杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:Movie Walkerよりの引用(→)】

立春大吉(三船敏郎)が東洋電気を追い出されてから1年の月日が流れた。会社では岡崎(見明凡太郎)の計画が着々と進行し、発言権を強めるための増資も行われた。

それを知った大吉は、この一年間、東洋電機の株を買占めて岡崎一派の退陣を要求しようと考え、大阪でヤミ商売を続けて資金を稼いでいた。

彼の許へ聖子(久慈あさみ)が訪ねて来て会社の近況を細々と語ったので大吉は早速杉村(佐野周二)を訪問して協力を要請した。協力を約束した杉村は、杉村商事を根城にして東洋電機の株買占めに乗り出した。

そこへ聖子の同級生で親友の由比子(寿美花代)がやって来て、毎日大吉と顔を合わせていたいので、杉村にうまく取り入って杉村商事の女事務員に居坐ってしまった。パーティで由比子と仲良く踊る大吉に、聖子の視線は走った。

大吉は大いに東洋電機の株を買占め、遂に60万株に達したが、資金涸渇と株価値上りに困惑し、遂に由比子の父である東洋電機の大株主矢瀬虎之助(小川虎之助)に紹介してもらった。彼は大吉のために岡崎一派追放に力を添えることを約束した。

一方、聖子は大吉が由比子と親しいものと信じ、諦めて杉村と婚約してしまった。

暫く経って、東洋電機では、大吉が夢に描いた再出発祝賀会が行われ、新社長 杉村の挨拶に満場は拍手で充たされた。由比子も涙をたたえた大吉を見上げ、「「やっと天下泰平ね」とささやきかけるのであった。



【感想】

前編は、それでもサラリーマンものであったが、後編はもはや企業買収もの。しかも一介の元サラリーマン風情がだ(笑) 映画なので、誇張が多いのだろうが、ヤミ商売で資金を集めるということが、1955年当時の観客にはまだリアリティがあったと言うことなのだろう。

しかし、サラリーマンを題材にした作品だと、自分がサラリーマンだったせいで、映画も小説もフィクションは勧善懲悪的ストーリーに作られたものが多く、その点はちょっと不満ではある。実際の会社内部はそんなにことは単純ではないからだ。

映画の最後で、杉村(佐野周二)が東洋電気の社長になり、立春大吉(三船敏郎)が矢瀬虎之助(小川虎之助)に別の会社を任されることになるのもやや唐突感があるが、まあ、ストーリーに難癖を付けてもしょうがない。この映画はどちらかと言えばコメディなのだからね。三船敏郎の颯爽サラリーマンぶり、佐野周二の親友ぶりの怪演、久慈あさみの片想い的女心、笠智衆の物事を達観した元社長ぶり等々の人間ドラマを楽しみたい。

実際に、三船敏郎本人も本作品について、「今度は気楽に芝居が出来るね。 肩をいからせる必要もないし。 」と語ったらしい。



【スタッフ、キャスト等】

監督:杉江敏男
原作:源氏鶏太の同名小説(1954)
脚本:西島大、龍野敏
撮影:完倉泰一
美術:村木与四郎
キャスト:
立春大吉(三船敏郎)
日高聖子(久慈あさみ)
杉村洋介(佐野周二)
矢瀬由比子(寿美花代)
矢瀬虎之助(小川虎之助)
森信吾(笠智衆)
森明子(司葉子)
岡崎才助(見明凡太郎)
岡崎才太郎(宝田明)
赤座社長(上田吉二郎)
柳川徳助(森川信)
柳川恵子(北川町子)
大久保彦一(左卜前)

上映時間:1時間19分
日本公開:1955年2月20日
鑑賞日:2018年7月18日
場所:新文芸坐(池袋)



【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
松林宗恵 「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「侍」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






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