千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:映画.comよりの引用(→)】

ユキ(原節子)は街頭の似顔絵描き。その仲間で正太郎(小泉博)、忠吉(増淵一夫)、大助(井上大助)の3人は靴磨き。4人は同じ江東の貧しいアパートに住み、銀座並木通りにある宝山堂という宝石屋の前で店開きをしていたのだ。

ある日この宝石屋へ、黒川(三船敏郎)という宝石の偽物作りの名人が店頭展示用に時価50万円のダイヤの指輪の偽物を届けたことから、珍騒動は起こった。

宝山堂の入るビルの上の階でパチンコ玉の製造をして大儲けをしている赤澤工業の赤澤社長(森繁久彌)の二号の小夏(藤間紫)は、このダイヤを赤澤に買わせて偽物とすり替え、その差額を自分の懐に納めようとした。

しかし、赤澤社長は赤澤社長でが偽物を買って本物だと言って小夏に与えようとしたことから事態がこんがらがり、赤澤社長の鶴子夫人(清川虹子)まで出現してすったもんだのあげく、赤澤社長が鶴子夫人に本物の指輪を買わせてけりがつくことになった。

ところが、実は鶴子夫人に与えられたものが偽物で、本物は赤澤が偽物だと思って会社の給仕のタマ子に与えたものだったのだ。そのタマ子もユキたちの仲間であった。

ユキと同じアパートに住むハルミ(杉葉子)は街の女だったが、日頃の無理がたたって病気で倒れた。それを送ってきてくれたのが黒川で、彼は初めてユキたちの生活を知った。

病床のハルミは国許の母へ、黒川と結婚して幸福に暮らしていると嘘の手紙を書き、偶然自分と黒川が写り込んだ写真を同封したが、ハルミは危篤になり、国からその母親が出てくることになってしまう。

黒川はユキに頼まれて、ハルミの良人の役を演じることになった。タマ子たちはハルミを助けるために本物と知らずに指輪を売りに行く途中、それを隅田川に落としてしまう。

その頃、鶴子夫人は自分の指輪が偽物であることを発見して大騒ぎになり、赤澤と共に、潜水夫を雇って隅田川の川さらいをやり始めた。ハルミは皆に看取られて亡くなってしまう。

黒川、ユキと皆は、ある日ハルミのことを忍びながらモーターボートでのクルージングを楽しんだ。その隅田川では、まだ指輪を諦めきれない鶴子夫人が遂に自ら潜水服をつけ川底へ潜っていく滑稽な姿が見られた。



【感想】

黒澤明監督の「羅生門」(1950)・「白痴」(1951)と「七人の侍」(1954)の間の、好青年、爽やか三船である。しかも、登場した時はちょっとキザな雰囲気もありながら、自宅に行ってみると、実は飾らない絵に描いた様な良い奴という(笑)

木下恵介監督 田中絹代主演の「婚約指輪 エンゲージリング」(1950))、成瀬巳喜男監督 高峰秀子主演の「妻の心」(1956)、千葉泰樹監督 山田五十鈴主演の「下町 ダウンタウン」(1957)と言い、どうも黒澤以外の監督には、三船敏郎は主演女優の相手方・恋人的役の典型的二枚目俳優に最適と思われていたのかもしれない。

実際その監督の意図を裏切らない二枚目ぶり。好みと言うものがあるので100%とは言わないが、女性がこの映画を観たら、8割の方は、若き三船に心惹かれてしまうのではないだろうか。

そして、男性観客の多くは、原節子の虜になる。小津映画での、優しく、しとやかで、やや控え目で、それでいて芯の強い原節子ももちろん素晴らしいのだが、コメディタッチのこの映画の様な、明るく元気な原節子も大いに魅力的である。

ハルミのエピソードは悲しいのだが、全体の映画のトーンは、あくまでも明るい喜劇調で、ちょっとオードリー・ヘップバーン主演のアメリカ映画っぽい雰囲気を感じたのは、私だけだろうか。



【スタッフ、キャスト等】

監督:千葉泰樹
脚本:井手俊郎、吉田二三夫
キャスト:
ユキ(原節子)
黒川(三船敏郎)
ハルミ(杉葉子)
赤澤(森繁久彌)
鶴子夫人(清川虹子)
正太郎(小泉博)
忠吉(増淵一夫)
大助(井上大助)
宝仙堂店主(十朱久雄)
宝仙堂夫人(沢村貞子)

上映時間:1時間37分
日本公開:1952年7月15日
鑑賞日:2018年7月17日
場所:新文芸坐(池袋)




【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「侍」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






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