科学者タロット解題〜19太陽ガリレオ・ガリレイ | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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19 太陽 THE SUN  GALILEO GALILEI

 

 19番目の「太陽」は「繁栄」を象徴するカード。もともとの意味は、おそらくミトラの太陽信仰で、生命をはぐくむエネルギーをイメージしたカードでしょう。宗教裁判で自宅軟禁された後も、目を悪くした後も研究を続けたガリレオ・ガリレイこそ、太陽のカードにふさわしいのではないでしょうか。

 

【タロット解説】

 

◆大アルカナの#19は「太陽(THE SUN)」。太陽が中心に書かれ、その下に子供が描かれているのが基本的な図案。子供の描き方はカードによって様々で、クラシック版にいたっては絵の稚拙さもあって子供なのか大人なのかわかりません。#18の「月」と対照をなすカードで、エネルギーや生命力を示すカードです。

 

 キリスト教が支配していた中世ヨーロッパでは、聖書の教義に合致する天動説が採用されていたため、太陽の役割は古代ほど大きくありません。ただ、キリスト教に影響を与えた異教、ミトラ教は太陽神信仰です。

 

 キリスト教とローマ国教の座を争ったというミトラ信仰は、インドから渡った太陽神・牡牛信仰です。マリアの処女懐胎や、12月25日のクリスマスなどは、もともとミトラ信仰からキリスト教がいただいたエピソードだといわれています。12月25日(冬至の日)は太陽神ミトラの幼体が岩から生まれたとされる日です。ミトラはその後、牡牛の血を体に塗って育ったとされています。

 

 もともと異教世界で生まれたタロットですから、こうした要素を含んでいたとしても不思議ではありません。しかし、ぼくが読んだ限りでは、タロットの解説本には異教との関連を解説したものはありませんでした。

 

 天動説により構成される占星術では、太陽もまた地球のまわりを回る惑星の一つであり、もっとも地球に影響力をもつ惑星とはされていません。占星術でもっとも影響の強い星は、土星なのです。

 

 古代ギリシャの歴史家カシウスの著作にこれに関した解説がなされており、地球への影響力の強い順に土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月となっています。

 

 これは天動説で、地球から遠い順であり、遠いものほど影響力が強いと考えられたのですね。なお、これが数学的な占星術理論の結果、現在の七曜の順を生んだといわれています。(詳細は別記事「七曜の起源」を参照してください)

 

 他のカードとの関連を見ても、いわゆる占星術とタロットが強い関係にあったとは思えません。先の「タロット入門」には、各カードに占星術の支配星や星座を関連づけられていますが、これは後世の占い師による後付けでしょう。

 

 カードの意味は、一般の解説書には幸せ、成功を第一義としているものが多いのですが、カードの絵が示す内容から言ってもっとも基本的な意味はやはり「繁栄」でしょう。物理学用語を用いれば「エネルギー」です。また、図案に子供が書かれていることから、占いでは子宝に恵まれるという意味も付加されています。

 

【正位置】繁栄

 他に、成功、幸福、満足、安心、子宝に恵まれる。

【逆位置】衰退

 他に、失敗、不幸、孤独、むなしい勝利、子宝に恵まれない。

 

【科学者あれこれ】

 

【ガリレオ・ガリレイとは】

◇イタリアの物理学者ガリレイは、数学と思考実験によって考えを進め、実験によって検証するという、近代自然科学の手法を確立しました。望遠鏡を自作して月面や木星の衛星を観測し、「天文対話」でコペルニクスの地動説を支持して、宗教裁判にかけられた話は、科学史上もっとも有名な話でしょう。その挫折の後も、目を患いながら不屈の精神で研究を続け、「新科学対話」を執筆し、トリチェリなど、優秀な弟子も育てています。

 

【ガリレオ・ガリレイのエピソード】スギさんと集めたエピソードです。

◆ガリレオは問題となった論文「天文対話」を書いた。しかし、友人のケプラーが、コペルニクスの説を修正し、よりすぐれた思考をしていることについては、知っていながら触れなかった。(アシモフの雑学コレクション)

◆実験を通して自然に働きかけ、その奥にひそむ法則を見出そうとする実験の重要さに気付き、自ら実行した意味で「近代科学の父」とよばれる。1564年ピサに生まれる。父は音楽家。ピサの大学で医学を志すが、数学に興味も持つ。寺院のシャンデリアがゆっくり揺れるのを見て「振り子の等時性」を発見したのは18歳のとき。その原理を振り子時計に応用したのはオランダの物理学者ホイヘンス。

 コペルニクスの地動説の話を聞いて感動した。自作した望遠鏡の観測により、金星の満ち欠けや木星の衛星などを発見し、地動説を確信する。しかし、ジョルダノ=ブルーノーが宗教裁判にかけられ火あぶりになったことを知っていたため慎重にふるまった。「天文対話」で地動説を仮説で登場させるが、教会の怒りを買いローマで宗教裁判にかけられた。判決後の「それでも地球は動く」は有名。

 晩年は失明するなどさびしい暮らし。ガリレイが死んだ年にアイザック=ニュートンが生まれる。(原典不詳)

◆ガリレオは死の少し前、視力を失っていた。望遠鏡で太陽を観測することが多かったかららしい。(アシモフの雑学コレクション)

◆天才は幸福と関係ない。ガリレオは国を追われ、町から町へと放浪し、しまいには投獄された。(アシモフの雑学コレクション)

◆地球が宇宙の中心でなく、自転しながら移動しているなど、ばかばかしい。科学でも神学でもない。宗教的には罪悪的な説だ。

 これがローマ・カトリック教会の、ガリレオへの判決である。(アシモフの雑学コレクション)

 

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占いと科学〜ミオくんと科探隊セレクション

 

七曜の起源

天文対話に関するある対話1〜4(先頭記事にリンク)

宇宙の中心はどこ?(前編・後編)(先頭記事にリンク)

地動説の系譜 その3 ガリレオ

ガリレオ島の秘宝(ゲーム)(スタートページにリンク)

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