「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
もう一歩の出来ではあるが見どころは多い
★★★
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
(2011年/香港・中国/115分/武侠 WU XIA)
【 製作・監督 】
ピーター・チャン
【 アクション監督 】
ドニー・イェン
【 出演 】
ドニー・イェン
金城武
タン・ウェイ
クララ・ウェイ
リー・シャオラン
ジミー・ウォング
【あらすじ】
1917年の中国は雲南省にある小さな村。
その村で、両替商に強盗に押し入った二人の男が殺され、現場検証に捜査官シュウが訪れる。現場に居合わせた製紙工場に勤める村人ジンシーは、妻と二人の子供とともに慎ましくも幸せな日々を過ごしており、強盗ともみ合っているうちに誤って殺してしまったという。
強盗を倒したことで一躍村の英雄となったジンシーだったが、武術の心得があった強盗を一体どうやって殺したのか不審に思うシュウ。強盗の死体を検死すると、“ツボ”を的確に仕留めたプロのテクニックであると断定、ジンシーの素性を調査する。
そして調査を進めるうち、中国の暗殺集団“七十二地刹”の存在が浮かび上がってくる―
【コメント】
本作はちとめずらしい、ミステリアスな推理物とカンフーアクションを融合させた新ジャンル。
なんたって、点穴(いわゆる“ツボ”ってやつ)を使った殺人事件なんて香港映画ならではの発想。こんな発想でストーリーが成り立つのは香港映画以外にない。
この設定を日本やハリウッドが真似したとしても確実に成立しない、するわけがない。何千年と続いた大陸の伝統があるからこそ成立するものなのだ。
個人的感想としては、正直もう一歩といったところだったが、上記のとおり香港映画の専売特許ともいえる武侠映画にミステリーの要素を加えた新しい試みも新鮮であるし、相変わらずドニー・イェンのカンフーはキレキレでパワフル、見ごたえがある。久々にお目にかかった金城武のキャラも魅力的だし、ドニーの妻役タン・ウェイの素朴な可愛さも実に良い。
しかし、中でも抜群の存在感を見せつけたのが、“天皇巨星”ジミー・ウォング師匠!!!
この人は知る人ぞ知る伝説のカンフースターで、あのブルース・リーより前に登場した、言わばカンフー映画の創始者と言っても過言ではない人物なんですね。まあ香港マフィアと繋がりがあったりしてて実際怖い人らしいんですけど(あのジャッキー・チェンも、この人には迷惑被ってたらしい)。
で、しばらく映画界からは離れてたんだけど、なんだかんだ言っても十数年ぶりにその雄姿がスクリーンで観られるなんて感激!プライベートがどうであれ、ジミー・ウォングが今スクリーンに登場することはスゴイことなんです。チャウ・シンチーの『カンフーハッスル』でブルース・リャンが登場したときくらい感激しましたよ僕は。
まあ、往年のカンフー映画にハマってたからこそのコメントなんで、知らない人は「なんじゃそりゃ!?」なんでしょうけど。
というわけで、原題が『武侠』なのになぜ『捜査官X』なんてわけわからん邦題つけちゃったのか、相変わらず配給会社のネーミングセンスを疑ってしまう本作だが、個人的に非常に見どころが多い作品で非常に満足でした。
近々ツイ・ハークの『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』なる同系統?の映画が公開されるが、ミステリー武侠アクションは最近の香港映画のトレンドなんですかね?
【2012年度 Myランキング】(4/22時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:ライアーゲーム ‐再生(REBORN)‐ ★★★★
2位:ドライヴ ★★★★
3位:ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
4位:ゾンビアス ★★★☆
5位:アーティスト ★★★☆
6位:劇場版SPEC~天~ ★★★☆
7位:麒麟の翼~劇場版・新参者~ ★★★☆
8位:
9位:
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
2位:逆転裁判 ★★☆
3位:
<その他ランク外一覧>
ロボジーヒミズALWAYS三丁目の夕日'64メランコリアヒューゴの不思議な発明TIME/タイムバトルシップ捜査官X
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