【夕顔25-3】古文単語「思ひ睦ぶ」
源氏物語イラスト訳の重要古語です
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…受験生世代はホボホボ使わない語。
…ですが、今回の古語は、
現代ほとんど用いない、古文特有語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
君は、いとあはれと思ほして、
「いはけなかりけるほどに、思ふべき人びとのうち捨ててものしたまひにけるなごり、育む人あまたあるやうなりしかど、親しく思ひ睦ぶる筋は、またなくなむ思ほえし。
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今回出てきた古文単語
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■【君(きみ)】…源氏の君。光源氏
■【は】…提示の係助詞
■【いと】…とても
■【あはれ】…しみじみ悲しいこと
■【と】…引用の格助詞
■【思ほし】…サ行四段動詞「思ほす」の連用形
※【思ほす】…「思ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【いはけなかり】…ク活用形容詞「いはけなし」の連用形
※【いはけなし】…幼い
■【ける】…過去の助動詞「けり」の連体形
■【ほど】…時。ころ
■【に】…時を表す格助詞
■【思ふ】…大切に思う。かわいがる
■【べき】…当然の助動詞「べし」の連体形
■【人びと】…人々。ここでは桐壺更衣や祖母など
■【の】…主格の格助詞
■【うち捨て】…タ行下二段動詞「うち捨つ」の連用形
※【うち捨つ】…置き去りにする
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ものしたまふ】…いらっしゃる。亡くなられている
※【ものす】…いる。ここでは、亡くなるの意
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒桐壺更衣)
■【に】…完了の助動詞「ぬ」の連用形
■【ける】…過去の助動詞「けり」の連体形
■【なごり】…影響。余波
■【育(はぐく)む】…養育する
■【人】…人。女房
■【あまた】…たくさん
■【ある】…ラ変動詞「あり」の連体形
■【やうなり】…比況の助動詞「やうなり」の連用形
■【しか】…過去の助動詞「き」の已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【親しく】…シク活用形容詞「親し」の連用形
■【思ひ睦ぶる】…バ行上二段動詞「思ひ睦ぶ」の連体形
※【思ひ睦ぶ】…気を許す。うち解ける
■【筋(すぢ)】…その筋の人
■【は】…提示の係助詞
■【またなく】…ク活形容詞「またなし」の連用形
※【またなし】…他にない。二つとない
■【なむ】…強意の係助詞
■【思ほえ】…ヤ行下二段動詞「思ほゆ」の連用形
※【思ほゆ】…思われる
■【し】…過去の助動詞「き」の連体形
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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今回の古文単語 「思ひ睦ぶ」 ☆
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旧暦の1月は、「睦月(むつき)」って言います。
お正月はみんなが寄り集まって、
仲むつまじいイメージ⇒「睦(むつ)まじい月」
って、学生時代覚えたんですが(σ・∀・)σ
「睦」って漢字。
皆さんは、読めますかぁ?
(ㆁωㆁ*)
君は、いとあはれと思ほして、
「いはけなかりけるほどに、思ふべき人びとのうち捨ててものしたまひにけるなごり、育む人あまたあるやうなりしかど、親しく思ひ睦ぶる筋は、またなくなむ思ほえし。
問)傍線部の解釈として最も適当なものを次の中から選べ。
1.親しみをこめることができないような方面の人
2.何でも気を許してうち解けられるような方面の人
3.心を込めてお世話申し上げられるような方面の人
4.誰にでも気兼ねなく話をしてくれるような方面の人
5.何事の情趣にもしみじみ感じ入れるような方面の人
「睦ぶ」というのは、
「親しくする。仲良くする」という
現代でもしっかり使う言葉です。
でも、現代のケータイ小説なんかでは、
なかなか出てこない言葉だと、
そういうのに触れる機会も少ないですよね。
古文を勉強するのは、
そういう、現代では忘れがちな言葉にも
脚光を浴びせる機会だと思うんです。
【自動詞:バ行上二段活用】
…むつまじく思う。気を許す
*『学研全訳古語辞典(Webilio古語辞典)』より
こういう、「思い~」という複合動詞は
古文でよく使われます。
出てきたものから、
どんなのがあるのか
味わっていきたいものですね。
(▰˘◡˘▰)
解答……2
君は、いとあはれと思ほして、
「いはけなかりけるほどに、思ふべき人びとのうち捨ててものしたまひにけるなごり、育む人あまたあるやうなりしかど、親しく思ひ睦ぶる筋は、またなくなむ思ほえし。
● 過去記事リンク
■いと
■思ほす
■思ふ
■人びと
■あまた
■やうなり
■またなし
■思ほゆ
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