黒澤明 「椿三十郎」 (1962) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?







【あらすじ:Movie Walkerよりの引用(→)】

ある城下町の夜、薄暗い社殿で若侍の、井坂(加山雄三)、寺田(平田昭彦)、保川(田中邦衛)、広瀬(土屋嘉男)、河原(太刀川寛)ら9人が密議をこらしていた。城代家老 睦田(伊藤雄之助)に、次席家老 黒藤(志村喬)と国許用人 竹林(藤原釜足)の汚職粛清の意見書をさし出して入れられず、大目付 菊井(清水将夫)に諭されてこの社殿に集っていたのだ。

その真中へよれよれの紋付袴の浪人者(三船敏郎)が現れて、9人をびっくりさせた。その上、その浪人者は、城代家老が本物で、大目付の菊井が黒幕だといって皆を仰天させた。

その言葉の通り、社殿は大目付輩下の手の者によって取りまかれていた。青くなった一同を制してその浪人者は、9人を床下へ隠し、ひとりでこの急場を救った。

その時、敵方の用心棒 室戸半兵衛(仲代達矢)はその浪人者の腕に舌をまいた。かしこまる若待をみた浪人者は、急に可哀そうになり力をかすことにした。

城代家老は屋敷からはすでにどこかへ連れていかれた後であり、夫人(入江たか子)と娘の千鳥(団令子)が監禁されていた。浪人者はこの二人を救い出し、若侍のひとり寺田(平田昭彦)の家にかくまった。寺田の家は黒幕のひとり 黒藤の隣だ。

黒藤の屋敷は別名を椿屋敷と言われるくらい、椿の花が咲いていた。夫人の言葉にその浪人者は名を椿三十郎と名乗った。

皆は、城代家老の居場所を探すに躍起だ。黒藤か菊井か竹林の家のどこかに監禁されているはずだ。三十郎は敵状を探るため、室戸を訪ねていった。室戸は三十郎の腕を買っているので、即座に味方につけようと、菊井、黒藤の汚職のことを話し、自分の相棒になれと勧めた。

三十郎を信用しない保川(田中邦衛)、河原(太刀川寛)は、三十郎に裏切られたら大変だと、三十郎の動向を窺うことになった
三十郎を支持する井坂(加山雄三)、河原も、あの二人には任せておけないと三十郎の後をつけた。しかし室戸と三十郎に見つけられた4人は当見をくって捕えられた。

三十郎は室戸の隙をみて、番人を斬り倒し、自分を縛らせて4人を逃がした。三十郎はこれで室戸から用心棒稼業を馘になってしまった。

寺田の家に帰って来た三十郎は若侍たちをどなりつけた。その時、夫人が椿屋敷から流れてくる川の中から意見書の紙片を拾って来た。この川は寺田の庭の隅を通っているのだ。家老は黒藤の家に監禁されていると決った。

三十郎は、黒藤の警固を解かせるため、謀反人の一味が光明寺に集っていると知らせに行くことになった。その留守になった合図に椿の花を川に流すというのだ。計略は図に当った。警固の一隊は光明寺に向った。

だが、光明寺の門の上に寝ていたという三十郎の言葉に嘘がばれてしまった。光明寺には門がないのである。三十郎は捕えられた。しかし、臆病な竹林は三十郎の罠にかかって、川に椿の花を流した。

若待必死の斬込みで城代家老は救われた。三十郎と半兵衛の一騎打は・・・ 三十郎は若侍9人の見送りを受けて静かに町を去っていった。




【感想】

前作「用心棒」(1961)の大ヒットに気を良くした東宝が黒澤明に続編を作る様依頼して出来た作品らしいが、キャラクターの三十郎(三船敏郎)のみ共通で、その他は登場人物も含め前作との繋がりは全くないので、本作から先に観ても何ら支障はない。

もっと書くと、Wikipediaによれば、堀川弘道監督作品として黒澤が用意していた山本周五郎の短編「日日平安」からの脚色を、上記事情にて、急遽三船敏郎主演として大幅に書き直したらしい (共同執筆は、菊島隆三と小國英雄)。

だから、山本周五郎の短編がベースのせいもあってか、「用心棒」に比べてコミカルなシーンが大変多い。特に城代家老夫人役の入江たか子が絶妙で、アクション/殺陣とは別のところで、大いに観客を笑わせる。

その入江たか子の、「(三十郎は)まるで抜き身の刀の様だ。でも、本当に良い刀は鞘に入っている。」というセリフに、さすがの三十郎(三船敏郎)もたじたじで、反論も出来ない。

しかし、その「抜き身の」三船敏郎が素晴らしい日本が世界に誇る男優であることは間違いない。世界の黒澤と世界の三船、日本映画の最も幸福な時代である。
「用心棒」とはまた全然違う敵役の仲代達矢も相変わらず素晴らしい。仲代達矢が良いので、三船敏郎がより映えているとも言えるだろう。

最後の決闘シーンが、また「用心棒」同様映画史に残る凄まじいものなのだが、この映画を最後に、戦国武将の映画は撮るものの、黒澤明は派手な殺陣シーンのチャンバラ映画を撮らなくなってしまう。その理由はWikipedia(→)に詳しいが、残念な反面、本作と前作「用心棒」、この2作で観客は存分に楽しまさせて貰ったので、それで充分以上だったのだと思う。





【スタッフ、キャスト等】

監督・編集:黒澤明
脚本:黒澤明、菊島隆三、小國英雄
原作:山本周五郎の短編小説「日日平安」(1954)
撮影:小泉福造、斎藤孝雄
美術:村木与四郎
音楽:佐藤勝
助監督:森谷司郎
剣技指導:久世竜
キャスト:
椿三十郎(三船敏郎)
室戸半兵衛(仲代達矢)
井坂伊織(加山雄三)
保川邦衛(田中邦衛)
寺田文治(平田昭彦)
広瀬俊平(土屋嘉男)
河原晋(太刀川寛)
城代家老 睦田(伊藤雄之助)
次席家老 黒藤(志村喬)
大目付 菊井(清水将夫)
用人 竹林(藤原釜足)
睦田夫人(入江たか子)
千鳥(団令子)

上映時間:1時間36分
日本公開:1962年1月1日
キネマ旬報ベストテン:日本映画第5位
鑑賞日:2018年7月3日
場所:TOHOシネマズ新宿




【午前十時映画祭事務局オフタイム:14分54秒】






No.9363    Day 3245