【帚木442-2】「思ふ/思す」の千差万別☆
源氏物語イラスト訳のあいです
さあ今日も行ってみましょう♪
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただいま「2.帚木(ははきぎ)」の巻です。頭中将たちとの雨夜の品定め(=女性談義)の翌日、正妻葵の上の住む左大臣邸から、方違えのため紀伊守邸に泊まった光源氏。そこで出逢った伊予介の若妻(空蝉)と強引に契りを結んでしまったけれど、次に逢うべき手立てがありません。そこで光源氏は、空蝉の弟である小君を手なずけ、使い走りをさせることにしました。
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今回の源氏物語
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君は思しおこたる時の間もなく、心苦しくも恋しくも思し出づ。思へりし気色などのいとほしさも、晴るけむ方なく思しわたる。
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大学入試古文 問題例☆
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問題)傍線部の説明として最も適当なものを、次の中から選べ。
1.あの夜、空蝉が自分を想ってくれたことがうれしかったこと。
2.あの夜、空蝉の思っていたことがひしひしと伝わってきたこと。
3.あの夜、空蝉が心を痛めていた様子などが気の毒であったこと。
4.あの夜、空蝉が望んでいたことがすべて現実のものになったこと。
5.あの夜、空蝉が自分に心を許してくれたのがいじらしかったこと。
「思ふ」も「いとほしさ」も、
現代にも存在する言葉ですが、
古語となると、
けっこう幅広い意味があるんです。
文系の人は、こういうの大好き♪
(≡^∇^≡)
どんな意味なのか、語義から想像して、
人物の心情を思い巡らせる…
ですが、
いったん傍線部のマーク問題となった場合、
その言葉の意味や文法事項をもとに、
正確に解釈する。
…そんな姿勢が求められるのです。
楽しんで、基礎固めしましょ♪
(●^ー^●)
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1.「思ふ」の数々の意味☆
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(他動詞:ハ行四段活用)
①感じる。考える。思う
②心配する。悩む
③回想する。懐かしむ
④愛する。恋しく思う
⑤願う。望む
⑥予想する。想像する
「学研全訳古語辞典」より
いろんな意味がありますよねぇ~
(`・д´・ ;)
④の意味は、
今でも「想う」などという漢字を当てて用いますが、
②の意味は、
今ではほとんど使っていませんよね;
|д゚)チラッ
実は、このような
現代ではほとんど用いない、
死語的な意味が、よく出題されるんです。
ヽ(゚◇゚ )ノ
2.あの夜、空蝉の思っていたことがひしひしと伝わってきたこと。
3.あの夜、空蝉が心を痛めていた様子などが気の毒であったこと。
4.あの夜、空蝉が望んでいたことがすべて現実のものになったこと。
5.あの夜、空蝉が自分に心を許して(×)くれたのがいじらしかったこと。
実は、「思ふ」だけを見ると、
5以外は、すべて保留です。
(`・д´・ ;)
3「心を痛める」などは、
今の感覚では消去したいけれど、
②心配する。悩む
に相当しますので、
残しておきましょうね♪
(・∀・)
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2.「いとほしさ」とは☆
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(名詞)
①気の毒さ
②かわいらしさ
「学研全訳古語辞典」より
プラス&マイナス
両方の意味がある重要古語☆
イラスト訳では、
・思い悩む空蝉が「気の毒」だという気持ち、
・気位の高い空蝉が「かわいい」という気持ち、
この両方があると思い、
「いじらしさ」という曖昧な表現で訳しましたが、
このように、
傍線部マーク問題として出題された時、
一語一語の語義を正確に押さえましょうね!
(o^-')b
2.あの夜、空蝉の思っていたことがひしひしと伝わってきた(×)こと。
3.あの夜、空蝉が心を痛めていた様子などが気の毒であった(○)こと。
4.あの夜、空蝉が望んでいたことがすべて現実のものになった(×)こと。
5.あの夜、空蝉が自分に心を許してくれたのがいじらしかった(○)こと。
一語一語を正確にとらえ、
部分部分に分けて見ていくと、
おのずと答えが導き出せますよね♪
(*^ー^)ノ
正解は……3
第2帖「帚木」の巻
雨夜の品定め 光源氏と頭中将
雨夜の品定め 左馬頭の女性論
左馬頭の女性体験談
頭中将・式部丞の女性体験談
光源氏17歳 空蝉との出逢い
光源氏17歳 空蝉との逢瀬
光源氏17歳 空蝉への恋慕
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