岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:Wikipediaよりの引用(→)、結末の記述あり!

札付きの汚職刑事 藤丘(三船敏郎)が東京から地方都市 荒神市に左遷されて来た。荒神市は二手の暴力団、新興勢力の大岡組と、古手の小塚組が争っていた。

藤丘はふとしたことから元小塚組の幹部で、今は足を洗って酒場を経営する鉄雄(鶴田浩二)と知り合う。鉄雄は大岡組の親分 大岡(河津清三郎)から奪って結婚した妻を、大岡の子分に交通事故に見せかけて殺されたのだった。藤丘は早速大岡組に入り込み、内情を探ろうとする。

そんな折、荒神市の荒神川砂利採取権を巡って、小塚組の親分 小塚(田崎潤)が大岡組の雇った殺し屋に射殺された。これを機に大岡組は小塚の子分たちを皆殺しにし、小塚組を壊滅させた。鉄雄も危うく殺されそうになるが、そこを藤丘が救い、大岡らの目の届かない所へと匿う。

鉄雄は、妻を殺し小塚を殺した大岡への復讐を決行すべく機会を狙っていた頃、大岡らは藤丘の行動を怪しみ、大岡の顧問弁護士 天堂(平田昭彦)を通じて密かにその身元を調査した。すると、左遷刑事とは仮の姿で、実は暴力団対策のエキスパートである警視庁の野口警部であることが判明する。

早速、天堂らが大岡の妾 サリー(司葉子)のアパートで藤丘を追い詰めるが、今度は鉄雄が藤丘の窮地を救った。隙を突いて単独で大岡の邸宅に乗り込んだ鉄雄は、憎き大岡を射殺した。

藤丘が鉄雄に歩み寄ろうとした瞬間、鉄雄の拳銃がもう一発弾を発射した。咄嗟に藤丘は鉄雄を撃つが、鉄雄は藤丘目掛けて撃ったのではなく、2階の階段に隠れていた天堂を射殺したのであった。鉄雄は藤丘に抱かれて絶命した。




【感想】

三船敏郎は、黒澤映画の主演のイメージが強いが、黒澤明監督作品への出演は16本。まあ、黒澤監督作品は30本であるから、そのうち半数以上で主演を勤めており、黒澤映画の顔であることに間違いはない。
しかし、実際の俳優 三船敏郎は150本以上の作品に出演しており、黒澤映画が俳優 三船のすべてではない。

今回の作品は、ケレン味たっぷりの喜劇的な演出も得意とする岡本喜八監督作品。
三船敏郎も、黒澤映画に多い重厚または常に全力投球のキャラクターとは違って、ちょっと軽妙奢脱な主人公を演じて楽しそうである。

いつもの三船の真面目な、或は、全力キャラクターは鶴田浩二が引き受けている様だ。鶴田浩二は我々世代にとっては、高倉健と並んで東映ヤクザ映画のイメージが強いが、元々は東宝の俳優だったとは知らなかった。

三船敏郎と鶴田浩二の共演というのも珍しく、2人の友情がこの映画の大きな見所となっており、とても楽しめる。良いところは、最後に全部 鶴田浩二が持って行ってしまった様な気もする。

後に代議士と結婚することになる清楚なキャラの司葉子が、ホステス/ギャングのボスの愛人役という色っぽい役を演じているのも、大変珍しく楽しめるし、総じて、本作は娯楽映画の快作となっている。




【スタッフ、キャスト等】

監督:岡本喜八
脚本:関沢新一
原作:大藪春彦の小説「血の罠」(1959)
撮影:山田一夫
音楽:佐藤勝
キャスト:
藤丘(三船敏郎)
鉄雄(鶴田浩二)
サリー(司葉子)
大岡(河津清三郎)
柴田(中丸忠雄)
天堂(平田昭彦)
杉野(ミッキー・カーチス)
市野(天本英世)
小塚(田崎潤)
弥太(佐藤允)
望月次席(中谷一郎)
三宅警官(夏木陽介)

上映時間:1時間35分
日本公開:1960年1月3日
鑑賞日:2018年7月12日
場所:新文芸坐(池袋)



【三船敏郎出演作品】

上に書いた様に、三船の出演作は150本を超えており、ここにそれを全部書くと大変なことになるので、黒澤明監督作品+今回新文芸坐で上映される作品(本作は太字で示す)+私の独断と偏見による主要作品を年代順に並べてみた。

本作品は 「七人の侍」 (1954)より6年後であるが、既に大スターの風格。またこの翌年に 「用心棒」 (1961)に主演し、三船の無類に強い浪人スタイルを確立することになる。

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
木下恵介 「婚約指輪 エンゲージリング」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「侍」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






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