7 戦車 THE CHARIOT LOUIS PASTEUR
カードの意味は「征服」「制御」。自然発生説などの論敵と激しく戦い、科学の勝利をもたらしたルイ・パスツールは、まさにこのカードにふさわしい科学者です。
【タロット解説】
◆大アルカナの#7がこのカード。「戦車」という訳語より「チャリオット(The Chariot)」の方が通りがいいかな。戦車といっても古代ローマで用いられたもので、二頭の馬に引かせる戦闘用の二輪車。
「征服者」とも訳されます。二頭の馬を操って古代ローマの戦車を走らせる姿が基本形。
本来は「戦争」を意味するカードだったそうです。それが「勝利」を意味するようになり、「困難の克服」という解釈となっていったのでしょう。
荒れ狂う二頭の馬をたくみに操る姿から「制御(コントロール)」という意味が加わりました。
ウェイト版では二頭の馬が白黒のスフィンクスに変わっており、エジプト文化の影響が見られます。
クラシック版では戦車に乗っているのは王芴を持った王であり、ローマ時代の戦士ではありません。1JJ版も同じ図柄。王が描かれているのは、もともと「戦争・征服」がテーマだったからでしょう。
戦車が古代ローマなのに、乗っている征服者は中世の王の姿というちぐはぐな図案には、なにか複雑な経緯があるような気がします。日本でいったら、牛車に将軍が乗っているようなものでしょうね。
これも当時の文化背景の入り乱れ具合を反映しているのでしょう。それに、タロットを使っているのが流浪の民、つまり、ローマ帝国のアウトサイダーなので、ローマ文化に無頓着なのかももしれません。
映画「007」用に作られたカードもあります。こちらは原典回帰(?)で戦車に乗っているのも古代ローマの戦士に戻してありました。まあ、映画用なので、深い意味はないでしょうが。
【正位置】コントロール
他に、勝利、成功、困難の克服、出世、自立。
【逆位置】アウトオブコントロール
他に、敗北、不成功、計画の挫折、報われない勝利、大きな障害。
【科学者あれこれ】
【パスツールとは】
◇フランスの生化学者パスツールは発酵や腐敗が微生物によって起こることを発見し、生物の自然発生説を否定しました。迷信や信仰などの観念的な思い込みに対して、科学的な方法論で対抗して、歴史的な勝利をもたらした人です。
性格的にも非常にタフな人で、多くの論敵からの攻撃を、左半身不随の不自由な体をものともせずに精密な実験を繰り返し、相手以上に激しい議論を展開ことで撃破しました。まさに戦車に相応しい戦いぶり。
専門を生かしてワインなどの醸造のアドバイザーもしていますが、微生物の研究を応用し、狂犬病ワクチンを完成させています。
【パスツールのエピソード】
◆フランスの化学者パスツールは、ワインが酢に換わるのを防止する低温殺菌法を発明した。約50度に加熱するのである。その彼は、病的なほど不潔や感染を恐れた。他人との握手もいやがり、食事の時には食器やグラスの汚れを気にした。知らぬが仏の好例。(アシモフの雑学コレクション)
◆パスツールは1885年、狂犬にかまれた九歳の少年マイスターの命を助けた。彼の作ったワクチンの、最初の成功例である。
55年後の1940年、マイスターはパスツール研究所の守衛となっていた。ナチがパリを占領し、将校がやってきて、パスツールの埋葬室を見せろと命じた。マイスターは、それをやるよりはと自殺した。(アシモフの雑学コレクション)
関連記事
〜ミオくんと科探隊 サイトマップ〜
このサイト「ミオくんとなんでも科学探究隊」のサイトマップ一覧です。
*** お知らせ ***
日本評論社のウェブサイトで連載した『さりと12のひみつ』電子本(Kindle版)
Amazonへのリンクは下のバナーで。
『いきいき物理マンガで冒険〜ミオくんとなんでも科学探究隊・理論編』紙本と電子本
Amazonへのリンクは下のバナーで。紙本は日本評論社のウェブサイトでも購入できます。
『いきいき物理マンガで実験〜ミオくんとなんでも科学探究隊・実験編』紙本と電子本
Amazonへのリンクは下のバナーで。紙本は日本評論社のウェブサイトでも購入できます。