谷口千吉 「吹けよ春風」 (1953) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:映画.comよりの引用(→)】

雨の日も風の日も東京の街々を流して廻るタクシーの運転手、若い松村はバック ミラーに映った数々のお客の人生のひと駒を見聞きする度に、色々と考えさせられる。

自動車になど乗ったこともない貧民街の子供達が10人、手に手に十円札を差出して百円分だけ乗せてくれと騒いだこと。

雨の夜、ふと乗ってきた家出少女を散々なだめすかしてみたものの、一向に肯んじぬ強情さに腹を立て、雨中に置去りにしたこと。しかし日を経て松村は母親と連立った幸福そうな彼女と会った。

劇場前でもみくちゃにされた人気女優 淡路ひかるを拾って、神宮外苑を乗廻し、二人で愉しく合唱などしたこと。

深夜、乗りこんだ酔っぱらい客の「窓抜けの天井渡り」の曲芸に悩まされたこと。銀婚式当日という孤独な老夫妻の客にガソリン スタンドの娘から貰った花を贈って、心温まる一夕を過したこと。

自動車強盗に襲われて怖い思いをなめたこと。刑余の夫と十年の不在を耐えた妻との再会に接して、思わず涙ぐんだこと。

美醜善悪も分たぬ無数の人生にふれて、松村はやはり大都会に吹く一陣の春風、美しい人間の善意を信じないわけにはゆかなかった。




【感想】

東京の恋人」(1952)が、ロマンティック コメディ タッチでアメリカ映画風とするならば、本作品は、オムニバスでフランス映画風である。タクシーの運転手が日毎に見る様々な人生模様なんて、正にフランス映画だとは思わないだろうが。

驚くべきは脚本を書いているのが黒澤明(!)と黒澤明の盟友の谷口千吉(八千草薫の夫)ということ。監督はその谷口千吉、そして主人公の運転手を演じているのが、三船敏郎という訳だ。

あの七人の侍」(1954)の前年に公開された作品であり、その演じる役の幅/差は凄まじい。前にも書いたかもしれないが、三船敏郎は実は大変な演技派である。しかも、正規の俳優養成所や、演劇の経験が無いにも拘らずだ。

越路吹雪と三船敏郎のデュエットが聴けるのも、この映画の楽しいところ。これは、脚本に最初から明記されていたのだろうか。いずれにせよ当時の日劇周辺や神宮外苑等の貴重な風景も写り込んでいて、この映画の華となるシーンである。

オムニバスのエピソードは、どれもなかなか面白いのだが、最も滑稽なのは小林桂樹演ずる酔っぱらいの「窓抜けの天井渡り」である(笑) これは現実には当時でもあり得ないと思うのだが、もしかして実際にあったことを元に映画の一エピソードとしてな描いたのだろうかのか。「ミッション・インポッシブル」のトム・クルーズも真っ青である(笑)




【スタッフ、キャスト等】

監督:谷口千吉
脚本:谷口千吉、黒澤明
音楽:芥川也寸志
キャスト:
松村(三船敏郎)
若い男(小泉博)
若い女(岡田茉莉子)
家出少女(青山京子)
淡路ひかる(越路吹雪)
酔っぱらいA(小林桂樹)
酔っぱらいB(藤原釜足)
老人(小川虎之助)
老妻(三好栄子)
強盗(三國連太郎)
夫(山村聰)
妻(山根寿子)

上映時間:1時間23分
日本公開:1953年1月15日
鑑賞日:2018年7月17日
場所:新文芸坐(池袋)



【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「侍」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






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