KOTOKO (評価:★) | そんなことより恋をしろ

そんなことより恋をしろ

『映画を観るよりもお前は恋をしろ恋を』
…そんな感じのブログです。

※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。



こんな女ヤだ


(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)

そんなことより恋をしろ-KOTOKO


(2011年/日本/91分)

【 製作・企画・監督・脚本・撮影・編集 】
塚本晋也

【 出演 】
Cocco
塚本晋也




【あらすじ】

 琴子は、一人息子の大二郎と二人で暮らすシングルマザー。
 彼女には世界がふたつ見え、近寄ってくる人間が襲いかかったりし毎日が命に関わってくる。
 そんな世界の中で大二郎を必死で守ろうとするあまり幼児虐待の疑惑がかかり、琴子のもとから大二郎を引き離されてしまう。
 リストカットを繰り返すことで自らの生を確かめる毎日。そこに小説家の田中が現れ、献身的に琴子を介護する。そして、琴子が田中に心を開き始めたとき、田中は琴子のもとから消える―


【コメント】

 まず言っておきたいのは、本作における僕の評価が★ひとつという前例のない低評価を付けたことについて。
 これは、決して本作『KOTOKO』がつまらん、下らんといった意味で付けたわけではなく、むしろ本作はかなりの衝撃作、賛否両論が巻き起こる問題作であり、むしろ僕の大好物としている類の作品である。
 題材、テーマ、映像、音響、どれを取ってもかなりのインパクトを持つものであり、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を彷彿とさせる手振れ満載のカメラワークと、全編に鳴り響く泣き声・叫び声・爆音。
 主役のCoccoも「地でやってんじゃねーの!?」と思うくらいの熱演・怪演ぶりで、91分という短い上映時間ながら、「一体どうなってしまうのか?」とスクリーンに釘付けになることは間違いなく、“ヒューマン・ホラー”とも言うべき問題作だ。
 社会に順応できない人間が、不器用でも懸命に生きる姿、そして愛する我が子をあらゆる脅威から必死に守ろうとする母性愛、絶望的な状況でも当たる希望の光。そんな根底にあるテーマ性と、Coccoの心の底から奏でる歌声には心を打たれる人がいてもなんら不思議はない。
 
 しかしながらですね、時間を忘れて没頭する一方で、鑑賞中の僕の感情は、なぜかとても冷静でしたね。
 そんな僕が本作を観終わって感じたことはたったひとつです。

 こんな女ヤだ。

 要するに、主人公・琴子の所作に僕はまったく共感・共鳴できなかった、とこういうわけです。
 ぶっちゃけ僕にとっては、琴子のやることなすこと全てにおいて突拍子が無さ過ぎて理解に苦しむんですね。
 リスカを生きていることの証明と称したり、近寄る人間に極端に虚勢を張ってはフォークブッ刺しの刑、突然怒りだし、突然泣き出し、そして突然歌い出す。感情の起伏が激しすぎ。
 ヤですよ、こんな女。小説家の田中が、一体彼女のどこに惹かれたのか見当もつかない。

 まあおそらくは精神分裂症とか強迫性障害の類なんでしょうね。そんな精神状態の中で子供を育てるのは確かに大変なのは頷けます。
 じゃあだったら病院行きましょうよ、お薬もらいましょうよ、治療に励みましょうよ。女手ひとつで子供を立派に育て上げなきゃいけないわけでしょ。だったら自分がしっかりしなきゃ。
 突拍子もない妄想だけの脅威から可愛い子供を守ろうとするよりも、まず自分自身が子供の脅威になっていることを自覚しなきゃ。
 親戚たちも親戚たちで、あっけらかんとしたもんで、琴子に病院へ行くように促すとかしないとさ。
 とまあ、頭の中では冷静なツッコミを入れ続けてしまう鑑賞となってしまったわけでした。もっとも、こんなロジカルに考えてはいけない映画なんでしょうけどね。

 印象に残る作品であったことは間違いない。確かに間違いはないのだが、少なくとも僕は、本作を観て“生きること”への希望を見出したくない、そんな感想を持ちました。


【2012年度 Myランキング】(7/8時点)

 本作は、本年度のワースト3中1位(暫定)にランクイン。



(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:ライアーゲーム ‐再生(REBORN)‐ ★★★★
  2位:ドライヴ ★★★★
  3位:ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
  4位:ゾンビアス ★★★☆
  5位:アーティスト ★★★☆
  6位:テルマエ・ロマエ ★★★☆
  7位:愛と誠 ★★★☆
  8位:劇場版SPEC~天~ ★★★☆
  9位:麒麟の翼~劇場版・新参者~ ★★★☆
 10位:タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら ★★★☆
  次点:




(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:KOTOKO ★
  2位:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
  3位:逆転裁判 ★★☆


<その他ランク外一覧>
ロボジーヒミズALWAYS三丁目の夕日'64メランコリアヒューゴの不思議な発明TIME/タイムバトルシップ捜査官XREC/レック3ジェネシスダーク・シャドウメン・イン・ブラック3イップ・マン誕生月光ノ仮面ジョニー・イングリッシュ気休めの報酬アタック・ザ・ブロックアメイジング・スパイダーマンミッドナイト・イン・パリ崖っぷちの男




『KOTOKO』公式サイトはこちら