千葉泰樹 「下町(ダウンタウン)」 (1957) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:Movie Walkerよりの引用(→)】

戦後4年目、1949年の早春。りよ(山田五十鈴)は今日も下町の工場街を茶の行商をして歩く。彼女はまだシベリアから帰らぬ夫を幼い留吉(亀谷雅敬)と共に待っていた。

とある鉄材置場の番小屋の男 鶴石(三船敏郎)は親切だった。彼女を火にあたらせ、茶まで買ってくれた。彼はシベリアからの復員者だったのだ。2人は身上話をしながら一緒に弁当を食べた。

りよは幼友達きく(村田知英子)の2階を借りている。療養中の夫の医療費を稼ぐ為に夜の女をしている玉枝(淡路恵子)に、きくは部屋を貸し、客の世話をしてその上前をはねていた。

きくはりよにもそういう商売をしたらと持ちかけてくる。翌日りよは留吉を連れて行商に出た。3人分のおかずを買い鶴石の小屋を訪ね、3人は楽しい昼飯を食べた。留吉は鶴石によくなついた。

その夜、きく夫婦と玉枝は売春の疑いで警察に呼ばれた。

鶴石の休日に、浅草へ一緒に遊びに行ったりよ、鶴石、留吉の3人は、帰途激しい雨に降られ、小さな旅館で休んだ。夜半、鶴石がりよに囁きかけて来て、抱こうとした。

「いけないわ。 わたし、シベリアのことを考えるのよ。」  鶴石はぎくりとして、そのまま動かなかった。一瞬でりよの心は崩れ、りよの方から男の首を激しく抱いた・・・

翌朝、鶴石は固く結婚を約束した。夫の死目に会えず、ひとり骨壷を抱いて故郷へ発つ玉枝を見送った翌日、りよ親子は鶴石の小屋を訪ねると、小屋には見知らぬ男達が集り、中を片づけていた。神棚にはお燈明が上っている。

男達はりよに鶴石の死を告げた。前日、大宮から鉄材運びの帰途、トラックもろとも河に落ちたという。りよは声も出なかった。

「りよどの二時まで待った」  黒板に鶴石の字で書いてあった。小屋を出たりよは噴き出る涙をそのまま、留吉を連れ、川風に吹かれながら、とぼとぼ土手を歩いて行った。




【感想】

終戦後4年が経っても生死の判らない夫を待つりよ(山田五十鈴)。そんなりよが、男らしく、親切で優しい鶴石(三船敏郎)に心惹かれることを誰が責めることが出来るだろうか。

しかし、2人でつかみ掛けた小さな幸せは、思いもかけない形で突然絶たれてしまう。何という救いの無い悲しい結末だろうか。人生一寸先は闇だ。皆明日何が起きるかは判らない。今を一生懸命生きるしかない。

しかし、三船敏郎は「七人の侍」(1954)の破天荒な菊千代様が、「妻の心」(1956)と本作品(1957)では爽やかな好青年を演じている。また、三船と山田五十鈴は、本作の数ヵ月前に公開されている黒澤明の「蜘蛛巣城」(1957)では、亡霊の操るがまま(?)、出世に目が眩み破滅していく夫婦を演じているのだから面白い。



【スタッフ、キャスト等】

監督:千葉泰樹
脚本:笠原良三、吉田精弥
原作:林芙美子の同題小説(1957)
撮影:西垣六郎
音楽:伊福部昭
美術:中古智
キャスト:
矢沢りよ(山田五十鈴)
鶴石芳雄(三船敏郎)
きく(村田知英子)
中村玉枝(淡路恵子)
矢沢留吉(亀谷雅敬)

上映時間:58分
日本公開:1957年10月29日
鑑賞日:2018年7月13日
場所:新文芸坐(池袋)



【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
木下恵介 「婚約指輪 エンゲージリング」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「侍」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






No.9395    Day 3298