おおかみこどもの雨と雪 (評価:★★★) | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。



ポスト・ジブリを狙ってるのか?

★★★
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)

そんなことより恋をしろ-おおかみこどもの雨と雪


(2012年/日本/117分)

【 監督・脚本・原作 】
細田守

【 声の出演 】
宮崎あおい
大沢たかお
黒木華
西井幸人
染谷将太
谷村美月
麻生久美子
菅原文太




【あらすじ】

 大学生の花は、講義で見かける寡黙な男と出会い、やがて付き合うことに。しかし彼の正体は“おおかみおとこ”だった。それでも花の気持ちは変わらず、一緒に住むことになる。
 やがて、二人の間に活発な女の子“雪”と内気な男の子“雨”を授かり、慎ましいながら幸せな日々を過ごしていた。
 しかし、突然彼が事故で亡くなってしまい、花は二人を連れて都会を離れ、山奥の田舎へ引っ越す。それは、“おおかみおとこ”の血をひく二人の“おおかみこども”に、将来“おおかみ”か“人間”かを選択させるための環境だった―


【コメント】

 さあ、2009年の話題作『サマーウォーズ』から3年、細田守監督の待望の新作が堂々公開です!
 2006年の『時をかける少女』が青春ファンタジーもの、2009年の『サマーウォーズ』がSFサスペンスアクションものならば、本作は“ファンタジードラマ”という位置付けだろうか。
 “おおかみおとこ”というお得意のファンタジー設定は踏襲しつつ、今回はむしろひとりの女性の母親としての成長物語というドラマチックな部分のほうが色濃い。
 父親を早くに亡くし、女手ひとつで二人の子供を立派に育てるために奮闘する姿、人との交流を通じて改めて実感する人との絆、そしてやがて一人立ちする子供たち…

  親は子を 育ててきたと言うけれど
  勝手に赤い 畑のトマト


とはよく言ったものだね。どんなに親が子を気にかけても、子供は自分の判断で自分の決めた道を歩んでいくわけで。それが親にしてはちょっと哀しいことなのかもしれないけどね、親はそれを温かく見守っていかなくてはならない。そんな複雑な心境が本作から伝わってきましたね。
 と、未だ独身の僕が語ったところで説得力はありませんがね。小さいお子さん持ちならば間違いなく心にしみる作品ではないだろうか。

 とはいえさっきも言ったように、いい歳こいて独身で、もちろん子供を育てたこともない僕はイマイチ共感できなかったのは事実。こりゃしょうがないよね、うん、しょうがない。
 今回はそんなドラマに焦点を置いたせいか、細田監督の前2作とは対照的に非常に地味な印象を受けた。
 “おおかみおとこ”自体にそれほどの意味があったのか?という部分も疑問に思うところ。なんだったら“ゆきおとこ”でも“かっぱ”でも“ちゅぱかぶら”でもよかったわけで。まあ否定するところがちょっと違うか。
 登場人物もなんかないがしろにされ気味でもったいないところ。せっかくの大御所・菅原文太を起用しておきながら、それほどのキーマンとなるわけでもなく、後半はほとんど登場しない。ご近所の奥様達も、誰が谷村美月の声だったのか、だれが麻生久美子の声だったのか全然分からん。声優の無駄遣いではないか?
 ラストも結局、雨にばかりスポットが当たりっぱなしで、雪の存在意義がほとんど無い。せっかくタイトルに“雨と雪”とあるのに。どうにもキャラクターを生かし切れていないのは非常にもったいないと感じた。

 というわけで、全体的にはどうも中途半端感が否めない作品ではあったが、なんだかんだ言っても細田監督にはこれからもどんどん面白いアニメを作ってほしい。思うに僕は、細田監督はポスト・ジブリを狙っているのではないか?と感じずにはいられないのである。


【2012年度 Myランキング】(7/22時点)

 本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。



(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:ムカデ人間2 ★★★★☆
  2位:ライアーゲーム ‐再生(REBORN)‐ ★★★★
  3位:ドライヴ ★★★★
  4位:ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
  5位:ゾンビアス ★★★☆
  6位:アーティスト ★★★☆
  7位:テルマエ・ロマエ ★★★☆
  8位:愛と誠 ★★★☆
  9位:劇場版SPEC~天~ ★★★☆
 10位:麒麟の翼~劇場版・新参者~ ★★★☆
  次点:タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら ★★★☆




(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:KOTOKO ★
  2位:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
  3位:逆転裁判 ★★☆


<その他ランク外一覧>
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『おおかみこどもの雨と雪』公式サイトはこちら