「累かさね」　★★★☆～思ったよりドロドロな愛憎劇

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

思ったよりドロドロな愛憎劇 ★★★☆

累コミック 1-13巻セット

8,099円

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【　出演　】土屋太鳳
芳根京子
横山裕
筒井真理子
生田智子
村井國夫
檀れい
浅野忠信

【あらすじ】

　母親譲りの天才的な演技力を持ちつつも、顔に大きな傷を負って人前に出られない淵累。彼女は、すでに亡くなった母親から一本の口紅を託される。それは、キスした相手の顔を奪い取ることができる不思議な力があった。

　方や、美貌に恵まれながらも女優として伸び悩んでいた丹沢ニナは、マネージャーの羽生田を通じて累と出会い、口紅で入れ替わり舞台のオーディションを受けることになる。

　性格が正反対の二人は互い反発しあう一方で、ニナの美貌と累の演技力を兼ね備えたニナは脚光を浴びていくが、演出家・烏合との出会いを巡り、二人に亀裂が生じはじめる―

【コメント】

　さて、今回は劇場の予告編やTVCMで散々観てきた本作を鑑賞。前々からコテコテな色使いのチラシを拝見しててちょっと気にはなってたんですよね。

　案の定、漫画原作の実写化ということで、W主演の土屋太鳳と芳根京子がバラエティ番組で宣伝しまくってたので、とりあえず観てみようかと、未読ではありますが「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

思ったよりドロドロな愛憎劇

　いや～ドロドロだったね～、一昔前の少女漫画や昼ドラ、韓国ドラマのような女同士の陰湿な愛憎劇。思ってた以上にダークな感じで非常に面白かったです。

　口紅を塗ってキスしたら、相手の顔と12時間入れ替わることができるという非常にシンプルなアイコンを使って、演技の才能はあるけど口裂け女のような容姿の女と、可愛いけど演技がドヘタで高慢チキな大根女優が入れ替わり、反発しあいながらニコイチで大成功を収めるも、イケメン演出家との三角関係をきっかけにややこし展開に。その後、ニナが突然発作で半年間眠り続けるといういきなりな設定をブチ込んできたかと思うと、その間、累はニナと入れ替わり続けてあれよあれよという間に大出世。このままでは完全に身体を乗っ取られてしまうと恐れたニナと、夢をかなえ続けている累とのドロドロの確執。

　正直、それほど期待していなかったんですが、これから二人はどうなっていくんだろうという気持ちでどんどん引き込まれていきましたね。クライマックスの「サロメ」のシーンは圧巻の一言で、ラストどうなってしまったのか分からないようなぼかした終わり方も想像を掻き立てられてグッド。たまにはこんなドロドロな愛憎劇もオツなもんですな。

女優として一皮むけた土屋太鳳＆芳根京子

　本作の見どころは、なんといってもW主演である土屋太鳳と芳根京子のドロドロないがみ合い。

　スポ根で明るく元気いっぱいのイメージがある土屋太鳳の傲慢でイヤ～な女に変身したかと思えば、ドラマ「海月姫」でオドオドした可愛らしいオタクのイメージが強かった芳根京子の陰キャな女。二人はこれまでのイメージを見事に払拭した力演だったと思いますね。特に、クライマックスの舞台「サロメ」での土屋太鳳は、本当に舞台で演じているかのような演技でグイグイと引き込まれていきます。

　本作で二人は女優として一皮むけた演技を披露していたと思いますよ。

本編にピッタリの主題歌Aimer「Black Bird」

　本作をさらに盛り上げるのは、女性シンガーAimer（エメって読むのね）の「Black Bird」。

　声帯を痛めて声が出なくなった過去から独特な歌唱法を確立しているようで、確かに特徴的な歌い方ですな。