岡本喜八 「血と砂」 (1965) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:Movie Walkerよりの引用(→)】

昭和20年(1945年)の北支戦線。陽家宅の独歩大隊に、小杉曹長(三船敏郎)と軍楽隊の少年13人、それに小杉に惚れている慰安婦のお春(団令子)がやって来た。小杉は朔県の師団指令部で少年軍楽隊を最前線に送るのを反対して、転属を命じられたのだ。

独歩大隊には、小杉の弟 小原見習士官(満田新二)がいたが、小杉の着く直前に銃殺されていた。通称ヤキバ砦の守備隊を指揮していた小原は、八路軍の猛攻に遇い、彼を除いた全員が戦死。連絡に戻った小原は、敵前逃亡の罪で銃殺されたのだ。

怒った小杉は隊長の佐久間大尉(仲代達矢)を殴り飛ばし、根津憲兵曹長(名古屋章)に逮捕され、営倉に入れられてしまった。営倉には、戦うことが嫌で、3年も入っているという志賀一等兵(天本英世)や見習士官を銃殺した炊事係の犬山一等兵(佐藤允)がいた。

そのころ、少年兵たちは、楽器を取りあげられ、一般兵として毎日軍歌を歌わせられていた。一方、お春は、小杉の身を案じて、寝物語りに隊長に泣き、小杉の命乞いをしていた。

その甲斐あってか、数日後、小杉に出動命令が下った。少年兵を指揮してヤキバ砦を奪い返せというのだ。小杉は、営倉にいた志賀一等兵と犬山一等兵、また元葬儀屋の持田一等兵(伊藤雄之助)も奪還部隊に加えることの了承も、併せ隊長から取り付ける。それからというもの、小杉の指揮のもとに、少年兵たちは猛烈な戦闘訓練に明けくれた。

そして数日後、お春に送られて出発した小杉隊は、熾烈な戦闘の末、少年兵から1名の戦死者を出したものの、見事ヤキバ砦を取り戻した。

ところが、それから数日後、日本軍のトラックに乗った敵のゲリラ隊のために、砦は、また多くの犠牲を出してしまった。小杉は、少年兵を元気づけようと、お春に少年たちの筆下しをたのんだ。

これに感激した少年兵たちは今度は、敵のゲリラ隊に勇敢に立ち向かった。しかし、敵の潮のような人海戦術には如何ともしがたく、小杉をはじめとするヤキバ砦の隊員は佐久間大尉の指揮する援軍を待たずに、全員討ち死にした。

ヤキバ砦からの銃弾で倒れた敵兵の手には、終戦を告げる伝単がしっかりとにぎられていた。時にして、8月15日朝のことであった。




【感想】

三船敏郎と言えば、黒澤明監督と組んだ作品(13本)のイメージが強いが、前にも書いたとおり、一番出演回数が多いのは、実は稲垣浩監督作品の20本で、岡本喜八監督作品も9本と多い。

岡本監督の「」(1965)もなかなか面白かったが、本作品もとても面白い力作である。

三船敏郎自身は中国の青島生まれ、終戦当時は、熊本の陸軍航空隊で特攻兵の出征前の写真を撮る仕事をしていた。位は上等兵留まり。自分よりも若い少年兵を死地に送り出す、その仕事が一番辛かったという。

だから、ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」(1960)での山口航空戦隊司令官等の役は、もちろんプロの役者だから難なくこなしているが、本人、個人的には違和感があったのかもしれない。

その点、今回軍楽隊の少年兵を率いる曹長の役は実像に近く、若い者たちを死なせる戦争の無慈悲さを身を以て体験した三船敏郎は、渾身の気迫とユーモアで、少年兵たちの父親代わりの様な小杉曹長を演じていて、心打たれる。

少年兵が奏でるデキシーランドジャズと戦闘シーンのアンバランスなバランスも秀逸である。伊藤雄之助の怪演や、団令子の神々しさも見所である。




【スタッフ、キャスト等】

監督:岡本喜八
脚本:佐治乾、岡本喜八
撮影:西垣六郎
美術:阿久根厳
音楽:佐藤勝
キャスト:
小杉曹長(三船敏郎)
犬山一等兵(佐藤允)
持田一等兵(伊藤雄之助)
志賀一等兵(天本英世)
お春(団令子)
佐久間大尉(仲代達矢)
根津憲兵曹長(名古屋章)

上映時間:2時間11分
日本公開:1965年9月18日
鑑賞日:2018年7月23日
場所:新文芸坐(池袋)



【三船敏郎 主要出演作品】

谷口千吉 「銀嶺の果て」 (1947)
黒澤明 「酔いどれ天使」 (1948)
黒澤明 「静かなる決闘」 (1949)
谷口千吉 「ジャコ萬と鉄」 (1949)
黒澤明 「野良犬」 (1949)
黒澤明 「醜聞」 (1950)
黒澤明 「羅生門」 (1950)
黒澤明 「白痴」 (1951)
森一生 「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」 (1952)
千葉泰樹 「東京の恋人」 (1952)
谷口千吉 「吹けよ春風」(1953)
本多猪四郎 「太平洋の鷲」 (1953)
黒澤明 「七人の侍」 (1954)
稲垣浩 「宮本武蔵」 (1954)
杉江敏男 「天下泰平」 (1955)
杉江敏男 「続 天下泰平」 (1955)
稲垣浩 「続 宮本武蔵 一乗寺の決闘」 (1955)
黒澤明 「生きものの記録」 (1955)
稲垣浩 「宮本武蔵 完結編 決闘巌流島」 (1956)
成瀬巳喜男 「妻の心」 (1956)
黒澤明 「蜘蛛巣城」 (1957)
黒澤明 「どん底」 (1957)
千葉泰樹 「下町 ダウンタウン」 (1957)
稲垣浩 「無法松の一生」 (1958)
黒澤明 「隠し砦の三悪人」 (1958)
稲垣浩 「或る剣豪の生涯」 (1959)
稲垣浩 「日本誕生」 (1959)
岡本喜八 「暗黒街の対決」 (1960)
黒澤明 「悪い奴ほどよく眠る」 (1960)
黒澤明 「用心棒」 (1961)
稲垣浩 「ゲンと不動明王」 (1961)
黒澤明 「椿三十郎」 (1962)
稲垣浩 「どぶろくの辰」 (1962)
松林宗恵 「太平洋の翼」 (1963)
黒澤明 「天国と地獄」 (1963)
岡本喜八 「」 (1965)
黒澤明 「赤ひげ」 (1965)
岡本喜八 「血と砂」 (1965)
谷口千吉 「奇巌城の冒険」 (1966)
ジョン・フランケンハイマー 「グラン・プリ」 (1966)
小林正樹 「上意討ち 拝領妻始末」 (1967)
岡本喜八 「日本のいちばん長い日」 (1967)
熊井啓 「黒部の太陽」 (1968)
丸山誠治 「連合艦隊指令長官 山本五十六」 (1968)
ジョン・ブアマン 「太平洋の地獄」 (1968)
稲垣浩 「風林火山」 (1969)
蔵原惟繕 「栄光への5000キロ」 (1969)
丸山誠治 「日本海大海戦」 (1969)
岡本喜八 「赤毛」 (1969)
沢島忠 「新撰組」 (1969)
岡本喜八 「座頭市と用心棒」 (1970)
テレンス・ヤング「レッド・サン」 (1971)
中島貞夫 「日本の首領 野望編」 (1977)
熊井啓 「お吟さま」 (1978)
中島貞夫 「日本の首領 完結編」 (1978)
スティーヴン・スピルバーグ「1941」 (1979)
舛田利雄 「二百三高地」 (1980)
山田洋次 「男はつらいよ 知床慕情」 (1987)
熊井啓 「千利休 本覺坊遺文」 (1989)
熊井啓 「深い河」 (1995)






No.9428    Day 3314