14 節制 TEMPERANCE GREGOR JOHANN MENDEL
14番目のカード「節制」は忍耐を意味するカードでもあり、司祭をしながらエンドウ豆の交配実験を粘り強く行ったメンデルを配しました。メンデルは修道院長の仕事に追われて最終的には科学の道を諦めるのですが、彼が見つけた遺伝の法則は新しい生物学の根幹となりました。水瓶の水を移し替えているのは大天使ミカエル。こちらも、司祭だったメンデルにぴったりかもしれません。
【タロット解説】
◆#14「節制(TEMPERANCE)」は天使(後になって、ミカエルと位置づけられる)がカップの水を移し替える様子を描いています。この図柄はどの版でも殆ど同じですから、かなり古い時期にこの形に落ち着いたのがわかります。
「タロット入門」によると、ニューヨークのピアポント・モーガン図書館にあるビスコンチ・スフォルザ・タロット(1484年)では、このカードの女性は天使ではなく、一つの水瓶から水を捨てている姿が描かれているということです。
本来キリスト教とは関係の無かった図案が、いつのまにか天使になり、さらには大天使と解釈されるようになりました。他のカード以上に、タロットの辿ってきた道のりが彷彿とされるカードです。
基本的な図柄では、水を一滴もこぼさずにもう一つの水瓶に移し替えているので、ここから「節制」「倹約」「秩序」といった意味が派生したようです。
「星STAR」のカードの図柄と同様、本来、水瓶から注ぐ水は「生命の水」を意味すると考えるべきなのでしょう。
そこから転じて才能・知恵・芸術・霊感などのスピリチュアルなイマジネーションの意味を表すようになったのだと思われます。
【正位置】節制
他に、忍耐、自重、イマジネーション。
【逆位置】浪費
他に、忍耐に欠ける、強情、不毛。
【科学者あれこれ】
【メンデルとは】
◇オーストリアの司祭メンデルは、修道院でエンドウ豆の交配実験を8年間にわたって忍耐強く行い、遺伝に関するメンデルの法則を発見しました。論文は学会には認められませんでしたが、その後もさらに8年間、研究を続けました。
しかし、研究活動は修道院長になったことで中断されました。当時の修道院はいろいろと抱えている問題が多く、彼はそちらの問題解決に奔走しなければならなかったようです。彼の理論は生前は誰からも注目されませんでしたが、死後、ド・フリースなどによって、再発見され、その名は生物学史上に残るものになりました。
【メンデルのエピソード】
◆遺伝学の祖メンデルは大学の教師になりたがったが、ウィーン大学での資格試験に、三回も落ちた。頭の働きがよくないと、判定されてである。聖職について、修道院の庭でエンドウを栽培した。そして、歴史に残る論文をスイスの植物学者に送ったが、くだらぬと書かれて返送された。自費で出版したが、だれも注目しなかった。あげく、科学の研究をあきらめた。偉大さが認められたのは1900年。死後、十六年目である。(アシモフの雑学コレクション)
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