「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
的外れな宣伝をした映画会社の罪は大きい
★★★
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
(2011年/アメリカ/126分/HUGO)
【 監督・製作 】
マーティン・スコセッシ
【 出演 】
ベン・キングズレー
エイサ・バターフィールド
クロエ・グレース・モレッツ
サシャ・バロン・コーエン
ヘレン・マックロリー
クリストファー・リー
ジュード・ロウ
【あらすじ】
1930年代のパリ。
父を火事で亡くし、駅の時計台で時計のねじを巻きながらひっそりと住む少年ヒューゴ。
ヒューゴは、父が博物館で見つけた機械人形を、父が遺したノートを頼りにコツコツと修理していたが、修理のために部品を盗んでいたおもちゃ屋の店主ジョルジュに見つかってしまい、ノートを取り上げられてしまう。
なんとかノートを返してもらおうと、ジョルジュの孫娘イザベルに取り持ってもらうが、機械人形を動かすためのハートの鍵をなぜかイザベルが持っており、やがて機械人形とジョルジュの哀しき過去が明かされる―
【コメント】
始めに言っておくと、本作はSFファンタジー映画ではなく、映画に情熱を傾けたあるひとりの老人と少年との交流を描いたドラマ映画である。
もっとも、機械人形こそSF設定である!と言えなくもないが、そもそもの主旨が“映画”というメディアにおける創生を担ったジョルジュ・メリエスという実在した人物へオマージュを捧げた作品なわけで、さも機械人形をきっかけに少年少女が現実離れしたファンタジックな冒険の旅に出るかの如く的外れな宣伝をした映画会社の罪は大きいと思う。
『ヒューゴの不思議な発明』って・・・別にヒューゴ何も発明してませんから。機械人形直しただけですから。そもそもの原題が『HUGO』だからね。いかんよ、余計な日本語付け加えちゃ。
とはいうものの、そういった宣伝に騙されず素直に観れば本作は心温まるなかなか良い映画。
『タクシー・ドライバー』や『ケープ・フィアー』、『ディパーテッド』『シャッターアイランド』なんかを作っていたマーティン・スコセッシ監督とは思えない、ピュアでとてもほっこりする作品だ。
そして3Dもなかなか素晴らしい。
数々の3D映画を観てきたが、「全然3Dじゃねぇじゃん!」といった3D詐欺映画がはびこる中、『アバター』には及ばないものの、監督なりにかなり研究し成果が出ていると思う。
そんなCGやら3Dやらの技術革新が目覚ましい映画というものについて、「ジョルジュ・メリエスという人物がいたからこそ今の映画の発展があるんだぞ」という彼へのリスペクト、そして“映画”というものへの愛情を込めた作品なのだと思う。
ちなみに、本作は米アカデミー作品賞は逃したものの、『アーティスト』というこれまた映画創生期へのオマージュを込めた作品が受賞したことからも、アメリカでは今一度原点を見つめ直そうという風潮があるのかもしれないね。
【2012年度 Myランキング】(3/4時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:ライアーゲーム ‐再生(REBORN)‐ ★★★★
2位:ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
3位:麒麟の翼~劇場版・新参者~ ★★★☆
4位:
5位:
6位:
7位:
8位:
9位:
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
2位:逆転裁判 ★★☆
3位:
<その他ランク外一覧>
ロボジーヒミズALWAYS三丁目の夕日'64メランコリアヒューゴの不思議な発明
『ヒューゴの不思議な発明』公式サイトはこちら