丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【予告編:2分49秒】





【あらすじ:Movie Walkerよりの引用(→)】

19世紀末、欧州列強は争って中国への侵略を続け、明治33年(1900年)には、日本を含む8ヶ国の連合陸戦隊が排外思想を奉ずる義和団の暴動を鎮圧した。だが、ロシアだけは満州に兵を留めて、虎視眈々と日本を狙っていた。

明治天皇を仰いでの御前会議では、ロシアに抗議文を送ったが、返事はなかった。ついに日露国交は断絶。連合艦隊司令長官 東郷平八郎(三船敏郎)は、バルチック艦隊と、旅順・ウラジオストックにいる太平洋艦隊の動向に気を配り、秘策を練った。

そして広瀬少佐(加山雄三)の旅順港口に老朽船を沈め艦隊を封じ込むという奇策を採用した。一方、乃木 陸軍司令官(笠智衆)率いる陸軍第3軍は、旅順要塞に陸上攻撃をかけた。ロシア艦隊は旅順港の封鎖を破り、日本艦隊の砲弾をかわして敗走した。

10月20日、バルチック艦隊がリバウ港を出た。敵艦が日本海に現われると判断した東郷は、連合艦隊を内地に引上げさせた。攻撃開始から5ヶ月目、翌明治34年(1901年)元日、旅順203高地の敵陣が、乃木軍の手で陥落した。

その頃、ストックホルムで諜報活動をしている明石陸軍大佐(仲代達矢)が、バルチック艦隊の航路が敵司令長官の一存で決まるという情報をつかんだ。

5月20日、見張船 信濃丸が五島列島沖にバルチック艦隊を発見。5月27日、旗艦 三笠にZ旗を掲げた東郷長官は、敵の直前を大曲転する大胆不敵な戦法を取り、敵の先頭を圧迫した。激戦は、日本艦隊に大勝利をもたらした。

戦勝と平和回復に沸く国民。だが、東郷は戦いに勝って、真の「戦いの恐しさ」を心に戒めるのだった。





【感想】

ややナレーションが多過ぎるという印象。1969年当時の観客は第二次世界大戦(日中戦争・太平洋戦争)の知識はあったものの、日露戦争というと本やTVでの知識のみで、日露海戦の細かいことまでは知らない人が大多数であったろう。

2018年現在ではなおさらのことで、多少は仕方ないことは理解出来るが、可能な限り、映画は、映像・台詞・音楽で表現して欲しいと思う。

1969年、既に三船敏郎も偉い軍人の役をやり慣れていて、仕事・責務として戦争を遂行しつつも、戦死者に心を痛め、その家族を思い、可能な限り短期間で戦闘を終らせて犠牲を最小限にして、勝利を得ようとする軍人の鑑を演じて、貫禄充分である。

酔いどれ天使」(1948)のヤクザ役から21年経っての東郷平八郎 海軍大将役。もう「世界のミフネ」と言われる様になって久しい。

戦争が終結して、生き延びて日本の病院に入院しているバルチック艦隊の司令長官を東郷が見舞うシーンは、日本の紳士たる者の範となっている。

映画のラストで、「次に戦う相手は米国になるのか?」と言うシーンは創作であり、昭和の人間の視点だからこそ書けたストーリーではあるが、日露戦争での勝利が、逆に将来の戦争の連鎖に繋がっていったと言う作者側の見解なのだと思う。

なお、この映画は、日本の特撮界に偉大な足跡を残した円谷英二 特技監督の映画としては遺作であり、ミニチュア撮影を主体とする当時の日本の特撮技術の集大成をスクリーンで楽しむことが出来る。




【スタッフ、キャスト等】

監督:丸山誠治
脚本:八住利雄
撮影:村井博
美術:北猛夫
音楽:佐藤優
特技監督:円谷英二
キャスト:
東郷平八郎 海軍大将(三船敏郎)
明石元次郎 大佐(仲代達矢)
広瀬武夫 少佐(加山雄三)
乃木希典 陸軍大将(笠智衆)
前山三吉 一等兵(黒沢年男)
松井菊勇 大尉(久保明)
安保清種 砲術長(佐藤允)
上村彦之丞 海軍中将(藤田進)
津野田是重 参謀(平田昭彦)
秋山真之 参謀(土屋嘉男)
加藤友三郎 参謀長(加藤武)
東郷てつ(草笛みつ子)
明治天皇(松本幸四郎)

上映時間:2時間08分
日本公開:1969年8月13日
鑑賞日:2018年7月21日
場所:新文芸坐(池袋)



【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






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