「バッド・ジーニアス危険な天才たち」　★★★★～超おすすめ！タイ製カンニングサスペンスの秀作！

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

超おすすめ！タイ製カンニングサスペンスの秀作！ ★★★★

【　出演　】チュティモン・ジョンジャルーンスックジン
チャーノン・サンティナトーンクン
ティーラドン・スパパンピンヨー
イッサヤー・ホースワン
タネート・ワラークンヌクロ

【あらすじ】

　父子家庭で育った天才的な頭脳を持つ女子高生リンは、その頭脳を見込まれ進学校に特待奨学生として転入する。

　学校で友人となったあまり頭のよくないグレースは、テストの最中リンに答えを教えてもらうが、その噂を聞きつけたグレースの彼氏パットは、答えと引き換えに代金をもらうというカンニングビジネスを持ちかける。気乗りしないリンだったが、あまり裕福ではないリンは留学を夢見てビジネスに乗ることに。瞬く間に大金を手にしたリンだったが、真面目な天才学生バンクによってカンニングがばれてしまう。

　その後、リンたちはアメリカの大学に留学するため世界各国で行われる大学統一入試“STIC”で再び壮大なカンニングをすることを目論む。そして、そこには金のために仲間となったバンクの姿もあった―

【コメント】

　さて、今回は久しぶりに単館系の映画である本作を鑑賞。めずらしいタイの映画ですよ、タイ。

　というのも本作、まったくのノーマーク作品だったのですが、毎月購読している「DVD＆動画配信でーた」で記事になっていたのが目に留まり、これはちょっと面白そうだなと、三連休の中日に鑑賞してみようと決めた次第。

　しかしながら、都内では「新宿武蔵野館」のたった1館での上映。こりゃ早めに行って席を確保しなくてはと向かったところ、案の定の満員御礼状態。なんとか1席確保して鑑賞に至った次第です。

超おすすめ！タイ製カンニングサスペンスの秀作！

　こりゃあ思わぬ掘り出し物。めちゃくちゃ面白い！満員だからといって諦めずに鑑賞して本当によかった！カンニングという犯罪に手を染めた学生たちのサスペンスフルな展開がとてもスリリング、馴染みのないタイ映画と思って舐めてちゃいけません。超おすすめの一品です！

　その昔、安室ちゃん主演の『That'sカンニング！史上最大の作戦』という、同様のカンニングを扱った邦画がありましたが、あんな感じのラブコメ路線ではなく、本当のクライムサスペンスのような緊迫感と、天才が思いつく奇想天外なカンニング手法がとってもスリリングで、とにかく映像から目が離せない。ピアノの旋律の指使いを使ったものや、時差を逆手に取ったもの、鉛筆のバーコードを使ったもの等々、発想が斬新。それでいて、手に汗握るスリリングな展開。クライマックスのSTICの大仕掛けなんかは緊張感がとにかく伝わってきてハラハラドキドキが止まらない。

　もっとも、試験中あんなに指をトントンしてたらバレるだろといったツッコミどころあるものの、そこは分かりやすく見せるためのご愛嬌。タイ映画のパワーがこれほどまでとは嬉しい誤算。これが単館で終わってしまうのは非常にもったいない！ぜひとも多くの人に観てほしい一品ですね。

アジアンビューティーなチュティモン・ジョンジャルーンスックジン

　本作で天才的なカンニングテクニックを思いつく頭脳明晰な女子高生リンを演じたのがチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。いやいやタイネームの馴染みがなさすぎて覚えられない。

　冒頭で登場した時は、のぺーっとした平たい顔で、なんてイモ臭い女の子なんだと思って観てましたが、映画が進むにつれ、気が付くと彼女の不思議な魅力にハマってしまうことうけあいです。ぶっちゃけ、とりわけ美人だとは思いませんでしたが、潤いのある奇麗な長い髪、スラリとバランスの取れた9頭身の長身、生足を惜しげもなく見せるミニスカート姿やクールな佇まいがとても輝いて見えて、まさにアジアンビューティー。いつの間にか彼女の魅力のとりこになってしまいます。

　実際、モデルとしても活躍しているみたいなので納得。本作が映画デビュー作とは思えないほどの堂々たる存在感を見せつけていましたね。

テーマはズバリ、カンニングはアカン！

　本作の骨子となっているのが、中国で発生した大々的なカンニング事件が元となっているようですが、本作のテーマはズバリ、「カンニングはアカン！」これに尽きます。

　本作は決して奇想天外なカンニングテクニックを披露した映画ではなく、カンニングはしてはいけないこと、カンニングしても自分の未来のためには全くならないということをしっかりと描いています。リンとバンクとのラストのやり取りと、リンが事情聴取を受けるラストシーンからもそういったテーマが感じ取れると思います。

　とはいえ、本作のスリリングなカンニングは絶品の一言なので、そこはたっぷりご堪能あれ。ただし、決して俺のほうがもっとうまくやれる！と実行しようとしないことです。