「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
いや~映画って、本当にいいもんですね~
★★★☆
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
(2011年/フランス/100分/The Artist)
【 監督・脚本 】
ミシェル・アザナヴィシウス
【 出演 】
ジャン・デュジャルダン
ベレニス・ベジョ
ジョン・グッドマン
ジェームズ・クロムウェル
ペネロープ・アン・ミラー
アギー
【あらすじ】
1927年ハリウッド。
サイレント映画界の大スター・ジョージ・ヴァレンティンは、愛犬とともに舞台で拍手喝采を浴びていた。
ジョージに憧れ、自らも映画スターへの道を歩む新人のペピー・ミラーは、ダンスのオーディションで見事にジョージ主演の映画のエキストラを獲得し、互いに惹かれ始める。
そして時代はサイレントからトーキーへ。
トーキー映画で大躍進を続けるペピーに対し、サイレント映画にこだわりを持ち続けたジョージは自ら監督した映画の大失敗で人気は急降下、無一文となってしまい自暴自棄に。
押しも押されぬ大スターとなったペピーだったが、ジョージへの愛は変わらず、なんとか力になろうとするのだが―
【コメント】
「いや~映画って、本当にいいもんですね~」
とは、映画評論家であった故・水野晴郎氏の名コメントであるが、本作ほどその言葉が心に沁みたことはない。
昨年の米アカデミー作品賞に輝いた『英国王のスピーチ』を観て、僕は「良い映画だが普通!観客が賞に便乗する必要はない!」とバッサリ切り捨てた。だって本当に大したことなかったんだもん。
知ってのとおり本作『アーティスト』は、フランス映画でありながら本年度の第84回米アカデミー作品賞に見事輝いた作品であるが、『英国王のスピーチ』とは趣が違い、古き良きサモノクロのイレント映画を現代に甦らせた、とても味わいのあるロマンチックで素敵な映画だ。
ストーリーもいたってシンプルで分かりやすいし、ラストもとてもハッピー。幸せな気分になれます。
登場人物も非常に印象的で、主人公のジョージなんかは昔のミュージカルスター・ジーン・ケリーを彷彿とさせる。ラストもそんな感じで終わるしね。
サイレント映画でもこんなにハッピーな気分になれたり哀しい気分になれたりするんですね。
惜しくも米アカデミー作品賞を逃した、先に観た『ヒューゴの不思議な発明』と本作との共通点として、映画創生期に対するリスペクトとオマージュを込めていることで、昨今のVFXや3Dなどの最新技術を駆使した映画群が闊歩する中、「お前ら金儲けのことばっかり考えてるんじゃねぇ!初心を忘れるな!」という本来の映画を作ることへの姿勢、“原点回帰”という意味が込められているのではないのかな、とも感じる。
もっとも本作がモノクロ・サイレントのコンボであるのに対し、『ヒューゴ~』は最新技術の3Dを駆使していることからも対照的な作品であると思う。
まあ、モノクロ・サイレントという趣向が今の人間に新鮮に感じるか、はたまた退屈と感じるかは意見が分かれると思うけどね。小っちゃいころにしょっちゅうチャップリンの映画を観てきた僕にとっては抵抗のあるものではなかったですね。
今のド派手な映画に食傷気味な人は本作を観て「いや~映画って、本当にいいもんですね~」と呟いてみるのも一考かと。
【2012年度 Myランキング】(4/7時点)
本作は、本年度のベスト10中5位(暫定)にランクイン。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:ライアーゲーム ‐再生(REBORN)‐ ★★★★
2位:ドライヴ
3位:ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
4位:ゾンビアス ★★★☆
5位:アーティスト ★★★☆
6位:麒麟の翼~劇場版・新参者~ ★★★☆
7位:
8位:
9位:
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
2位:逆転裁判 ★★☆
3位:
<その他ランク外一覧>
ロボジーヒミズALWAYS三丁目の夕日'64メランコリアヒューゴの不思議な発明TIME/タイム
『アーティスト』公式サイトはこちら