「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
個人的にはやっぱりサム・ライミ版派かな
★★★
（★…1点 ☆…0.5点，★5つで満点）
（2012年／アメリカ／136分／The Amazing Spider-Man）
【 監督・脚本 】
マーク・ウェブ
【 出演 】
アンドリュー・ガーフィールド
エマ・ストーン
リース・イーヴァンス
デニス・リアリー
キャンベル・スコット
イルファン・カーン
マーティン・シーン
サリー・フィールド
【あらすじ】
ニューヨーク郊外のサイエンス学校に通うピーター・パーカーは、叔父夫婦のもとで育てられた成績優秀な若者だったが、幼い頃行方不明になった両親がいつも心の中に引っかかっていた。
ある日、家の倉庫から父親のカバンを発見し、その中から出てきた物から父親の手がかりを探ろうとオズコープ社のコナーズ博士を訪ねるが、そこで極秘実験していた蜘蛛に首を刺され、突如として特殊な能力が目覚める。
特殊能力に秘かに歓喜するピーターだったが、叔父との口論がきっかけで叔父が強盗に射殺されてしまう。
叔父の死に責任を感じたピーターは、叔父を殺した犯人を捜し出すために、町をさまよい始め、“スパイダーマン”として町の秩序を乱す悪党退治を始める。
一方、極秘実験を重ねてきたコナーズ博士の肉体再生実験が完成、自らの人体実験がきっかけで、恐ろしいモンスター“リザード”が誕生する―
【コメント】
正直、「スパイダーマンをリブート、作り直す！」と報道されたときは「はあぁぁぁぁ！？」と言わざるを得なかった。
リブートするにはあまりにも日が浅すぎだし、何より素晴らしい3部作を生み出したサム・ライミ監督や、主演だったトビー・マグワイアも『スパイダーマン4』の製作に意欲満々だっただけに、その期待に対する失望感はハンパなかったわけよ。
もっとも、『スパイダーマン3』はしっちゃかめっちゃかで評判がよろしくない作品ではあったが、あれは映画会社の意向（というかテコ入れ）が原因で、サム・ライミ自身のビジョンはまったく違っていたようだ。それを今度こそ『4』で挽回を、と狙っていたものの、結局はサム・ライミのビジョンは最後まで受け入れてもらえず、お役御免、はいさようなら、となってしまったわけだ。まあ、製作費も揉める原因ではあったようだけど。
サム・ライミ版『スパイダーマン』を観たときは、けっこうなインパクトを受けたのを今でも覚えている。
これまでのアメコミヒーローのような、変なコスプレをした白人がわけわからん悪者と地球規模の戦いを繰り広げるそれと違い、等身大の若者が思春期と恋と友情を通して「ヒーローとは何か？ヒーローとはどうあるべきか？」という1本筋の通った柱をもち、そこにサム・ライミ特有のB級感漂うちょっとコミカルでスピーディーな展開を絡めた独特で癖のある雰囲気がとても新鮮で面白かった。
さて、再起動（リブート）となった本作『アメイジング・スパイダーマン』。
ちょうど10年前となるサム・ライミ版との比較は避けて通れないものとなると思うが、完成度はまずまずといった出来。
サム・ライミ版よりもさらにドラマチックに、特に『(500)日のサマー』の監督マーク・ウェブらしく、青春ラブストーリーに対する演出には余念がない。
CGも格段に良くなっているし、3Dも悪くなく、リブートに対する気合の入れ方が違うなと一目でわかる。カップルで楽しむのには十分な出来栄えではないかと。
ちなみに、劇場で僕の隣に座っていた小っさい子連れの家族は、あまりのドラマ展開の長さに子供がすっかり飽きてしまっていたご様子。しょうがないよね、始まって1時間はスパイダーマン出てこないし、明らかに子供向けじゃないもん。
がしかし、やっぱりリブートは早すぎだったと僕個人は思わざるを得ない。
サム・ライミ版がまだ記憶に新しい中、何のクセもない、青春の葛藤という前3部作ですでにやり遂げてしまった内容を改めてなぞっただけの差別化もされていない本作は、まずまずの出来映え、もっと悪く言えば焼き直しとしか思えない、僕はね。
これぞハリウッド！といった大作を意識したものだし、決して悪い出来ではないんだけどね。時が経てば「あ～そんなの観たなぁ」と記憶からかなり薄れゆく完成度だった。
好き嫌いはもちろんあるかもだが、個人的にはやっぱりサム・ライミ版派かな、というのが、リブート作品を観て思った感想だ。
まあ、観ても分かるようにシリーズ化する気満々のようなので、ちょっと行く末を見守ってみるのも一考かなと。
【2012年度 Myランキング】（6/30時点）
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
（ベスト）… ★★★☆以上が基準
１位：ライアーゲーム ‐再生（REBORN）‐ ★★★★
２位：ドライヴ ★★★★
３位：ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
４位：ゾンビアス ★★★☆
５位：アーティスト ★★★☆
６位：テルマエ・ロマエ ★★★☆
７位：愛と誠 ★★★☆
８位：劇場版SPEC～天～ ★★★☆
９位：麒麟の翼～劇場版・新参者～ ★★★☆
１０位：タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら ★★★☆
次点：
（ワースト）… ★★☆以下が基準
１位：ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
２位：逆転裁判 ★★☆
３位：メン・イン・ブラック３ ★★☆
＜その他ランク外一覧＞
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『アメイジング・スパイダーマン』公式サイトはこちら