOLヨシカは、10年もの間中学時代の同級生イチに片思いし続けていた。

　ある時、会社の同僚・ニから告白され心が揺れ動くが、どうしてもイチの想いが経ちきれない。イチへの想いが膨らんでしまい、同級生の名前を騙って同窓会を計画、イチとの再会を果たすが―

【コメント】

　さて、いつものTSUTAYAで週末を彩る映画を物色していたところ、目に留まったのが本作。

　本作は年末に公開していたラブコメ映画で、僕は特にノーマークだったんですが、小規模ながら面白い！と巷で話題になっていたのを覚えていたので、『万引き家族』の鑑賞前に主演の松岡茉優つながりで鑑賞しとこうと手に取った次第です。

　ふむ、なるほど。要するにヲタク系女子が恋愛感情を表した“あるある”的なお話ですね。いかにもサブカル好きの女子が好みそうな映画かと。まあでも、なかなか面白かったです。

　中学を卒業しても未だ忘れられない理想の男子と、突如降ってきた恋愛に右往左往するヲタク系女子の心を女子の目線で描いているので、オッサンの僕なんかよりも「あーこんなことあるねー」なんて女子のほうが共感できるんじゃないでしょうかね。前半あれだけいろんな人に饒舌に話すコミュ力抜群なヨシカが、後半になって、それが実は彼女の脳内だけの出来事だったというどんでん返し的なシーンは衝撃的で切なすぎますね。

　しかしながら、主人公ヨシカ役に松岡茉優は果たして正解だったのかは正直疑問。いや、決して演技云々の話じゃなくて、引っ込み思案なオタク系女子というキャラに松岡茉優がどうにも合っていない気がする。ヲタクっぽく見えないんだよね、松岡茉優。美形だし、気が強そうだし、コミュ力強そうだし、むしろ本作とは真逆のリアル恋愛を楽しむ側の人種じゃないかなー。あくまで僕の感覚ですが。映画『海月姫』ののんとか、TVドラマ版の芳根京子のほうがむしろピッタリだったんじゃないかと。

　これは、要するに“イチ”という存在は到底手の届かない存在、言わば二次元的な存在なわけで、二次元に恋愛し続けるヲタク女子が現実の恋愛を目の当たりにしたときの葛藤を描いてるんだと思いますね。これの男版ができたら面白いかもしれないね。