科学者タロット解題〜8正義ジェンナー | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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8 正義 THE JUSTICE  EDWARD JENNER

 

 大アルカナの№7はジャスティス、つまり「正義」です。

 「正義」というのは非常に難しい概念で、正義と悪とカンタンに分けられるのは、子供向けの創作の世界だけ。

 正義の名の下に殺された人間の数は計り知れないので、正義という言葉を安易に使うのは憚られます。

 でも、信念に基づいてやるべきことをやるという発想で「正義」という言葉を捕らえるならば、ジェンナーのやったことはまさに「正義」・・・

 というわけで、いろいろ複雑な思いも含めて、「正義」の象徴の科学者はジェンナーかな、と採用した次第です。

 

【タロット解説】

◆大アルカナの#8は「正義(The Justice)」。カードによっては「バランス」の異名もあるといわれます。右手に剣、左手に天秤を持つ女性が描かれているのが基本形。

 

 ウェイト版では女性はギリシャ神の女神「テミス(Themis)」らしいと解説されています。

 

 ブリタニカなどによれば、テミスはウラノスとガイアの子でティタン族の一員でしたが、ゼウスの妻になってオリンポスの神々となりました。

 運命の三女神モイライの母です。

 

 ギリシャ神話では正義と掟の女神として知られていますが、アポロンやゼウスに較べると知名度は低いかな。たぶん、テミスは、日本ではほとんど知られていないんじゃないでしょうか。

 

 一説に寄れば、デルフォイの神託所をガイアから引き継ぎ、やがてアポロンに譲ったという設定になっています。つまり、アポロンが行っていた「デルフォイの神託」の前任者というわけですね。

 

 ギリシャ神話の本筋では、アポロンはデルフォイの番をする蛇(竜)ピュトンを退治して、この神託場所を手に入れたとされています。

 

 ここには、ピュチアと呼ばれる巫女がおり、地下から噴出するガスを吸って入神状態になり、その言葉を男性の祭司が翻訳して参詣者に伝えられています。

 

 テミスの持っている天秤は錬金術師の重要な道具ですが、ここでは裁きを測る装置でしょう。剣は裁きを実行するときの道具となります。

 

 両刃の剣とデリケートな天秤という背反する小道具がこのカードの意味を象徴しています。つまり「裁き」と「均衡(バランス)」。一言でいえば、「公正」となるのでしょうか。

 

 ですから、このカードの主な意味は「公正」の方がわかりやすいでしょうね。当然、逆位置は「不公正」です。「正義」と「悪」のような解釈は、タロット占いにはあまりうまくはまらないでしょうね。

 

【正位置】公正

 他に、バランス、正義、中立、誠実、正しい裁き。

【逆位置】不公平

 他に、バランスを崩す、偏る、不正行為、心の狭さ、独断、厳しい裁き。

 

【科学者あれこれ】

 

【ジェンナーとは】

◇イギリスの医師ジェンナーは、牛痘にかかった人は天然痘にかからないという民間の伝承からヒントを得て、使用人の八歳の男児(のち自分の息子も含めた八人の子供)で種痘法を試し、天然痘が予防できることを証明しました。

 現在なら人体実験と批判を浴びる行為です。

 しかし、当時は牛の病気と人間の病気を同一視したという理由で批判されました。現代の感覚とは違いますね。

 

【ジェンナーのエピソード】

◆迷信を軽く扱ってはいけない。軽い牛痘にかかった人は天然痘の心配はないとの話を聞き、イギリスの医師ジェンナーは、1796年、予防接種法を発見した。(アシモフの雑学コレクション)

◆イギリスの医師ジェンナーは、1796年に種痘法を完成し、天然痘を征服した。1813年、ロンドンの英国医師会の会員に推された。しかし、会の幹部に、規定通りのテストが必要と言う者があった。古い医学書にもとづいてである。ばかにするなと、ジェンナーは入会を断った。(アシモフの雑学コレクション)

◆ジェンナーが種痘法を発見したのは1796年だが、その以前に中国やアラブでは、軽い症状のが流行したときのを保存しておき、それにわざと感染する方法を、体験的に知って行っていた。(アシモフの雑学コレクション)

◆イギリスの医者。当時もっとも恐れられていた天然痘に興味を持つ。天然痘に似た牛痘にかかると免疫になり、天然痘にはかからないといううわさが伝わってきたのを実際に人で実験した。牛痘にかかった婦人の手の水泡からとった液を少年に注射して牛痘にさせ、その2ヵ月後に天然痘を接種した。もし少年が死ねばジェンナーは犯罪人になるが、少年は天然痘にはかからずジェンナーは英雄になった。牛痘を接種するのを種痘というが、天然痘の恐ろしさから種痘はヨーロッパ中に急速に広まりわずか18ヶ月の間に死者は1/3になった。

 しかし、その後50年ほど経ってパスツールの研究によって病気の原因がわかるまで、ひどい病気で征服されたのは天然痘だけであった。(科学技術人名辞典・アシモフ)

 

 

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