成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:Movie Walkerよりの引用(→)】

東京に近い地方都市。旧家の富田屋栄竜堂薬舗は、今や時代の波に押されて寂れていた。当主の信二(小林桂樹)は2-3の事業に手を出したが何れも失敗した。

妻の喜代子(高峰秀子)は店の横の空地に喫茶店を建てることを計画、昔気質の姑を説得、自分は見習にキッチン「はるな」に通うことになった。だが用意した資金から30万円を信二の妹 澄子(根岸明美)の嫁入支金に用立てられてしまった。

不足分は、喜代子の親友の弓子(杉葉子)の兄 健吉(三船敏郎)が銀行に勤めているところに頼んで都合して貰い、それが縁で、健吉としばしば逢う身となった。

その頃、家出同然に東京に出ていた長男の善一(千秋実)が会社を止め、妻子を伴い帰って来た。しかも商売を始めるから30万円貸して欲しいという。喜代子が断ってくれという懇願にも拘らず、人の良い信二は逃口上を云って家を飛出し、その夜は芸者と温泉へ泊り帰らなかった。

母と善一に責められ、遂に金を出した喜代子は、再び健吉の許を訪れた。健吉は心良く融通してくれたが、2人の接触する度合は益々しげくなり、狭い街だけに噂は信二の耳にも入るようになった。

そして信吉の温泉行を喜代子が人伝てに知るに及んで、夫婦の間には深い溝が出来てしまう。だが、ある夜信二から気弱に健吉との関係を訊かれた喜代子は、愕然として弓子を訪れ、健吉との事で夫に誤解されたことを打明けた。

思いつめた喜代子に、しかし弓子は笑って、それを打消し喜代子をほっとさせた。弓子の家から帰る途中、喜代子は、本通りの薬屋の新装売出しを見ている信二を見つけた。

「うちの喫茶店も秋までには開店したいわね」と静かに言い寄った喜代子の意外な態度に、一瞬信二はドギマギした。さりげなく「今度はしっかりやりましょうね」という喜代子に信二も笑顔で「うん」と答えた。

足どりも軽く肩を並べて行く2人に、春の陽が流れていた。




【感想】

良品の短編小説を読んだ様な味わいの映画。あくまでも高峰秀子主演の映画であり、三船敏郎は助演であるが、「七人の侍」(1954)の僅か2年後にこんな役もこなしていたとは、つくづく俳優と言うのは凄い職業だと思う。

何しろ、あの破天荒な菊千代が、酒も飲まない真面目で誠実な銀行員の健吉を好演しているのだから面白い。爽やか三船である。

小林桂樹も、人は良いのだが、ちょっと優柔不断で頼りない喜代子(高峰秀子)の夫 信二を好演しているし、三船敏郎同様、2年前には七人の侍のひとり(平八)を演じていた千秋実が、次男 信二よりさらに情けない(笑)、長男 善一を演じているのも、そこはかとなく可笑しい。

脇を固める布陣が上手いと主演の高峰秀子も、よりいっそう光るし、映画としても締まった出来になる。




【スタッフ、キャスト等】

監督:成瀬巳喜男
脚本:井手俊郎
撮影:玉井正夫
美術:中古智
キャスト:
富田喜代子(高峰秀子)
富田信二:喜代子の夫(小林桂樹)
竹村健吉(三船敏郎)
竹村弓子:健吉の妹、喜代子の親友(杉葉子)
富田善一:信二の兄(千秋実)
富田澄子:信二の妹(根岸明美)

上映時間:1時間38分
日本公開:1956年5月3日
鑑賞日:2018年7月12日
場所:新文芸坐(池袋)



【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
木下恵介 「婚約指輪 エンゲージリング」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「侍」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






No.9393    Day 3297