木下恵介 「婚約指輪(エンゲージリング)」 (1950) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:日本映画ブログよりの引用(→)】

九鬼典子(田中絹代)は東京で宝飾店をやっていて、毎週末、夫の九鬼道雄(宇野重吉)が療養中の伊豆網代の別荘にやって来る。

ある日、別荘に向かうバスで、典子は見慣れぬ大きな男と乗り合わせる。その男は、実は夫を担当する新しい医者で、江間猛(三船敏郎)と名乗った。典子は初日から何かときめくものを感じた。

江間が東京で典子の店に寄った日に、典子は江間に靴をプレゼントする。道雄からは、「最近綺麗になった」と言われる。典子は週末が楽しみになる。

結婚してまもなく道雄は療養生活に入ったので、江間の健康的な姿が眩しかった。ある日の帰りに熱海で2人きりになる。得ますが愛を告白し、典子も想いを伝えるが、それが2人を気まずい思いに走らせていく。道雄もそんな2人を勘づいていく。

江間は、2人の関係をはっきりさせ様と、東京に行くが、典子は「夫を愛してる」と言う。週末、網代の駅で2人は会い、歩きながら心の整理をし、江間は九鬼夫婦に高原の療養所にいくことを勧める。

だが、その様子を道雄に見られてしまい、道雄は家を飛び出し海に飛び込む。典子は慌て、江間が何とか道雄を助ける。道雄は落ち着きを取り戻し、江間に謝罪してくれと典子に頼む。

典子が、熱海の病院に江間を訪ねると江間は不在で、料亭に来る様に伝言が残っていた。迷いつつも典子は指定の料亭に向かう。思いを止められない江間の最後の賭けだったが、2人は、何事も無いまま日常に戻る。

しばらくして、駅で、高原に向かう九鬼夫婦を見送る江間がいた。




【感想】

ヴェネツイア国際映画祭 金獅子賞を受賞した名作、黒澤明監督の「羅生門」(1950)のひとつ前に公開された作品。

実際にどちらの作品の撮影が先に行なわれたまでは判らないが、片や山賊で盗人の人殺し、そして本作では、熱海の病院の医者であり清々しいくらいの好青年を演じており、そのキャラクターの差には、些か驚く。
当時の若き三船敏郎(29-30歳)が、どんな役にも貪欲に取り組んでいたことが良く判る。

武骨な侍的キャラクターのイメージが強い三船敏郎だが、本作を含め、「野良犬」(1949)、「七人の侍」(1954)、「妻の心」(1956)、「下町 ダウンタウン」(1957)等と観て来ると、人間の感情の機微を細かく演じられる、ただの二枚目ではない非常に「演技派」の俳優だったのだなと、改めて感心させられる。




【スタッフ、キャスト等】

監督・脚本:木下圭介
撮影:楠田浩之
キャスト:
九鬼典子(田中絹代)
江間猛(三船敏郎)
九鬼道雄(宇野重吉)

上映時間:1時間36分
日本公開:1950年7月1日
鑑賞日:2018年7月13日
場所:新文芸坐(池袋)

【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
木下恵介 「婚約指輪 エンゲージリング」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「侍」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






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