何度も映像化されている吉川英治の国民的長編小説『宮本武蔵』の戦後最初の映画化作品で、『続宮本武蔵 一乗寺の決斗』(1955年)、『宮本武蔵 完結篇 決闘巌流島』(1956年)へと続く3部作の第1作である。また、東宝初のイーストマン・カラー作品でもある。配収は1億6341万円で、1954年度の邦画配収ランキング第7位となった。第28回アカデミー賞名誉賞受賞。
武蔵(三船敏郎)と又八(三國連太郎)は関ヶ原の戦に敗れ、伊吹山中をさまようが、お甲(水戸光子)と朱実(岡田茉莉子)の母娘に救われた。又八は、朱実に惹かれるが、彼女とお甲は武蔵に心を寄せる。お甲は武蔵に云い寄るが拒絶されたのを腹いせに又八と夫婦となり朱実を連れて出奔する。
武蔵は故郷宮本村に帰るが、又八の母お杉婆(三好栄子)は息子が帰らないのを武蔵のせいにして恨み、関所破りとして役人に追わせた。沢庵和尚(尾上九朗右衛門)と又八の許婚お通(八千草薫)は心の荒んだ武蔵を憂い、救いの手を差しのべる・・・。
【ネタバレありの結末までのあらすじ:「映画.com」をご参照下さい。】
【感想】
またもや、三船敏郎出演作品を20本と一番多く撮っている、稲垣浩監督の映画🎞を鑑賞した。1954年は、日本映画🎞🇯🇵、そして三船敏郎に取って当たり年だった。この年の4月には黒澤明監督、三船敏郎、他が主演の、世界映画史に燦然と輝く「七人の侍」()が公開され、三船敏郎演ずる菊千代の強烈なキャラクターは、日本の観客に鮮烈な印象を残した筈だ。
2018年7月13日の記事
そして、同じ年の9月に公開されたのが本作品である。吉川英治原作の長編小説「宮本武蔵」(1936-1939) の映画化🎞。この小説は国民的ベストセラー📘であり、私は未読であるが、宮本武蔵は無論知っている。戦前にも何度も映画化されている「宮本武蔵」というキャラクターを知らない日本人🇯🇵は、1954(昭和29)年当時も殆どいなかったのではないだろうか。
注目すべきもう一つは、この映画の英語での題名(⬆️)「Samurai I」(1955 米国公開🇺🇸) だと言うこと。実は、日本の侍という三船敏郎の海外でのイメージを決定付けたのは、この作品らしいのである。
なお、映画はこれからどうなるという非常に良いところで終わってしまっているので、同じ稲垣浩監督の続編「一乗寺の決闘」(1955)と完結編「決闘巌流島」(1956)を、出来るだけ早い機会に、是非とも劇場で観たいものである。
三船敏郎の宮本武蔵の豪快ながらちょっぴりユーモラスなキャラクターも魅力的だが、ヒロインお通を演じる八千草薫の、天女の様な純粋で穢れなき美しさ•可愛さも、印象的だ。
【スタッフ•キャスト等:「映画.com」()よりの引用】
上映時間:1時間34分
日本公開🇯🇵:1954年9月26日
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鑑賞日:2021年1月17日
場所:新宿シネマカリテ
【三船敏郎 主要出演作品】
谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
木下恵介 「婚約指輪 エンゲージリング」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
丸山誠治 「連合艦隊司令長官 山本五十六」 (1968)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)
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